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解散時の期限切れ欠損金の損金算入の要件

債務超過の会社が解散して、清算中に債務免除益などの所得が出たとき、使い切れなかった過去の赤字を損金にできる制度があります。要件は法人税法59条4項に定められています。

法人税法59条4項
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

解散した会社に残余財産がないと見込まれるときは、青色欠損金を使ったあとでも残る過去の赤字(いわゆる期限切れ欠損金)を、清算中の事業年度の所得から差し引けます(法人税法59条4項)。債務の免除を受けて利益が出ても、税金だけが残る事態を避けるための制度です。

解散後の事業年度の区切りと申告の回数は法人解散から清算結了までの流れにまとめています。この記事では、その申告のなかで赤字を差し引ける条件に絞って説明します。

制度の内容と、設けられた理由

法人税法59条4項は、内国法人が解散した場合に残余財産がないと見込まれるときは、清算中に終了する事業年度より前の事業年度で生じた欠損金額をもとに計算した金額を、その事業年度の所得の金額の計算上、損金に算入すると定めています。

国税庁の質疑応答事例は、この制度の趣旨を次のように説明しています。平成22年度の税制改正で、解散した法人にも各事業年度の所得に法人税をかける仕組みになりました。その結果、残余財産がないのに、債務の免除などで所得が生じて税額が出る場合があるため、期限切れ欠損金の損金算入が認められました。

平成22年10月1日以後に解散する場合の、各事業年度の所得に対する法人税から適用されます。

使える条件(「残余財産がないと見込まれるとき」)

条文のうえで、使える場面は次のとおりです。

  • 法人が解散していること
  • 残余財産がないと見込まれること
  • 対象は、清算中に終了する事業年度(会社更生や民事再生の特例を受ける事業年度は除く)であること

判定の時期は、法人税基本通達12-3-7が「清算中に終了する各事業年度終了の時の現況」と定めています。解散した日の状態ではなく、事業年度ごとの期末の状態で判断します。

債務超過でなくても、使える場合があります。国税庁の質疑応答事例は、期末の実態貸借対照表で資産と負債が同額(残余財産がゼロ)になる場合も、「残余財産がないと見込まれるとき」に当たると考えられるとしています。

債務超過の判定の仕方(実態貸借対照表)

法人税基本通達12-3-8は、解散した法人が事業年度終了の時に債務超過の状態にあるときは、「残余財産がないと見込まれるとき」に該当すると定めています。

債務超過かどうかは、決算書の貸借対照表ではなく、実態貸借対照表で確認します。通達12-3-9は、法人の有する資産および負債の価額で作る貸借対照表をこう呼んでいます。資産の価額は、その事業年度終了の時の処分価格によります。

ただし、解散が事業譲渡などを前提としていて、資産が他の法人の事業のために続けて使われる見込みなら、使い続けられるものとして譲渡される場合の通常の価額によります(通達12-3-9の注)。

国税庁の質疑応答事例には、判定のなかで未払法人税等を負債に含めてよいかを問うものがあります。回答は、未払法人税等を負債に含めた実態貸借対照表で判定してよい、というものです。

場面国税庁の整理
期末に債務超過「残余財産がないと見込まれるとき」に該当(通達12-3-8)
期末に資産と負債が同額(残余財産ゼロ)債務超過でなくても該当すると考えられる(質疑応答事例)
当期の未払法人税等がある負債に含めた実態貸借対照表で判定する(質疑応答事例)

質疑応答事例の設例では、解散時に純資産が△1億円の会社が、土地の売却益で純資産が5,000万円のプラスになったのち、当期の法人税等6,000万円を負債に加えて△1,000万円になる場面を扱っています。期中にいったん債務超過が解消しても、期末の判定で債務超過なら使えます。

損金にできる金額の計算

国税庁の質疑応答事例によると、損金にできる期限切れ欠損金額は、次の①から②を引いた金額です。

  • ①適用年度終了の時における、前事業年度以前から繰り越された欠損金額の合計額(税務上の金額で、法人税申告書別表五(一)の期首現在利益積立金額の差引合計額がマイナスのときのその金額)
  • ②その事業年度に損金になる青色欠損金額・災害損失欠損金額

①は決算書の金額ではなく、税務上の金額を使います。また、損金にできる額には上限があり、青色欠損金額などを引いたあとの所得の金額までです。青色欠損金を先に使い、足りない部分に期限切れ欠損金を使う順序になります。

次の数字は、仕組みを見るための仮の例です。

項目金額(仮の例)
債務免除益などを含む清算中の事業年度の所得(欠損金を引く前)4,000万円
その事業年度に損金になる青色欠損金額500万円
青色欠損金額を引いたあとの所得(上限)3,500万円
期首の利益積立金額の差引合計額(マイナス)△3,000万円
期限切れ欠損金額(3,000万円−500万円)2,500万円
損金にできる期限切れ欠損金額(上限3,500万円以内)2,500万円
残る課税所得1,000万円(4,000万円−500万円−2,500万円)

この例では、青色欠損金額と期限切れ欠損金額を合わせて3,000万円を差し引き、1,000万円が課税所得として残ります。

申告書に添付する書類

この損金算入は、確定申告書に添付書類があるときに限って適用されます(法人税法59条6項)。添付するのは、損金に算入される金額の計算に関する明細を記載した書類と、残余財産がないと見込まれることを説明する書類です。

説明する書類として、通達12-3-9は、清算中に終了する各事業年度終了の時の実態貸借対照表を例に挙げています。添付がなかったことにやむを得ない事情があると税務署長が認めるときは、適用できる扱いもあります(同条7項)。

期末ごとに実態貸借対照表が必要になる点は、解散後に清算が長引くほど手間が増えます。清算の期間と申告の回数は、合同会社の解散後の事業年度と法人税の申告回数で確認できます。

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公式一次情報

本記事について。税理士監修前の概説です。損金にできる金額や実態貸借対照表の作り方は、会社の状況によって異なります。実際に解散するときは、税理士へ確認してください。

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