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債務超過の会社を解散・清算するには|特別清算と破産の違い

会社の財産で借金を返しきれないとき、通常の清算は進められません。株式会社の特別清算と破産の分かれ目、合同会社の場合、手続きの流れを説明します。

条文で確認済み
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

結論から書くと、債務超過の疑いがある株式会社の清算人は、特別清算開始の申立てをしなければなりません。財産で債務を完済できないことが明らかになったときは、直ちに破産手続開始の申立てをします。合同会社などの持分会社に特別清算はなく、債務超過が明らかなら破産の申立てです。

通常清算では進められない場合

株主総会で解散を決めると、会社は清算に入ります。通常の清算は、財産を現金にして債務を弁済し、残りを株主に分配する手続きです。流れは法人の解散・清算の手続きで整理しています。

ところが、財産を全部使っても債務を返しきれないと分かった場合は、通常清算の前提が崩れます。会社法は、この場合の道筋を2つ用意しています。

会社の状態清算人がすること根拠
債務超過の疑いがある特別清算開始の申立て会社法第511条第2項
財産で債務を完済できないことが明らか直ちに破産手続開始の申立て会社法第484条第1項
ポイント:債務超過の「疑い」の段階は特別清算、完済できないことが「明らか」になった段階は破産と、条文の書き方が分かれています。どちらに当たるかの判断は、会社の資産と負債の状況によるため、弁護士など専門家への相談が前提になります。

特別清算とは何か

特別清算は、解散して清算中の株式会社について、裁判所が関与して進める清算手続きです。会社法第510条は、開始の原因を2つ定めています。

  • 清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があること
  • 債務超過(財産が債務を完済するのに足りない状態)の疑いがあること

申立てができるのは、債権者・清算人・監査役・株主です(会社法第511条第1項)。債務超過の疑いがあるときは、清算人に申立ての義務があります。

裁判所は、原因があると認めれば開始を命じます。ただし、手続きの費用の予納がないとき、清算を結了する見込みがないことが明らかなとき、債権者の一般の利益に反することが明らかなときなどは、開始されません(会社法第514条)。

特別清算の流れ

条文に沿って並べると、おおむね次の順です。

  1. 開始の申立て・開始の命令:清算人などが裁判所へ申し立て、裁判所が開始を命じます(会社法第510条・第514条)。
  2. 債権者集会への報告:清算人が会社の財産を調べて財産目録等を作り、債権者集会を開いて調査結果と清算の方針を報告します(会社法第562条)。
  3. 協定の案を作る:債権者の権利を変更する条項(債務の減免や期限の猶予など)を定めた協定を用意します(会社法第564条)。
  4. 債権者集会で協定を可決する:出席した議決権者の過半数の同意と、議決権の総額の3分の2以上の議決権を持つ者の同意の、両方が必要です(会社法第567条)。
  5. 認可の申立て・認可の決定:可決されたら、会社は遅滞なく裁判所に認可を申し立てます。裁判所は、不認可の事由がなければ認可を決定します(会社法第568条・第569条)。
  6. 協定の実行と終結:協定どおりに弁済し、特別清算が結了したときなどに、裁判所が特別清算終結の決定をします(会社法第573条)。

債権者の同意が得られる見込みが薄いなど、手続きが進められないときは、次の項のとおり破産に移ることがあります。

破産との違い

法人の破産手続開始の原因は、支払不能または債務超過です(破産法第15条第1項・第16条第1項)。存立中の合名会社と合資会社には、債務超過の原因は適用されません(同条第2項)。

項目特別清算破産
対象解散して清算中の株式会社株式会社・合同会社などの法人
始まるきっかけ清算の支障、または債務超過の疑い支払不能または債務超過
債権者との関係協定で権利の変更を定め、債権者集会で可決破産法に従い財産を換価して配当
根拠会社法第510条以下破産法

特別清算の途中で、協定の見込みや実行の見込みがない場合、または特別清算によることが債権者の一般の利益に反する場合は、破産原因があると認める限り、裁判所は職権で破産手続開始の決定をしなければなりません(会社法第574条第1項)。協定が否決されたときや不認可が確定したときも、破産手続を開始できます(同条第2項)。

通常清算の途中で破産手続が始まった場合、清算人は破産管財人に事務を引き継いで任務を終えます。清算株式会社が債権者に支払い、または株主に分配したものがあれば、破産管財人は取り戻すことができます(会社法第484条第2項・第3項)。

合同会社の場合

特別清算は、会社法の「清算株式会社」についての制度です。合同会社などの持分会社には、特別清算の定めはありません。

清算持分会社の財産が債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は直ちに破産手続開始の申立てをしなければなりません(会社法第656条第1項)。清算人が破産管財人に事務を引き継いだ後の取扱いは、株式会社と同じ構造です(同条第2項・第3項)。

注意:合同会社を畳む通常の手続きは合同会社の解散・清算の登記で整理していますが、債務超過が明らかな場合はその手続きでは足りません。

税金と登記で確認する点

特別清算の開始・終結は、裁判所書記官が職権で、会社の本店所在地を管轄する登記所に登記を嘱託します(会社法第938条第1項)。通常清算の解散・清算結了の登記のように、会社が申請書を出す形ではありません。

債権者から債務の免除を受けた場合の税の扱いは、別の論点です。解散時の期限切れ欠損金の扱いは解散時の期限切れ欠損金の損金算入の要件、債権者側の貸倒れの扱いは法人の貸倒損失で確認できます。

申立ての費用、期間、債権者が受け取れる割合は、事案ごとに異なり、法令で全国一律には決まっていません。

よくある質問

債務超過だと、解散だけして放置してもよいですか?
債務超過の疑いがあるとき、清算人には特別清算開始の申立ての義務があり(会社法第511条第2項)、完済できないことが明らかなときは直ちに破産手続開始の申立てをする義務があります(同法第484条第1項)。
特別清算と破産はどちらを選べますか?
条文は、債務超過の疑いの段階と、完済できないことが明らかな段階で、申立ての義務を分けています。個別にどちらが適切かは、財産と債務の状況による判断なので、弁護士に相談してください。
特別清算は合同会社でも使えますか?
使えません。特別清算は清算株式会社の制度です。合同会社は、債務超過が明らかなら破産の申立てになります(会社法第656条第1項)。
債権者が反対すると、特別清算はどうなりますか?
協定の可決には、出席した議決権者の過半数と、議決権総額の3分の2以上の同意が要ります(会社法第567条)。否決されたときは、裁判所が破産手続開始の決定をすることがあります(同法第574条第2項)。

清算以外の出口と手取りを比べる

債務超過ではなく、株式譲渡・事業譲渡・清算のどれで会社を手放すか迷う場合は、手取りの比較が判断材料になります。

公式情報

  • e-Gov法令検索「会社法」(第484条 清算株式会社についての破産手続の開始、第510条・第511条・第514条 特別清算、第562条・第564条・第567条〜第569条 協定、第573条・第574条 終結と破産への移行、第656条 清算持分会社についての破産手続の開始、第938条 登記の嘱託)
  • e-Gov法令検索「破産法」(第15条・第16条 破産手続開始の原因)
本記事について。税理士・弁護士監修前の一般的な整理です。債務超過の会社の手続きは、個別の事情で選ぶ手続きが変わるため、弁護士などの専門家にご相談ください。

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