太陽光発電の売電収入は法人で受けるか個人のままか
太陽光発電の売電収入を個人で受けると、所得区分は事業所得・不動産所得・雑所得のどれかになります。法人で受ける場合は、売電収入は会社の収益として法人税の計算に入ります。国税庁の質疑応答事例にもとづいて個人の所得区分を整理し、法人で受けるときの考え方と、固定価格買取制度(FIT)の認定事業者を変える手続きの注意点を説明します。
法人化(法人成り)太陽光発電の設備を持つ個人が法人成りを考えるとき、売電収入をどちらに置くかは別に決める必要があります。個人の売電収入は、使い方や本業との関係で所得区分が変わり、法人で受ければ会社の収益になります。
この記事は、売電収入の所得区分と、法人で受けるときの考え方を整理します。賃貸物件全体を法人で持つ判断は不動産賃貸の法人化の記事、副業の所得区分の判定は事業所得と雑所得の記事で扱います。
個人の売電収入の所得区分
国税庁の質疑応答事例は、設備の置き場所と本人の立場ごとに、所得区分を示しています。
| ケース | 所得区分 |
|---|---|
| 給与所得者が自宅の設備を家事用に使い、余剰電力を売る | 雑所得 |
| 売電を事業として行う、または他の事業所得の付随業務として行う | 事業所得 |
| 不動産賃貸業の人が、アパートの共用部分で使い、余剰電力を売る | 不動産所得 |
| 不動産賃貸業の人が、賃貸物件に設備を置いて全量売電する | 事業として行う場合を除き雑所得 |
全量売電(平成24年7月以降、一定規模以上の設備で可能)の場合も、給与所得者の売電収入は、事業として行っている場合を除き、雑所得とされています。
減価償却費は、売電した電力量が発電量に占める割合を業務用割合として計算します。自宅の設備の耐用年数は、国税庁の回答事例では17年です。
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雑所得と事業所得の分かれ目
事業所得かどうかは、売電の活動が社会通念上、事業と言える程度で行われているかで判定します(所得税基本通達35-2の注)。取引を記録した帳簿書類の保存がないと、原則として業務に係る雑所得になります。例外は、収入金額が300万円を超え、かつ事業所得と認められる事実がある場合です。
副業の所得の区分と帳簿の考え方は事業所得と雑所得の記事で詳しく説明しています。
法人で受けるときの考え方
法人の各事業年度の所得は、益金の額から損金の額を引いて計算します。益金には、資産の販売や役務の提供などの取引による収益が入ります(法人税法22条)。売電収入は法人の収益として益金に入り、設備の減価償却費や保守費用は、法人の損金として計算します。
法人には、個人のような所得区分(事業所得・雑所得など)がありません。個人では雑所得として扱われていた売電収入も、法人で受ければ、会社のほかの収益と合わせて法人税を計算します。
個人から法人へ設備を移すかどうかは、売電収入の額、設備の残りの価値、本業の所得などを合わせて決めます。法人化全体の損得は法人成りのガイドで確認してください。
FITの認定事業者を変える手続き
固定価格買取制度(FIT)の認定を受けた設備の持ち主を、個人から法人に変えるときは、資源エネルギー庁の手続きが必要です。FIT・FIP制度のよくある質問では、事業譲渡等で認定事業者の名義が変わる場合に、事業者名を変更するための変更認定申請を行うと案内されています。
また、設備の設置者が法人の場合に出す書類や、屋号で認定を受けている個人の名義変更の扱いなど、細かな取り扱いがあります。出力が10kW未満の設備かどうかなど、設備によって手続きが違うことがあるため、事前に資源エネルギー庁の案内と、売電先の電力会社で確認します。
次に知りたいこと
不動産賃貸の法人化:賃貸物件を会社で持つかどうかの判断
事業所得と雑所得の違い:副業の所得区分と帳簿
法人成りのガイド:法人化の損得と手続きの全体像
まとめ
- 給与所得者が自宅の設備で売電する収入は、一般に雑所得。
- 事業として行う、または他の事業の付随業務なら事業所得。
- 賃貸アパートの共用部分で使う余剰電力の売却収入は、不動産所得。
- 法人が受ける売電収入は、益金として法人税の計算に入る(法人税法22条)。
- FITの認定事業者を変えるときは、資源エネルギー庁の変更手続きを確認する。
公式一次情報
- 国税庁「自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」
- 国税庁「賃貸アパートに設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」
- 国税庁「所得税基本通達 法第35条(雑所得)関係」(35-2)
- e-Gov法令検索「法人税法」(22条)
- 資源エネルギー庁「よくある質問(FIT・FIP制度)」
よくある質問
- 会社員が自宅の太陽光で売電した収入は何所得ですか?
- 給与所得者が設備を家事用に使い、余剰電力を売っている場合は雑所得です。全量売電でも、事業として行う場合を除き雑所得とされます(出典:国税庁)。
- 売電収入が事業所得になるのはどんなときですか?
- 売電を事業として行っている場合や、他に事業所得があって、その付随業務として行っている場合です(出典:国税庁)。
- 賃貸アパートの屋根の太陽光は何所得ですか?
- 共用部分で使い、余剰電力を売る場合は不動産所得です。全量売電の場合は、事業として行う場合を除き雑所得です(出典:国税庁)。
- 法人で売電収入を受けると、税金はどうなりますか?
- 法人の収益として益金に入り、費用と合わせて法人税の所得を計算します。個人のような所得区分はありません(出典:法人税法22条)。
- 個人名義のFIT設備を法人に移すには何が必要ですか?
- 事業者名を変更する変更認定申請が必要です。設備によって扱いが違うため、資源エネルギー庁の案内で確認してください(出典:資源エネルギー庁)。

