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株式の譲渡承認の手続き|承認請求・みなし承認・名簿書換え

譲渡制限のある株式を家族や後継者へ譲るときの、会社への承認請求、決議の機関、通知の期限、承認しない場合の買取り、株主名簿の書換えまでを説明します。

会社法
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

定款で株式の譲渡に会社の承認を必要とする「譲渡制限」を定めている会社の株式を家族や後継者に譲るには、承認を得る手続きが必要です。

この記事では、株式を譲りたい株主が会社へ出す請求から、会社が2週間以内に通知しなければ承認したものとみなされる規定、承認後の株主名簿の書換えまでを説明します。

譲渡制限株式とは

会社法第127条は、株主が株式を譲渡できることを原則としています。一方、第107条第1項第1号は、発行する全部の株式の内容として、譲渡による取得に会社の承認を要することを定められるとしています。承認が必要な旨は定款に定めます(同条第2項第1号)。

この定めがある株式が譲渡制限株式です。定款に定めがない会社では、承認の手続きは不要です。定款の定めの有無は、会社の定款または登記事項証明書で確認してください。

承認の請求と会社の決定

第136条により、譲渡制限株式の株主は、株式を他人に譲ろうとするとき、会社に対して、その人が株式を取得することを承認するか否かの決定を請求できます。株式を取得した人も、第137条第1項により、取得したことの承認を請求できます。

第138条によると、請求では次の事項を明らかにします。

  • 譲り渡そうとする譲渡制限株式の数
  • 株式を譲り受ける人の氏名または名称
  • 承認しない場合に、会社または指定買取人が株式を買い取ることを請求するときは、その旨

承認するか否かの決定は、株主総会(取締役会設置会社は取締役会)の決議で行います。定款に別段の定めがあればそれに従います(第139条第1項)。会社は、決定の内容を請求した人に通知しなければなりません(同条第2項)。

株式を取得した人からの請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、株主名簿に記載された株主またはその相続人などと共同で行います(第137条第2項)。

2週間のみなし承認

第145条第1号によると、会社が請求の日から2週間以内に、決定の内容を通知しなかった場合は、承認する旨の決定をしたものとみなされます。定款で2週間より短い期間を定めている場合は、その期間です。会社と請求した人が合意して別の定めをしたときは、この限りではありません。

会社の側は、請求を受けたら2週間以内に、決議と通知を終える必要があります。請求した側は、請求した日を記録しておくと、期限を確認できます。

承認しないときの買取り

会社が承認しない旨を決定した場合に、請求で買取りを求めていたときは、会社は対象の株式を買い取らなければなりません(第140条第1項)。買い取る旨と数は、株主総会の決議で決めます。

株式を譲ろうとする人は、原則としてこの株主総会で議決権を行使できません。ただし、その人以外の株主全員が議決権を行使できない場合は除かれます(同条第2項・第3項)。

会社は、対象の株式の全部または一部を買い取る人(指定買取人)を指定することもできます(同条第4項)。指定は、株主総会(取締役会設置会社は取締役会)の決議で行います(同条第5項)。

買取りを通知するときは、会社または指定買取人が、1株当たり純資産額に対象の株式数を掛けた額を、本店の所在地の供託所に供託します(第141条第2項、第142条第2項)。

みなし承認の期限は、買取りの通知にもあります。承認しない旨の通知の日から40日以内に会社が買取りを通知しなかった場合は、承認したものとみなされます。指定買取人が10日以内に通知した場合は除かれます。

40日と10日は、定款でそれより短くできます(第145条第2号)。

株主名簿の書換え

承認を得て株式を取得した人は、第133条により、会社に対して株主名簿への記載を請求できます。この請求も、法務省令で定める場合を除き、名簿上の株主またはその相続人などと共同で行います(第133条第2項)。

第130条第1項は、株式の譲渡は、取得した人の氏名または名称と住所を株主名簿に記載しなければ、会社その他の第三者に対抗できないと定めています。承認を得ただけでは足りず、名簿の書換えまで進めてください。株券を発行する会社では、同条第2項により、対抗できない相手が会社だけになります。

相続で株式を取得した人には、承認の請求ではなく、会社から売渡しを請求する仕組みがあります。相続人等に対する株式の売渡請求で確認できます。

相続人が複数いて株式が共有のときの議決権は、権利行使者の指定の記事にまとめています。相続人の名義書換は相続した株式の名義書換で確認できます。

株主総会の議事録や決議の書き方は、株主の相続と株主総会議事録の記事も参考になります。株式を譲り受けて他の会社を子会社にする株式交付の会社法上の手続きは株式交付の手続きで整理しています。

譲渡制限の有無で変わる取締役会・任期・新株発行の決まりは、公開会社と非公開会社の違いで整理しています。売る側の個人にかかる税金は個人が非上場株式を売ったときの税金で説明しています。

公式一次情報

まとめ

譲渡制限株式を譲るときは、会社へ承認を請求し、株主総会または取締役会の決議で決めてもらいます。会社が請求から2週間以内に通知しなければ、承認したものとみなされます。承認後は、株主名簿の書換えまで済ませて、会社と第三者に対抗できる状態にします。

次に知りたいことは、法人成りの役員の人数、役員の任期と重任登記、株主の相続と議事録、法人が株式を売ったときの法人税の記事で確認できます。

よくある質問

家族に株式を譲るときも、会社の承認は必要ですか?
定款に譲渡制限の定めがある会社では、譲渡の相手が家族でも承認を請求します(会社法第136条)。条文に、家族を除く規定は確認できませんでした。ただし、一定の場合に承認したものとみなす旨を定款で定めている会社もあります(第107条第2項第1号ロ)。
会社が返事をしないと、どうなりますか?
請求の日から2週間以内に決定の通知をしなければ、承認したものとみなされます(第145条第1号)。定款で2週間より短い期間を定めている場合はその期間です。
承認されなかった株式は、買い取ってもらえますか?
請求で買取りを求めていた場合、会社は対象の株式を買い取らなければなりません(第140条第1項)。指定買取人を指定することもできます。
承認をもらえば、株主名簿の書換えは不要ですか?
必要です。取得した人の氏名と住所を株主名簿に記載しなければ、会社その他の第三者に対抗できません(第130条第1項)。
本記事について。税理士・司法書士の監修前の概説です。定款の定めや会社の機関設計によって手続きが変わるため、実際に株式を譲るときは司法書士・弁護士・税理士に確認してください。

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