法人成りで役員は何人必要か|株式会社・合同会社の最低人数と取締役会を置く条件
一人で法人成りするときの役員の最低人数を、株式会社は取締役1人から、合同会社は社員1人からの条文で整理します。取締役会を置くと3人以上と監査役が必要になる点も説明します。
法人化(法人成り)個人事業主が一人で法人成りするときに、家族や知人を役員に入れる必要はありません。株式会社は取締役1人、合同会社は社員1人から設立でき、人数が増えるのは取締役会を置く場合です。
本記事では、会社の形ごとに最低人数と、人数が変わる分かれ目を会社法の条文で整理します。役員に入れる家族の報酬や社会保険は、記事の最後にある関連ガイドで確認できます。
会社の形ごとの役員の最低人数
最初に結論を表にします。一人で始める法人成りは、表の最初の2行のどちらかを選ぶことになります。
| 会社の形 | 役員の最低人数 | ほかに必要な機関 |
|---|---|---|
| 株式会社(取締役会を置かない) | 取締役1人以上(会社法326条1項) | 監査役は任意 |
| 合同会社 | 社員1人以上(社員がいなくなると解散。会社法641条4号) | 取締役や監査役の制度はない |
| 株式会社(取締役会を置く) | 取締役3人以上(会社法331条5項) | 原則として監査役が必要(会社法327条2項) |
取締役会を置くかどうかは、会社が自由に決められる場合と、置かなければならない場合があります。次の節から順に見ていきます。
株式会社は取締役1人で設立できる
会社法326条1項は、株式会社には、取締役を1人または2人以上置かなければならないと定めています。人数の下限は1人で、上限の定めはありません。
取締役は株主総会で選ばれます(会社法329条1項)。自分が株主として出資し、自分を取締役に選べば、一人で株式会社を設立できます。取締役になれるのは人に限られ、法人は取締役になれません(会社法331条1項1号)。
取締役会を置かない会社では、取締役が会社の業務を執行します(会社法348条1項)。取締役が2人以上いるときは、定款に別段の定めがなければ、業務は取締役の過半数で決めます(同条2項)。
取締役会を置くと取締役3人以上と監査役が必要
取締役会は、すべての取締役で組織し、業務執行の決定や代表取締役の選定をする機関です(会社法362条1項・2項)。取締役会を置く株式会社では、取締役は3人以上でなければなりません(会社法331条5項)。設立の時点でも同じで、設立時取締役が3人以上必要です(会社法39条1項)。
さらに、取締役会を置く会社は、原則として監査役も置かなければなりません(会社法327条2項)。ただし、株式の譲渡制限がある会社が会計参与を置く場合は、監査役を置かなくてもよいとされています。
取締役会を必ず置かなければならない会社は、次のとおりです(会社法327条1項)。
- 公開会社(株式の譲渡を制限していない会社)
- 監査役会設置会社
- 監査等委員会設置会社
- 指名委員会等設置会社
合同会社は社員1人で設立できる
合同会社には取締役という役員はなく、出資者である「社員」が会社の運営も担います。定款には社員の氏名と住所、出資の目的と価額を書きます(会社法576条1項)。合同会社では、社員は全員が有限責任社員です(同条4項)。
社員の人数に2人以上という要件はなく、社員が欠けると会社は解散します(会社法641条4号)。つまり、社員が1人でも合同会社は設立でき、続けられます。
定款で業務を執行する社員を定めた場合は、その社員が会社の業務を決めます(会社法591条1項)。業務を執行する社員が2人以上いるときは、定款に別段の定めがなければ、過半数で決めます。株式会社と合同会社の費用や信用面の違いは合同会社と株式会社の違いで比較しています。
一人のときの代表者の決まり方
取締役会を置かない株式会社では、取締役は原則として全員が会社を代表します(会社法349条1項・2項)。取締役が自分一人なら、代表取締役を別に決める手続きは要りません。取締役が2人以上いる場合は、定款、取締役の互選、株主総会の決議のいずれかで代表取締役を定めることもできます(同条3項)。
取締役会を置く会社では、取締役会が取締役の中から代表取締役を選ばなければなりません(会社法362条3項)。
合同会社では、業務を執行する社員が会社を代表します(会社法599条1項)。業務を執行する社員が2人以上いても、定款や互選で代表する社員を決めない限り、各自が会社を代表します(同条2項・3項)。
家族を役員に入れるときの確認点
最低人数が1人であっても、家族を役員に入れる選択はできます。会社法は人数だけを定めていて、報酬や社会保険、税の扱いは別の制度で決まります。
- 役員報酬は、いつでも自由に変えられるわけではなく、決め方と変更できる時期が法人税法で決まっています。詳しくは役員報酬の決め方で解説しています。
- 役員でない家族の使用人でも、持ち株の状況によっては役員と同じ扱いになることがあります。詳しくはみなし役員で確認できます。
- 役員になった人が従業員も兼ねる場合の扱いは使用人兼務役員で整理しています。
- 役員を選んだ後の任期と登記は役員任期・重任登記で解説しています。
設立時に決める項目の全体像は法人化の手続きで確認できます。
まとめ
- 株式会社は取締役1人以上で足りる(会社法326条1項)。取締役になれるのは人だけで、法人は取締役になれない(同331条1項1号)。
- 取締役会を置くと取締役は3人以上(会社法331条5項)、設立時も3人以上(同39条1項)。原則として監査役も必要(同327条2項)。
- 公開会社などは取締役会を置く義務がある(会社法327条1項)。
- 合同会社は社員1人から設立でき、社員がいなくなると解散する(会社法641条4号)。
- 取締役が一人の株式会社では、その取締役が会社を代表する(会社法349条1項)。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「会社法第326条(株主総会以外の機関の設置)」(株式会社には取締役を1人以上置く)
- e-Gov法令検索「会社法第327条(取締役会等の設置義務等)」(取締役会を置く義務がある会社、取締役会設置会社の監査役)
- e-Gov法令検索「会社法第331条(取締役の資格等)」(法人は取締役になれない、取締役会設置会社は3人以上)
- e-Gov法令検索「会社法第39条(設立時役員等の選任)」(取締役会設置会社の設立時取締役は3人以上)
- e-Gov法令検索「会社法第349条(株式会社の代表)」(取締役会を置かない会社の代表)
- e-Gov法令検索「会社法第576条(持分会社の定款)」(合同会社の社員は全員有限責任社員)
- e-Gov法令検索「会社法第641条(持分会社の解散の事由)」(社員が欠けたことが解散事由)
よくある質問
- 一人で法人成りするとき、役員は何人必要ですか?
- 株式会社なら取締役1人、合同会社なら社員1人です。取締役会を置かない限り、2人目以降は必要ありません(出典:e-Gov法令検索・会社法326条1項・641条4号)。
- 取締役会は必ず置く必要がありますか?
- 公開会社や監査役会設置会社などは置く義務があります。それ以外の株式会社は定款で任意に置くかどうかを決められます(出典:e-Gov法令検索・会社法326条2項・327条1項)。
- 取締役会を置くと何人必要ですか?
- 取締役が3人以上必要で、原則として監査役も置かなければなりません(出典:e-Gov法令検索・会社法331条5項・327条2項)。
- 法人を取締役にできますか?
- できません。会社法331条1項1号は、法人は取締役になることができないと定めています。
- 合同会社の社員が一人でも続けられますか?
- 続けられます。解散の事由になるのは社員が欠けたときで、社員が1人であることは要件に反しません(出典:e-Gov法令検索・会社法641条4号)。