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役員借入金とは?資本金との違い・無利息のリスク・相続時の評価

会社の資金が足りないとき、社長個人がお金を貸す「役員借入金」を、出資(資本金)にする場合と比べた税務上の違いを、国税庁・法務省の公式情報にもとづき整理します。

法人化(法人成り)
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

法人成りの直後は、設立費用や運転資金が足りず、社長個人が会社に立て替えることがあります。この立て替えを出資(資本金)にするか、貸付(役員借入金)にするかで、登記費用・毎年の均等割・返済したときの扱いが変わります。個人から会社へお金を移すときの法律上の位置づけは、「法人成りで個人の事業用口座はどうなるか」で解説済みのため、本記事では税務上の違いに絞って整理します。

資本金にする場合との違い

設立時に出資すると資本金の額として登記され、登録免許税は資本金の額の1,000分の7(株式会社は最低15万円)がかかります。役員借入金として貸す場合は資本金の額に含まれないため、この登録免許税は発生しません。資本金そのものの決め方は法人設立時の資本金の決め方で解説しています。

法人住民税の均等割にも差が出ます。地方税法は、資本金等の額が1,000万円以下の法人の均等割の標準税率を、道府県民税で年額2万円、市町村民税では従業者数50人以下の場合に年額5万円と定めています。役員借入金は資本金等の額に算入されないため、出資を増やす場合と違い、この均等割の区分を押し上げません。

比べる点出資(資本金)役員借入金
設立登記の登録免許税資本金の額の1,000分の7(株式会社は最低15万円)かからない
均等割の区分資本金等の額に算入され、区分を押し上げうる算入されない
返済減資等の手続きが必要合意すればいつでも返済できる

無利息で貸した場合はどうなるか

社長個人が会社に利息を付けて貸し、利息を受け取った場合、その利息は預貯金や公社債の利子ではないため、国税庁の区分では利子所得に含まれず雑所得として課税されます。

無利息で貸した場合の会社側の扱いについては、法人税法22条2項が無償による資産の譲受けその他の取引に係る収益の額を益金に算入すると定めていますが、株主・役員から会社への無利息の資金拠出を直接どう扱うかを示した公式の個別解説は確認できていません。個別の判断は税理士にご確認ください。

返済・免除したときの扱い

役員借入金の元本を返済すること自体は、会社が負っていた債務を履行するものです。出資の払い戻し(減資)の場合は、株式に対応する資本金等の額を超える部分がみなし配当として配当課税の対象になりえますが、借入金の返済にはこのみなし配当の規定は関係しません。

一方、役員が会社に返済を求めず債務を免除した場合、会社側にはその免除額が「債務免除益」として生じます。法人税法22条2項により、この債務免除益は原則として益金に算入され、法人税の課税対象になります。資金繰りに困って安易に免除するのではなく、返済計画や増資への切り替えを検討したほうがよい場面もあります。

相続が発生した場合の評価

役員借入金は、会社から見れば債務ですが、貸した役員個人から見れば会社に対する貸付金債権です。役員に相続が発生すると、この貸付金債権は財産評価基本通達にもとづき、原則として元本(返済されるべき金額)と課税時期までの既経過利息の合計額で評価され、相続財産に加わります。

会社の経営が悪化して回収が難しい場合は、手形交換所の取引停止処分や会社更生手続の開始など一定の事由に該当すれば、回収が不可能または著しく困難と見込まれる部分を元本の価額に算入しないとされています。役員借入金を整理せずに放置すると、額面どおりの相続財産として課税されるおそれがある点に注意してください。

役員借入金を資本金に組み入れる場合の会社法上の注意は法人の増資の手続きと費用で扱っています。社長と会社の取引に必要な承認と議事録は社長と会社の取引(利益相反取引)の承認と議事録で扱っています。

まとめ

会社への資金拠出を出資にするか役員借入金にするかで、登録免許税・均等割の区分・返済のしやすさが変わります。役員借入金は登記費用や均等割の面では負担が軽い一方、利息を受け取れば雑所得の課税対象になり、返済を免除すれば会社に債務免除益が生じ、相続が発生すれば額面ベースで相続財産に加算されます。

会社が反対に役員へお金を貸す場合の認定利息の扱いは役員貸付金の認定利息で、資本金の決め方は法人設立時の資本金の決め方で解説しています。

よくある質問

役員借入金には利息を付けなければいけませんか?
会社が役員に貸す場合と異なり、役員が会社に貸す場合に利息を付けることを義務付ける公式の規定は確認できていません。利息を受け取れば雑所得として課税されます(出典:国税庁)。
役員借入金を資本金に振り替えることはできますか?
デット・エクイティ・スワップ等の手法で借入金を資本に振り替える実務はありますが、会社法・税務上の手続きが必要です。個別の判断は税理士・司法書士にご確認ください。
役員借入金があると相続税が増えますか?
役員個人からみると会社への貸付金債権にあたり、原則として元本と既経過利息の合計額で評価され相続財産に加算されます。回収が著しく困難な事由がある場合は評価が減額されることがあります(出典:国税庁)。

公式一次情報

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本記事について。税理士監修前のプロトタイプによる概算です。出資と貸付のどちらを選ぶかの判断は個別事情で異なります。実際の処理は税理士・司法書士にご相談ください。