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失業手当の受給中に開業するとき|再就職手当の要件と申請期限

退職後に失業手当(基本手当)を受けながら個人事業を始めると、準備を始めた時点で基本手当は止まります。その代わりに受け取れる再就職手当の要件・金額の計算・申請期限を、ハローワークの公式資料で整理します。

開業前後の雇用保険
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

会社を辞めて失業手当をもらっている間に、独立して個人事業を始めたい。開業の準備を始めたら手当はどうなるのか、再就職手当はもらえるのかは、ハローワークの決まりで判断されます。

この記事では、厚生労働省・ハローワークの「再就職手当のご案内」と雇用保険業務取扱要領をもとに整理します。開業届の書き方は個人事業の開業届で扱っています。

自営の準備を始めると基本手当は止まる

ハローワークの受給資格者のしおりは、失業の状態に当てはまらない例として「自営業(準備を含みます)をしている」を挙げ、収入の有無を問わないとしています。

岡山労働局の案内でも、自営業(準備を含む)を始める人は失業の状態を満たさなくなり、自営準備を始めた時点で失業給付は支給停止になります。その日より前の分は、求職活動の実績があれば認定を受けられます。

働いた日の扱いは、ハローワーク渋谷のQ&Aによると、原則として1日の労働時間が4時間未満なら「内職・手伝い」として収入を申告し、収入によって基本手当が減額されることがあります。4時間以上なら「就労・就職」で、その日の基本手当は支給されません。

申告しないまま受給すると不正受給になり、以降の支給が止まるほか、不正に受給した額の3倍の納付を命じられる場合があります。

事業を始めたときの再就職手当の要件

再就職手当は、就職だけでなく事業を始めた場合も対象です。「再就職手当のご案内」にある主な要件は次のとおりです。

要件内容
待期期間受給手続き後の7日間の待期期間が満了したあとに、就職または事業を開始したこと
残日数就職日(事業の準備期間があれば準備を始める日)の前日までの失業の認定を受けたうえで、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
過去の受給過去3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当を受けていないこと(事業開始にかかる再就職手当も含む)
給付制限がある人自営を開始した場合も、待期期間の満了後1か月の期間を経過したあとから対象

準備を始める日の前日にハローワークへ行き、失業認定申告書で届出をして認定を受けておく必要があります。届出をしたあとでなければ、再就職手当の申請手続きはできません。

一人で始める事業が認められる条件

雇用保険業務取扱要領は、事業を開始した場合は、その事業で自立できると認められたものが対象としています。次のいずれかに当たるものを、自立できるものとして扱います。

  • 受給期間内に始めた事業で、雇用保険の被保険者になる人を雇い入れ、雇用保険の適用事業の事業主になること(おおむね1年以下の期間を定めた事業を除く)
  • 開業届の写し(個人事業の場合)や事業許可証などの客観的資料で事業の開始・内容・事業所の実在が確認でき、かつ、1年を超えて事業を安定的に続けられる客観的条件を備えているとハローワーク所長が認めたもの

後者の「客観的条件」は、次の4つのいずれかに該当することとされています。

区分内容
資格・技能通常、独立開業できる程度の資格や技能を持ち、職業経験を活かして始めること
開業の経費事務所の賃借料、設備・機器・備品の購入費など一定の経費がかかり、地域の同種の事業とおおむね同様の事業実態にあること
補助的な人員被保険者にはならないが補助的に業務をこなす人(同居の親族を除く)を複数雇うこと
請負契約他の事業主との請負契約などの内容から、1年を超える事業の継続性が認められること

開業届を出しただけでは足りず、事業の実態を示す資料が求められます。事業の継続性が見込まれないと判断された場合や不支給になった場合には、別の給付である就業手当を案内できる場合がある、と岡山労働局の資料は説明しています。

支給額の計算と上限

支給額は、基本手当の支給残日数に応じた割合を、基本手当日額に掛けて計算します(1円未満は切り捨て)。

支給残日数計算
所定給付日数の3分の1以上支給残日数 × 60% × 基本手当日額
所定給付日数の3分の2以上支給残日数 × 70% × 基本手当日額

計算に使う基本手当日額には上限があります。「再就職手当のご案内」では、令和9年7月31日までの額として、離職時の年齢が60歳未満で6,745円、60歳以上65歳未満で5,454円と示されています。

次の表は説明用の架空条件です。所定給付日数が120日、基本手当日額が5,000円(上限以下)、支給残日数が90日の場合を想定します。

確認すること当てはめ
支給残日数の割合90日は所定給付日数120日の4分の3で、3分の2以上に当たる
支給額90日 × 70% × 5,000円 = 31万5,000円

実際の日額や残日数は受給資格者証で決まります。この金額は目安として見てください。

申請期限と提出する書類

申請は、事業を開始した日の翌日から1か月以内に、再就職手当支給申請書に書類を添えて、住所地を管轄するハローワークへ出します。起点は準備を始めた日ではなく、準備期間を含まない実際の事業開始日(事業所を設置した日)です。

添える書類は、個人事業の場合は開業届の写し、そのほか事業の開始・内容・事業所の実在が確認できる書類です。必要に応じて、免許などの資格を示す書類、事務所の賃貸契約、設備や備品の購入を示す書類、請負契約、フランチャイズ契約などの提出を求められます。

なお、事業を始めた人は、受給期間(原則1年)に算入しない期間を最大3年まで特例として申請できる制度もあります。再就職手当とは別の制度で、申請は事業の開始などの翌日から2か月以内です。

次に知りたいこと

まとめ

  • 自営業の準備を始めた時点で、失業の状態ではなくなり、基本手当は支給停止になる。
  • 再就職手当は、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あることなどが要件。準備を始める日の前日までに届出と失業認定を受ける。
  • 一人で始める事業は、開業届の写しなどの資料と、資格・経費・請負契約などの客観的条件でハローワークが認める。
  • 支給額は、支給残日数の60%または70%を基本手当日額に掛ける。申請は事業開始日の翌日から1か月以内。

公式一次情報

よくある質問

開業の準備中も、失業手当はもらえますか?
自営業の準備を始めた時点で失業の状態ではなくなり、基本手当は支給停止になります。準備前の期間は、求職活動の実績があれば認定を受けられます。
個人事業でも再就職手当はもらえますか?
事業で自立できるとハローワークが認めれば対象です。開業届の写しなどで事業の実態が確認でき、資格・経費・請負契約などの条件のいずれかに当たることが求められます。
再就職手当はいつまでに申請しますか?
事業を開始した日の翌日から1か月以内です。準備を始めた日ではなく、実際に事業を始めた日が起点です。
支給額はどう決まりますか?
支給残日数が所定給付日数の3分の1以上なら60%、3分の2以上なら70%を、支給残日数と基本手当日額に掛けて計算します。日額には上限があります。
本記事について。税理士監修前の概説です。制度は改正される場合があります。個別の判断は管轄のハローワークや専門家へご確認ください。

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