解散・清算中の株式会社の決算公告|会社法509条で不要
解散して清算に入った株式会社に、決算公告の義務があるかを条文で確認します。会社法509条1項2号で440条の公告が適用除外になる仕組みと、公告の代わりに清算人がする財産目録等・貸借対照表・決算報告、公告が必要なままの債権者保護の官報公告を並べます。
2026年時点の制度解散して清算に入った株式会社には、貸借対照表を公告する決算公告の義務はありません。会社法509条1項2号が、決算公告を定める440条を清算株式会社に適用しないためです。ただし、債権者に向けた官報公告は別に必要で、決算公告の代わりに作る書類もあります。
通常の決算公告は決算公告の義務と方法で解説しています。この記事は、解散後の会社に絞っています。
条文で見る決算公告の適用除外
決算公告は、会社法440条1項が「定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社は損益計算書も)を公告しなければならない」と定めるものです。官報または日刊新聞紙に載せる会社は、2項により貸借対照表の要旨でよいとされます。
解散すると、会社は清算株式会社になります。会社法509条1項2号は、第五章第二節第二款(計算書類等の作成から提出命令までの規定)を清算株式会社に適用しないと定めています。440条はこの款に入っています。
| 項目 | 解散前の株式会社 | 清算株式会社 |
|---|---|---|
| 貸借対照表の公告(440条1項・2項) | 定時株主総会の終結後、遅滞なく | 適用されない(509条1項2号) |
| 計算書類等の備置き(442条) | 定められた期間、本店に備置き | 括弧書きで除外から外され、適用される |
| 計算書類等の提出命令(443条) | 裁判所が命じることがある | 括弧書きで除外から外され、適用される |
509条1項2号の括弧書きは、435条4項、440条3項、442条、443条を適用除外から外しています。440条3項は、官報や日刊新聞紙で公告する会社が、貸借対照表の内容をインターネットなどで5年間公開する方法を選べると定めた規定です。解散前にこの方法で公開していた会社が、清算中の扱いは会社ごとに異なります。
決算公告の代わりに作る書類
公告の義務がなくなっても、清算人は次の書類を作ります。公告ではなく、株主総会への提出と保存が中心です。
| 書類 | いつ | 手続き | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 財産目録等 | 清算人に就いたあと、遅滞なく | 財産の現況を調査して作り、株主総会の承認を受ける。清算結了の登記まで保存 | 会社法492条 |
| 貸借対照表・事務報告 | 各清算事務年度 | 清算結了の登記まで保存。定時株主総会に提出する | 会社法494条・497条 |
| 決算報告 | 清算事務が終了したとき、遅滞なく | 株主総会に提出して承認を受ける | 会社法507条 |
毎年作る貸借対照表と事務報告の数え方は、清算中の会社が毎年作る貸借対照表と事務報告に詳しく書いています。
必要なままの公告は債権者向け
会社法499条1項は、清算株式会社が解散後、遅滞なく、債権者に対して一定の期間内に債権を申し出るよう官報に公告し、知れている債権者には各別に催告することを求めています。この公告には、期間内に申出をしない債権者は清算から除斥される旨を付記します(同条2項)。
決算公告は適用除外でも、この債権者保護の公告は外れません。解散後に官報へ載せるのは、貸借対照表ではなくこちらです。手続きと期間は解散公告と債権者への催告で確認できます。
解散後に迷いやすい場面
- 解散後に貸借対照表を官報に載せる必要があるか。決算公告としては不要です。載せるのは債権者向けの公告だけです。
- 合同会社の場合。会社法440条は株式会社の規定で、合同会社には決算公告の義務がありません。清算中の合同会社の手続きは合同会社の解散・清算の登記で扱っています。