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留保金課税とは?資本金1億円以下の中小法人は対象外か(法人税法67条)

特定同族会社の留保金課税の仕組みと税率を法人税法67条で整理し、資本金1億円以下の一人会社が原則として対象外になる理由と例外を確認します。

留保金課税
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

法人成りで一人会社をつくると、「利益を配当せず会社に貯めると、法人税が上乗せされる」という話を目にすることがあります。これは法人税法67条の「特定同族会社の特別税率(留保金課税)」のことです。

法人税法67条1項のかっこ書きにより、資本金の額が1億円以下の法人は、一部の例外を除いて留保金課税の対象から外れます。法人成り直後の小さな会社は、通常は対象外と考えられます。ただし、例外の条件に当たらないかは確認が必要です。

留保金課税とは(特定同族会社が貯めた利益への上乗せ)

留保金課税は、特定同族会社の各事業年度の留保金額が留保控除額を超えるとき、通常の法人税額に加えて、その超える部分に一定の割合を乗じた金額を納める制度です。根拠は法人税法67条です。

会社が利益を内部に貯めたままにすると、株主個人に配当や給与として出す場合の所得税が課されません。この差を調整する趣旨の規定です。

特定同族会社の判定(被支配会社)

法人税法67条2項は、株主等の1人とその特殊関係者(政令で定めるもの)で、発行済株式等の50%を超える数を有する会社を「被支配会社」としています。特定同族会社は、この被支配会社です。

ただし、判定の基礎となる株主等のうちに被支配会社でない法人がある場合は、その法人を除いて判定しても被支配会社となるものに限ります。清算中の会社は除かれます。判定は各事業年度終了の時の現況で行います(同条8項)。

一人で株式の全部を持つ会社は、この判定では被支配会社にあたります。ただし、次の項で述べるとおり、資本金1億円以下であれば原則として対象外です。

資本金1億円以下は原則対象外、例外は5つ

法人税法67条1項のかっこ書きは、資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人について、次の法人だけを特定同族会社の対象に残すと定めています。法人税法66条5項2号から5号に掲げる法人と、同条6項の大通算法人です。つまり資本金1億円以下の法人は、次の例外に当たらなければ、特定同族会社から除かれます。

例外に当たる法人根拠
資本金5億円以上の大法人などによる完全支配関係がある普通法人法66条5項2号
完全支配関係がある全ての大法人の株式を、いずれか一の法人が全部持つとみなした場合に、その一の法人による完全支配関係がある普通法人法66条5項3号
投資法人法66条5項4号
特定目的会社法66条5項5号
大通算法人法66条6項

国税庁のタックスアンサー(No.5800)も、資本金1億円以下でも、資本金5億円以上の法人等の100%子法人等(大法人による完全支配関係がある普通法人を含む)には、留保金課税の不適用を含む中小企業向けの特例措置が使えないと案内しています。個人のみが株主の会社は、通常この例外には当たりません。

資本金が1億円を超える法人では、被支配会社の判定に当てはまると、留保金課税の対象になります。増資を考えるときは、資本金1億円以下の法人税の税率とあわせて確認してください。

税率は10%・15%・20%の3段階

留保金額が留保控除額を超える場合、その超える部分に次の割合を乗じた額が、通常の法人税額に加算されます(法人税法67条1項)。

超える部分の金額(年)割合
3,000万円以下の金額10%
3,000万円超1億円以下の金額15%
1億円超の金額20%

事業年度が1年に満たない場合は、金額の基準を月割りで調整します(同条6項・7項)。

留保控除額は3つのうち最も多い金額

留保金額から差し引く留保控除額は、法人税法67条5項で、次の3つのうち最も多い金額とされています。

  • 所得等の金額の40%
  • 年2,000万円
  • 利益積立金額が資本金等の額の25%に満たない場合の、その不足額

留保金額が留保控除額以下なら、加算は生じません。具体的な留保金額の計算は、法人税の申告書別表で行うため、対象になりうる場合は税理士など専門家に確認してください。

自社が対象かの確認チェックリスト

  • 事業年度終了の時の資本金の額・出資金の額は1億円以下か
  • 1億円以下の場合、資本金5億円以上の大法人などによる完全支配関係がないか
  • 投資法人・特定目的会社・大通算法人に当たらないか
  • 1億円超の場合、株主1人とその特殊関係者で発行済株式等の50%を超えていないか
  • 対象になりうるときは、留保金額が留保控除額を超えるか

利益の使いみちを決めるときは、役員報酬の設計(役員報酬の決め方)や、決算・申告の流れとあわせて検討すると整理しやすくなります。

まとめ

  • 留保金課税は、特定同族会社の留保金額が留保控除額を超える部分に、10%・15%・20%を通常の法人税額へ加算する制度(法人税法67条)。
  • 特定同族会社は、株主等の1人とその特殊関係者で発行済株式等の50%超を持つ被支配会社を基本に判定する。
  • 資本金1億円以下の法人は、大法人による完全支配関係がある普通法人など5つの例外に当たらなければ対象外。
  • 留保控除額は、所得等の金額の40%・年2,000万円・利益積立金額の不足額のうち最も多い金額。
  • 個人が株主の小さな一人会社は、通常は対象外と考えられるが、個別の判定は専門家に確認する。

公式一次情報

よくある質問

資本金100万円の一人会社に留保金課税はかかりますか?
法人税法67条1項のかっこ書きにより、資本金1億円以下の法人は、66条5項2号から5号に当たる法人と大通算法人を除いて特定同族会社から外れます。個人が株主の一人会社は、通常この例外に当たらないため対象外と考えられます。
留保金課税の税率はいくらですか?
留保金額が留保控除額を超える部分のうち、年3,000万円以下は10%、3,000万円超1億円以下は15%、1億円超は20%です。通常の法人税額に加算されます。
特定同族会社はどう判定しますか?
株主等の1人とその特殊関係者で発行済株式等の50%を超える数を有する被支配会社を基本に判定します。判定は事業年度終了の時の現況で行います。
留保控除額はいくらですか?
所得等の金額の40%、年2,000万円、利益積立金額が資本金等の額の25%に満たない場合の不足額のうち、最も多い金額です。
増資して資本金が1億円を超えると何が変わりますか?
資本金1億円超になると、除外の対象から外れます。被支配会社の判定に当てはまれば留保金課税の対象になりえます。軽減税率など中小法人向けの扱いも変わるため、増資の前に専門家へ確認してください。
本記事について。専門家監修前の概説です。2026年10月12日時点の法人税法の条文と国税庁の公開情報にもとづく一般的な説明で、個別の判定や税額の計算に代わるものではありません。個別の事情は税理士など専門家へご確認ください。