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個人事業を廃業したら失業手当はもらえる?|雇用保険法の定義と受給期間の特例

個人事業主が廃業しただけでは、失業手当(基本手当)は支給されません。例外は、会社員時代の雇用保険の被保険者期間があり、受給期間が残っている人です。雇用保険法とハローワークの案内で、もらえる場合を整理します。

e-Govの条文で確認済み
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

事業がうまくいかず廃業を考えるとき、「会社を辞めたときのように、失業手当は出るのか」と気になる方は多いはずです。結論から言うと、個人事業の廃業そのものは、失業手当の対象になる「離職」にあたりません。

先に結論:雇用保険法は、被保険者を「適用事業に雇用される労働者」と定め、離職を「被保険者について事業主との雇用関係が終了すること」と定めています。個人事業主として事業をやめても、これには当たりません。もらえる可能性があるのは、会社員時代の被保険者期間と受給期間が残っている人です。
廃業するときの状況失業手当の見込み
会社勤めの経験がなく、個人事業だけをしてきた廃業を理由には支給されない
会社を辞めて開業し、受給期間の特例を申請していた受給期間内なら、残りの日数分を受け取れる可能性がある
会社を辞めて開業し、特例を申請していなかった受給期間(原則1年)が過ぎていれば受け取れない
廃業の前後に、雇用保険に入って会社などで働いたその会社を辞めた日を基準に、被保険者期間を数える

廃業が「離職」にあたらない理由

雇用保険法4条は、用語を次のように定めています。

  • 被保険者:適用事業に雇用される労働者で、6条各号に掲げる者以外の者(1項)
  • 離職:被保険者について、事業主との雇用関係が終了すること(2項)
  • 失業:被保険者が離職し、労働の意思と能力があるのに職業に就けない状態(3項)

個人事業主は、自分の事業の事業主であって、誰かに雇用される労働者ではありません。そのため、事業をやめることは、条文の「雇用関係の終了」にあたりません。個人事業の廃業は、それだけでは失業手当の支給の入口に立てないのが、法律上の整理です。

廃業届など、廃業するときに必要な手続きは廃業するときの手続きと税金にまとめています。

基本手当の受給資格は離職の日で数える

基本手当は、被保険者が失業した場合に、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上あったときに支給されます(雇用保険法13条1項)。

特定受給資格者や特定理由離職者は、離職の日以前1年間に6か月以上で足ります(同条2項)。倒産・解雇などで離職した人や、契約期間の満了で更新されなかった人などが対象で、該当するかの判断はハローワークが行います。

数える基準は「離職の日」、つまり雇用関係が終わった日です。個人事業を廃業した日ではないため、受給資格は、最後に雇われて働いていた会社を辞めた日を起点に見ます。

支給を受けられる期間(受給期間)は、原則としてその離職の日の翌日から1年です(同法20条1項1号)。この期間内の失業している日について、所定給付日数を限度に支給されます。

開業した人は受給期間の特例を申請する

会社を辞めて開業すると、そのまま1年が過ぎ、廃業したときには受給期間が終わっていることがあります。これに備える制度が、ハローワークの「事業を開始した人の受給期間の特例」です。

ハローワークインターネットサービスは、離職日の翌日以後に事業を開始した人などが事業を行っている期間を、最大3年間、受給期間に算入しない特例を申請できるとしています。主な要件は次のとおりです。

  • 事業の実施期間が30日以上であること
  • 当該事業について、就業手当または再就職手当の支給を受けていないこと
  • 自立できないと認められる事業ではないこと(開業届の写しなどで、事業の開始と実在が確認できること)

申請は、事業を開始した日(事業に専念し始めた日、準備に専念し始めた日)の翌日から2か月以内に、住所または居所を管轄するハローワークへ行います。申請期限の詳しい数え方は事業を始めた人の失業手当と受給期間の特例で解説しています。

特例の申請をしていなければ、原則どおり受給期間は離職の日の翌日から1年で、その後に廃業しても基本手当は受けられません。

会社員から開業して廃業した場合の流れ

会社員から開業し、のちに廃業した人の流れを、条文とハローワークの案内に沿って並べます。人物と日付は説明のための仮定です。

順序出来事確かめる点
1雇用保険に入っていた会社を退職する(離職の日)離職の日以前2年間に被保険者期間が12か月以上あるか
2開業する開業の翌日から2か月以内に、受給期間の特例を申請したか
3事業をやめる特例で延ばした受給期間の末日までに、手続きに行けるか
4ハローワークで求職の申込みをする労働の意思と能力があり、すぐ就職できる状態か

手順2で特例を申請しておけば、手順3の時点でも、受給期間が残っている状態で求職の申込みができます。申請していないと、離職の日の翌日から1年が過ぎた時点で、受給期間が終わります。

事業を始める準備に入った時点で、失業の状態ではなくなる点にも注意が必要です。開業中の手続きは失業手当の受給中に開業するときにまとめています。

求職の申込みと失業の認定

基本手当は、受給資格者が失業している日について支給されます(雇用保険法15条1項)。受けるには、離職後、公共職業安定所(ハローワーク)に出頭して求職の申込みをする必要があります(同条2項)。

失業の認定は、離職後に最初に出頭した日から起算して、原則として4週間に1回、直前の28日の各日について行われます(同条3項)。

廃業後も事業の後片付けや、売掛金の回収を続けることがあります。それが「自営業をしている」にあたり、失業の状態と認められるかは、ハローワークの個別判断になるため、事前に窓口で事情を伝えて確認してください。

次に知りたいこと

まとめ

  • 雇用保険法の「離職」は、被保険者の雇用関係の終了。個人事業の廃業だけでは、失業手当の対象にならない。
  • 受給資格は、最後に雇われて働いた会社の離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算12か月以上あるかで見る。
  • 受給期間は原則、離職の日の翌日から1年。
  • 会社を辞めて開業した人は、事業開始の翌日から2か月以内に受給期間の特例を申請すると、廃業後に受給できる可能性が残る。
  • 受給には、ハローワークでの求職の申込みと失業の認定が要る。

よくある質問

個人事業を廃業したら、失業手当は出ますか?
廃業そのものでは出ません。雇用保険法は、離職を「被保険者について事業主との雇用関係が終了すること」と定めており、個人事業主が自分の事業をやめることは、これにあたりません(雇用保険法4条)。
会社員を辞めてから開業し、1年以上たって廃業しました。もらえますか?
受給期間は原則として離職の日の翌日から1年です(雇用保険法20条1項1号)。事業を始めた日の翌日から2か月以内に受給期間の特例を申請していれば、事業を行っている期間を最大3年間、受給期間に算入しない扱いになります。申請をしていない場合は、受け取れないのが原則です。
特例の申請を忘れていました。あとから出せますか?
ハローワークの案内では、事業を開始した日などの翌日から2か月以内に申請する必要があります。期限を過ぎた場合の扱いは個別の事情で変わるため、住所を管轄するハローワークへ相談してください。
被保険者期間は、何か月あれば足りますか?
原則として、離職の日以前2年間に通算12か月以上です。特定受給資格者や特定理由離職者は、離職の日以前1年間に6か月以上で足ります(雇用保険法13条)。

公式一次情報

廃業前後の手続きを確かめる

廃業届や税金の整理は、次のガイドにまとめています。

本記事について。税理士監修前の概説です。失業手当の受給資格や特例の可否はハローワークが個別に判断するため、実際の手続きは管轄のハローワークへご確認ください。