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解散・清算で受け取る残余財産の税金(みなし配当と株式の譲渡所得)

会社を解散・清算して社長(株主)が残余財産を受け取ったとき、個人の所得税はどう計算されるのか。配当所得とみなされる部分と、株式の譲渡所得等になる部分の分け方を説明します。

2026年時点の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

個人の株主が解散による残余財産の分配を受けると、受け取った額のうち資本金等の額を超える部分は配当所得とみなされ、残りは株式の譲渡所得等の収入金額とみなされます。1回の分配が、2種類の所得に分かれて課税されます。

1人で出資している会社を畳むときの流れで、このイメージを持っておくと、清算の前に何を確認すべきかが見えてきます。

分配額が2つに分かれる仕組み

所得税法25条1項は、法人の株主等が、解散による残余財産の分配などで金銭その他の資産の交付を受けた場合を定めています。交付を受けた金銭の額と資産の価額の合計が、その法人の資本金等の額のうち交付の基因となった株式に対応する部分の金額を超えるとき、その超える部分は剰余金の配当(配当所得)とみなされます。

みなし配当とされた部分を除いた金額は、国税庁のタックスアンサーNo.1536のとおり、一般株式等(上場株式等以外)に係る譲渡所得等の収入金額とみなされます。

部分所得の種類根拠
資本金等の額に対応する額を超える部分配当所得(みなし配当)所得税法25条1項4号
みなし配当を除いた残りの額株式等の譲渡所得等の収入金額租税特別措置法37条の10第3項、国税庁タックスアンサーNo.1536

法人が株主である場合にも、法人税法24条1項4号に同じ構造の定めがあります。この記事では、個人の株主を扱います。

みなし配当は配当所得(総合課税)

みなし配当は、所得税法上は剰余金の配当と同じ扱いの配当所得です。国税庁のタックスアンサーNo.1330によると、配当所得は原則として総合課税の対象で、確定申告の対象になります。大口株主等が受ける配当や上場株式等以外の配当は、申告分離課税や確定申告不要制度(少額配当の場合を除く)を選べない、とされています。

総合課税の対象とした配当所得には、一定のものを除いて配当控除が適用できます。他の所得と合算されるため、その年の給与や事業所得が大きい人ほど、税率が上がる点に注意が必要です。

残りは株式の譲渡所得等(税率20%)

みなし配当を除いた残りの額は、一般株式等に係る譲渡所得等の収入金額です。そこから株式の取得価額(出資額など)を差し引いたものが、譲渡所得等の金額になります。

一般株式等の譲渡所得等は、他の所得と分けて計算する申告分離課税です。国税庁のタックスアンサーNo.1463では、税率は20%(所得税15%、住民税5%)と示されています。このほか、所得税額に2.1%をかけた復興特別所得税もかかります。

計算例:資本金300万円の会社に1,000万円を分配

次の前提は、仕組みをつかむための仮定です。実際の金額は、会社の資本金等の額と株主の取得価額を確認して計算します。

  • 株主は社長1人で、会社の資本金等の額は300万円、株式の取得価額も300万円
  • 債務を弁済した後の残余財産1,000万円を、社長に金銭で分配する
項目金額計算
みなし配当(配当所得)700万円1,000万円-300万円
株式等の譲渡所得等の収入金額300万円1,000万円-700万円
譲渡所得等の金額0円300万円-取得価額300万円

この例では、課税されるのは700万円の配当所得で、譲渡所得等は0円です。会社に利益が積み上がっているほど、受け取った額の大部分が総合課税の配当所得になる点が、清算時の税負担を考えるうえでの出発点です。

受取額が出資額を下回るとき

会社が赤字で、受け取れた残余財産が出資額より少ないときは、みなし配当が生じず、受け取った額の全体が株式等の譲渡所得等の収入金額になります。取得価額を下回る部分は譲渡損失です。

国税庁のタックスアンサーNo.1463は、一般株式等に係る譲渡損失は、原則として上場株式等に係る譲渡所得等の金額から控除できず、また上場株式等と一般株式等は別々の申告分離課税とされていると説明しています。給与や事業所得との通算の可否は、個別の事情で変わるため、税務署や税理士へ確認してください。

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公式一次情報

本記事について。税理士監修前の概説です。みなし配当の額は資本金等の額と株主ごとの取得価額で決まり、個別の税額は事情により異なります。実際の清算では、税理士へ確認してください。