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役員借入金の債務免除|益金・青色欠損金・期限切れ欠損金

社長が会社への貸付金を放棄したときの会社側の法人税の扱いを説明します。

国税庁の解釈
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

赤字が続いて役員借入金がふくらんだ会社で、社長が「返済は要らない」と貸付金を放棄することがあります。会社から見ると借金が消えるので、その分が利益として扱われ、法人税の対象になります。

結論:債権放棄を受けた金額は、法人税の所得の計算で益金に算入されます。青色申告を続けている中小法人等は、過去の青色欠損金で相殺できますが、使えるのは所得の範囲までです。期限切れの欠損金まで使えるのは、特別清算開始など政令で定める場面に限られます。

この記事は、会社側の法人税の扱いを3つの段階で確認します。放棄した社長個人の側の課税は、事情によって異なります。

債務免除益は益金になる

国税庁の質疑応答は、法人債務者が債権放棄を受けた場合、その金額は法人税の所得金額の計算上、益金の額に算入されるとしています(法人税法22条)。この質疑応答は特定調停の事例ですが、債権放棄を受けた金額が益金になるという一般的な取扱いを述べています。

役員借入金が1,000万円あり、社長が全額を放棄すると、会社の借入金は消えます。会社は現金を払わずに借入れの負担を免れるため、その分が利益として加わります。現金が増えるわけではないのに税金がかかる点が、見落とされやすい部分です。

役員借入金そのものの仕組みは役員借入金とはで整理しています。

青色欠損金で相殺できる範囲

同じ質疑応答は、青色申告書を連続して提出している中小法人等の場合、その事業年度の前10年間に生じた欠損金(青色欠損金)が損金の額に算入されるとしています(法人税法57条)。ただし、損金算入できる限度は、青色欠損金を損金に算入する前の所得金額です。

国税庁のNo.5762でも、欠損金の繰越控除を受けるには、欠損金が生じた事業年度に青色申告書で確定申告書を出し、その後も連続して確定申告書を提出している必要があるとされています。

  • 債務免除益を含めた所得が、青色欠損金の額より小さければ、その所得の範囲までしか相殺されません。
  • 青色欠損金のほうが大きければ、所得は0になり、使い切れなかった欠損金は翌期以降に繰り越されます。
  • 中小法人等の範囲(資本金1億円以下の普通法人など)には除外される場合があるため、自社が該当するかは国税庁の質疑応答で確認してください。

欠損金の繰越しの基本は欠損金の繰越控除で確認できます。

期限切れ欠損金が使える場面

青色欠損金より前に生じた欠損金(期限切れ欠損金など)まで損金にできる制度が、法人税法59条にあります。国税庁の質疑応答は、会社法の特別清算開始の命令があった場合などで、債権者から債権放棄を受けたときや、役員・株主から私財提供を受けたときに、青色欠損金より前に生じた欠損金等も損金の額に算入されるとしています。

ここでいう「場合など」は、法人税法施行令117条の3に定められた事実が生じたときです。法人税基本通達12-3-1は、法律の定める手続による資産の整理のほか、次のような資産の整理も含むとしています。

注意:通達は、親会社が子会社に対する債権を単に免除するようなものではなく、債務の免除が多数の債権者によって協議の上決められるなど、決定に恣意性がなく内容に合理性がある資産の整理を対象にしています。社長が一人で債権を放棄するだけでは、この制度の対象になるとは限りません。使えるかどうかは、税理士や税務署に確認してください。

解散して残余財産がないと見込まれる場合の扱いは、解散時の期限切れ欠損金で整理しています。

計算の例

計算の例(金額は仮定):中小法人等で青色申告を続けている会社で、債務免除益を除いた当期の所得が100万円、社長の債権放棄が500万円、繰り越されている青色欠損金が300万円の場合です。
項目金額
債務免除益を含む、欠損金控除前の所得600万円(100万円+500万円)
損金に算入できる青色欠損金300万円(限度は600万円)
課税所得300万円

青色欠損金が100万円しかなければ、課税所得は500万円になります。債務免除益が大きいほど、欠損金で吸収できるかが分かれ目になります。法人税の税率の目安は中小法人の税率で確認できます。

放棄する前の注意点

  • 放棄する年度の所得を先に見積もります:債務免除益は放棄した事業年度の所得に入ります。青色欠損金で足りるかを、決算の前に試算します。
  • 放棄の事実を書面に残します:放棄の時期と金額が決算の処理とずれないよう、放棄の意思表示と金額を書面にし、帳簿の処理と合わせます。
  • 社長個人の側の扱いは別に確認します:放棄した社長の課税関係は、貸付金の内容や会社の状況によって異なります。公式の個別事例で断定できないため、税務署または税理士に確認してください。

決算全体の流れは法人の決算と申告で確認できます。

まとめ

  • 債権放棄を受けた金額は、法人税の所得の計算で益金に算入される。
  • 青色申告を連続して提出している中小法人等は、前10年間の青色欠損金を、欠損金控除前の所得を限度に損金にできる。
  • 期限切れ欠損金まで使えるのは、特別清算開始など政令で定める場面に限られ、通達が挙げる合理的な資産の整理に当たるかは個別に判断される。
  • 社長が一人で放棄するだけでは、期限切れ欠損金が使えるとは限らない。

公式一次情報

よくある質問

社長が会社への貸付金を放棄すると、会社に税金がかかりますか?
債権放棄を受けた金額は益金に算入されるため、所得が出れば法人税の対象になります。青色欠損金で相殺できる場合があります(出典:国税庁)。
債務免除益は青色欠損金で相殺できますか?
青色申告書を連続して提出している中小法人等は、前10年間の青色欠損金を、欠損金控除前の所得を限度に損金にできます(出典:国税庁)。
期限切れ欠損金は使えますか?
特別清算開始の命令があった場合など政令で定める場面で、債権放棄や私財提供を受けたときに使えます。社長一人の放棄だけでは使えるとは限りません(出典:国税庁)。
債務免除益が出ても現金はないのに税金を払うのですか?
債務免除益は現金の収入ではありませんが、所得の計算では益金に入ります。欠損金で相殺できなければ、法人税を納めることになります(出典:国税庁)。
本記事について。税理士監修前の概説です。制度・期限は改正される場合があります。個別の判断は税務署または専門家へご確認ください。

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