法人税の別表四・別表五(一)の読み方
法人税の申告書に付く別表四(所得金額の計算)と別表五(一)(利益積立金額などの計算)の役割、加算・減算、留保と社外流出、2つの表のつながりを、国税庁の記載の手引で整理します。
国税庁の記載要領法人化すると、決算書の利益をそのまま税額の計算に使うことはできません。別表四は、損益計算書の当期利益に申告調整を加えて、税務上の所得金額を出す表です。別表五(一)は、会社に積み上がった利益や資本の残高を管理する表で、別表四と数字がつながっています。
別表四と別表五(一)の役割
国税庁の記載の手引によると、別表四は「損益計算書に掲げた当期利益の額又は当期欠損の額を基として、いわゆる申告調整により税務計算上の所得金額若しくは欠損金額又は留保金額を計算するために使用」する表です。
別表五(一)は、利益積立金額と資本金等の額を計算するための表です。同じ手引に、法人税法2条18号と同施行令9条の利益積立金額、2条16号と同施行令8条の資本金等の額を計算するために使うと書かれています。
| 書類 | 何を出す表か | つながり先 |
|---|---|---|
| 別表四 | 税務上の所得金額(または欠損金額) | 所得金額は別表一に転記する |
| 別表五(一) | 利益積立金額・資本金等の額の期首と期末の残高 | 別表四の留保の金額を取り込む |
この記事の内容を申告書に落とすときの本PR
記事で確かめた内容を、申告書の記入や帳簿の付け方まで一冊で追いたいとき向けです。
加算と減算の代表例
別表四は、当期利益を出発点に、税法のルールに合わせて足したり引いたりします。足すのが「加算」、引くのが「減算」です。国税庁の様式にある欄名から、代表例を挙げます。
- 役員給与の損金不算入額:法人税法34条により損金の額に算入されない役員給与です。手引のチェックポイントでは、定期同額給与・事前確定届出給与・損金算入される業績連動給与のいずれにも当たらない金額を加算するかを確認する、とされています。
- 損金経理をした法人税・住民税・納税充当金:会計上は費用にしていても、法人税や住民税の納付は損金になりません。別表四の加算に入ります。
- 交際費等の損金不算入額:別表四の8欄に入る金額です。交際費等は原則として全額が損金不算入で、資本金1億円以下の法人などは、飲食費の50%相当額を超える部分、または年800万円を超える部分のいずれかの金額が損金不算入になります(国税庁タックスアンサーNo.5265)。1人あたり1万円以下の飲食費は、令和6年4月1日以後の支出から交際費等に含めません(それ以前は5,000円以下)。
- 減算の例:法人税等の中間納付額と過誤納の還付金、受贈益の益金不算入額、所得税額等の還付金額などの欄があります。
そのほか、加算にも減算にも自由記載欄があります。費用や収益として経理した金額と、税務上の扱いがずれるものを、名称と金額を書いて調整します。
留保と社外流出の違い
別表四の金額は「総額」「留保」「社外流出」の3つの欄に分かれます。国税庁の記載要領では、留保されている金額は「留保」欄に、社外に流出している金額は「社外流出」欄に記載します。
- 留保欄:総額から社外流出の合計額を引いた金額を記載する。
- 社外流出欄:たとえば「配当」には、剰余金の配当などの額を記載する。
- 社外流出が総額を超えるときは、その超える金額を留保欄に△印を付けて記載する。
末尾の「所得金額又は欠損金額」欄には、総額の金額は留保の金額に社外流出の金額を加えたものと符合する、という趣旨の注記があります。
別表五(一)とのつながりと作成順
別表五(一)の「減」欄には別表四の減算の留保の金額、「増」欄には別表四の加算の留保の金額を、内容に応じて記載するのが原則です(国税庁の記載の手引)。期首の残高は、前期の「差引翌期首現在」の金額を移記します。
国税庁の「法人税のあらましと申告の手引」の設例では、申告書は次の順に作ります。
- 別表四・別表五(一)などを作り、所得金額を確定する。
- 別表一を完成させ、納付税額を計算する。
- 租税公課の計算をして、別表五(一)を完成させる。
- 完成して提出する。
所得金額は別表四から別表一に転記します。所得がマイナスの欠損金額になるときは、別表七(一)の「当期分欠損金額」欄にも転記します。同じ手引には、すべての法人がすべての別表を作るわけではなく、活動内容や決算の状況で必要な別表が異なるとも書かれています。
決算書を確定するまでの流れは法人の決算と申告の流れ、決算前の仕訳の整理は決算整理仕訳、中間納付額は法人税の中間申告で確認できます。
まとめ
- 別表四は、当期利益に加算・減算をして税務上の所得金額を出す表。
- 別表五(一)は、利益積立金額と資本金等の額を管理する表で、別表四の留保の金額が増減に入る。
- 総額のうち社外に出た分が社外流出、会社に残る分が留保。
- 申告書は、別表四・五(一)で所得を確定してから別表一で納付額を出す順に作る。
実際の記載は会計ソフトや税理士に任せる会社が多いものの、役員給与や交際費がどの欄に出るかを知っておくと、決算の説明を受けるときに数字を追いやすくなります。
公式情報
- 国税庁「法人税のあらましと申告の手引」申告書作成上の留意点(令和7年10月)(別表四・別表五(一)の記載要領)
- 国税庁「法人税のあらましと申告の手引」申告書の仕組みと設例(作成の順序、別表四から別表一への転記)
- 国税庁「記載の手引」別表四(令和4年版。加算・減算の欄名、留保・社外流出)
- 国税庁「記載の手引」別表五(一)(令和4年版。別表四との連動)
- 国税庁タックスアンサーNo.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算
よくある質問
- 別表四とは何ですか?
- 損益計算書の当期利益を基に、申告調整で税務上の所得金額や欠損金額を計算する法人税の別表です(出典:国税庁「記載の手引」)。
- 別表四の留保と社外流出は何が違いますか?
- 留保されている金額は留保欄に、社外に流出している金額は社外流出欄に記載します。留保は総額から社外流出の合計を引いた金額です(出典:国税庁「記載の手引」)。
- 別表五(一)は何を計算する表ですか?
- 利益積立金額と資本金等の額を計算する表です。原則として、別表四の加算・減算の留保の金額が増減の欄に入ります(出典:国税庁「記載の手引」)。
- 交際費は別表四でどう扱われますか?
- 損金不算入額が算出された場合は、別表四の8欄に記載します。資本金1億円以下の法人などは、飲食費の50%相当額を超える部分、または年800万円を超える部分のいずれかの金額が損金不算入になります(出典:国税庁)。
あわせて読む
特例の適用を受けるとき申告書に添付する適用額明細書:法人税の適用額明細書とは|添付が必要な場合・添付し忘れたときの扱い・e-Taxでの出し方

