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個人が非上場株式を売ったときの税金(20.315%・赤字は通算不可)

法人成りで持った自分の会社の株や、取引先の非上場会社の株を個人として売ると、利益は「一般株式等に係る譲渡所得等」として他の所得と分けて課税されます。税率、損失の扱い、取得費の計算、安く売ったときの注意点を説明します。

国税庁タックスアンサーNo.1463・1465・1466/所得税法59条
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

自分の会社の株を家族や第三者に売る、事業を譲るために株を手放す、といった場面では、売った本人の所得税と住民税がいくらになるかが気になります。給与や事業の所得とは別の計算になるため、普段の確定申告の感覚で見積もると外れます。

この記事は、個人(売る側)が上場していない株式を売ったときの税金だけを扱います。会社が株を売る場合の法人税は法人が株式を売ったときの法人税を、会社を手放す全体の手取りは会社を手放す3つの出口の手取り比較を見てください。

非上場株式は「一般株式等」に区分される

国税庁のタックスアンサーNo.1463は、株式等の譲渡による所得を「上場株式等に係る譲渡所得等」と「一般株式等に係る譲渡所得等」に区分しています。どちらも、他の所得と分けて税額を計算する申告分離課税になります。一般株式等は、上場株式等以外の株式等をいいます。

株式会社の株式だけでなく、合同会社の社員の持分も「株式等」に含まれます。自分が出資した合同会社の持分を売る場合も、この区分で考えます。

区分主なもの
上場株式等金融商品取引所に上場されている株式、ETF、公募投資信託の受益権など
一般株式等上場株式等以外。非上場会社の株式、合同会社などの社員の持分

2つの区分は別々に計算します。上場株式等の譲渡損失を一般株式等の譲渡益から引くことはできません。

税率は所得税15%・住民税5%(復興特別所得税を加えて20.315%)

一般株式等の譲渡益の税率は、所得税15%と住民税5%の合計20%です。ほかに、平成25年から令和29年までの各年分は復興特別所得税を所得税と併せて申告・納付します。復興特別所得税は、基準所得税額に2.1%を掛けて計算します。

税目税率
所得税15%
復興特別所得税所得税額の2.1%(実質0.315%)
住民税5%
合計20.315%

合計の20.315%は、15%に2.1%を掛けた0.315%を加えて計算した目安です。給与や事業の所得の税率(累進課税)は適用されません。たとえば譲渡益が1,000万円なら、税額は約203万円が目安です。

利益の計算と取得費の出し方

一般株式等の譲渡所得等の金額は、次の式で求めます(No.1463)。

譲渡所得等の金額:総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)

取得費は、その株式を手に入れるために払った金額です。同じ会社の株を2回以上に分けて買っている場合は、No.1466が定める総平均法に準ずる方法で1株あたりの金額を出します。

記号意味
A最初に購入した時(すでに譲渡していれば直前の譲渡の時)の購入価額の総額
Bその後、今回の譲渡の時までの購入価額の総額
C・DA・Bそれぞれに係る株式の総数

1単位あたりの金額は(A+B)÷(C+D)で求め、これに売る株数を掛けたものが取得費です。創業時の出資と、その後の増資の引受けを分けて持っている場合は、この平均で考えます。

売る価格が決まらない場面では、会社の株の値段をどう見積もるかが先に問題になります。評価の方法は別の論点で、この記事では扱いません。

赤字になったとき:他の所得と通算できない

安く売って損が出ても、その赤字は他の所得と差し引けません。No.1465の取扱いを整理すると次のとおりです。

場面扱い
一般株式等の赤字と、給与・事業所得など他の所得の黒字差し引けない
不動産所得など他の所得の赤字と、株式の譲渡益差し引けない
一般株式等の赤字と、上場株式等の黒字差し引けない(エンジェル税制の特例を除く)
一般株式等の赤字を翌年以降に繰り越す繰越控除は上場株式等の譲渡損失が対象。一般株式等の黒字からは控除できない

例外として、特定中小会社が発行した株式を払込みで取得し、適用期間内に譲渡して(親族等への譲渡などは除く)生じた一定の損失は、要件を満たすと損益通算や繰越控除ができます。この特例(エンジェル税制)は、都道府県知事の確認書などが必要です。

  • 売却損が出ると見込まれるときは、他の所得を減らす効果を期待して売らない。
  • 売るタイミングを複数年に分けても、一般株式等の損益は年ごとに別々に計算される。

安く売ったときの扱い(相手が法人か個人か)

所得税法59条1項2号は、著しく低い価額で法人に対して株式などを譲渡したときに、その時の時価で譲渡したものとみなして所得を計算すると定めています。「著しく低い価額」は、所得税法施行令169条で、譲渡の時の価額の2分の1に満たない金額とされています。

自分の会社に株を売る場合の相手は法人です。時価の半分未満で売ると、実際にもらった金額ではなく時価で売ったものとして所得に計算されるおそれがあります。会社が自社の株を買い取る場合の課税は、自己株式の取得とみなし配当が別の論点になります。

売る相手低い価額で売ったときの所得税の扱い
法人時価の2分の1未満なら、時価で譲渡したとみなす(所得税法59条1項2号・施行令169条)
個人みなし譲渡の対象は法人への譲渡に限られる。時価の2分の1未満で、かつ取得費などに満たない価額で売ったときは、その不足額がなかったものとみなされる(所得税法59条2項)

個人どうしで安く売る場合は、買った側に贈与税が関係する可能性があります。親族に譲る場面の手続きは株式の譲渡承認の手続きで説明しています。

確定申告の時期

一般株式等の譲渡所得は、他の所得と分けて計算しますが、申告は確定申告で行います。申告期間は、所得税法120条が、売った年の翌年2月16日から3月15日までと定めています(期間の曜日による変動は、その年の国税庁の案内で確認してください)。

  • 譲渡価額と取得費の根拠になる契約書や出資の払込みの記録を残しておく
  • 株式の売却で生じた所得は、事業の所得と合算されないので、売却益の分の納税資金を別に確保する

売却の前後に会社の役員を退く場合の退職金や、会社に残る財産の分配は、別の課税になります。全体の流れは解散・清算で受け取る残余財産の税金や出口戦略で確認できます。

公式一次情報

よくある質問

非上場株式を売った利益の税率はいくらですか?
所得税15%と住民税5%の合計20%です。復興特別所得税(所得税額の2.1%)を加えると、合計は20.315%が目安です(国税庁No.1463)。
株を売って損が出たら、給与所得などと通算できますか?
できません。一般株式等の譲渡損失は、他の所得の黒字から差し引けず、繰越控除も一般株式等の黒字には使えません。特定中小会社の株式の一定の損失はエンジェル税制の特例があります(国税庁No.1465)。
取得費はどう計算しますか?
同じ会社の株を2回以上買っている場合は、総平均法に準ずる方法で1株あたりの金額を出し、売った株数を掛けます(国税庁No.1466)。
自分の会社に安く株を売ってもよいですか?
時価の2分の1に満たない価額で法人に売ると、時価で譲渡したものとみなされます(所得税法59条1項2号・施行令169条)。価額は専門家に確認してから決めてください。
確定申告はいつまでにしますか?
売った年の翌年2月16日から3月15日までの確定申告期間です(所得税法120条)。

まとめ

  • 非上場株式や合同会社の持分は一般株式等で、他の所得と分けて申告分離課税になる。
  • 税率は所得税15%・住民税5%で、復興特別所得税を加えて20.315%が目安。
  • 利益は譲渡価額から取得費と手数料を引いて計算する。複数回買った分は総平均法に準ずる方法。
  • 赤字は他の所得と通算できず、原則として一般株式等の赤字の繰越控除もない(エンジェル税制を除く)。
  • 法人へ時価の2分の1未満で売ると、時価で譲渡したとみなされる。

次に知りたいことは、会社を手放す3つの出口の手取り比較、自己株式の取得とみなし配当、解散・清算で受け取る残余財産の税金です。

本記事について。税理士監修前の概説です。株式の評価や売却の判断は、個別の事情で結論が変わります。実際の売却前に税理士などの専門家に確認してください。

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