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取締役の辞任・解任の手続き|変更登記は2週間以内・登録免許税1万円

株式会社の取締役が辞任・解任されたときの会社法上の扱いと、役員変更登記の期限・登録免許税・主な添付書面を整理します。

法人化(法人成り)
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

取締役が辞めるとき、会社には登記の手続きが残ります。辞任でも解任でも、役員の変更は登記事項の変更にあたり、変更が生じてから2週間以内に変更登記を申請します。

辞任と解任の会社法上の違い、変更登記の期限と費用、辞任届の押印の扱い、後任がいない場合に元の役員が負う責任がわかります。

辞任と解任の違い

株式会社と取締役の関係は、委任に関する規定に従います(会社法330条)。委任はいつでも解除できるため(民法651条1項)、取締役は自分の意思でいつでも辞任できます。

一方、会社側から辞めてもらう解任は、株主総会の決議で、いつでも行えます(会社法339条1項)。決議は、議決権を行使できる株主の議決権の過半数が出席し、出席した株主の議決権の過半数で行うのが原則です(会社法341条)。定款で出席や賛成の割合を上げている会社は、その割合に従います。

項目辞任解任
誰が決めるか取締役本人株主総会の決議
根拠会社法330条・民法651条1項会社法339条1項・341条
損害賠償相手方に不利な時期の辞任などでは、会社への賠償が生じることがある(民法651条2項)正当な理由がなければ、解任された人が会社に損害賠償を請求できる(会社法339条2項)

家族だけの会社でも、解任は株主総会の決議が必要です。持株の多い代表者が決議を主導できる場合でも、議事録を残しておくと、のちの登記と税務の説明に使えます。役員の人数の考え方は役員の人数の解説を参照してください。

変更登記の期限・登録免許税・過料

会社法915条1項は、登記事項に変更が生じたときは2週間以内に、本店の所在地で変更登記をしなければならないと定めています。取締役の辞任や解任はこの変更にあたります。

  • 期限:変更が生じてから2週間以内(会社法915条1項)。
  • 登録免許税:取締役・代表取締役などに関する事項の変更の登記は1件につき3万円、資本金の額が1億円以下の会社は1万円(国税庁タックスアンサー No.7191)。
  • 申請の単位:法務局の記載例には、役員の辞任と新任者の就任の登記は合わせて1件として申請できると書かれています。
登記を怠ると、会社法976条1号により、取締役など登記申請の義務を負う人に100万円以下の過料が科される可能性があります。会社の登記は会社に残る役員の責任で進める必要があります。

任期満了で同じ人が続ける場合の登記は役員任期と重任登記で扱っています。登記を長く放置した会社のリスクもそちらにまとめています。

辞任のときの主な添付書面と押印

法務局の記載例(取締役会を置かない会社で、取締役が辞任し新たな取締役が就任する場合)では、次の書面が示されています。

  • 辞任届
  • 臨時株主総会議事録(後任の選任)
  • 株主リスト
  • 就任承諾書
  • 就任する人の印鑑証明書と本人確認証明書
  • 委任状(司法書士などに代理申請を頼む場合のみ)

辞任届の押印は、辞める人の立場で変わります。登記所に印鑑を届け出ている代表取締役などの辞任届には、押印が必要です(商業登記規則61条8項)。

届出印を押せば印鑑証明書は不要で、市町村に登録した実印を押す場合は印鑑証明書を付けます。それ以外の取締役の辞任届は、押印が求められていません。

取締役会を置く会社や、代表取締役が替わる場合は、取締役会議事録や出席者の印鑑証明書など、必要な書面が増えます。具体的な書面は法務局の一覧表で会社の形態ごとに確認してください。

解任の場合の添付書面は、法務局または司法書士に確認してください。

後任が決まらず役員が足りなくなったとき

会社法346条1項は、役員の員数が法律または定款で定めた人数を欠く場合、任期満了または辞任で退任した役員は、後任が就任するまで、なお役員としての権利義務を有すると定めています。たとえば取締役が1人だけの会社で、その人が辞任しても、後任が決まるまでは辞任した人が役員として責任を負い続けます。

必要があるときは、利害関係人の申立てで、裁判所が一時役員の職務を行う者を選任できます(同条2項)。一人社長の会社を畳むか引き継ぐかは、一人親方の法人化の手続きや解散・清算の流れもあわせて確認してください。

まとめ

  • 取締役はいつでも辞任でき(民法651条1項)、会社は株主総会の決議でいつでも解任できる(会社法339条1項)。
  • 解任に正当な理由がなければ、解任された人が損害賠償を請求できる(会社法339条2項)。
  • 辞任・解任ともに、変更から2週間以内に変更登記を申請する(会社法915条1項)。
  • 登録免許税は1件3万円、資本金1億円以下の会社は1万円。
  • 登記を怠ると、役員に100万円以下の過料が科される可能性がある(会社法976条1号)。
  • 役員が足りなくなる辞任では、後任が就任するまで辞任した人が権利義務を負う(会社法346条1項)。

合同会社の社員が辞めるときは合同会社の社員の退社の手続きで扱っており、株式会社と仕組みが異なります。会社形態の違いは合同会社と株式会社の違い、設立後の手続き全体は法人化の手続きで確認できます。

代表取締役が替わる場合の選定方法の違いと、税務署・年金事務所の届出の順番は代表取締役を変更するときの手続きで扱っています。

公式一次情報

よくある質問

取締役を辞めたら、いつまでに登記が必要ですか?
辞任の効力が生じてから2週間以内に、本店の所在地で変更登記を申請します(出典:e-Gov法令検索・会社法915条1項)。
取締役の辞任の登記には、いくらかかりますか?
登録免許税は1件につき3万円で、資本金の額が1億円以下の会社は1万円です。司法書士に頼む場合の報酬は別にかかります(出典:国税庁タックスアンサー No.7191)。
株主総会を開かずに取締役を解任できますか?
解任は株主総会の決議で行います。決議の要件は出席株主の議決権の過半数が原則です(出典:e-Gov法令検索・会社法339条・341条)。
取締役が1人の会社で、その人が辞任するとどうなりますか?
後任が就任するまで、辞任した人が役員としての権利義務を負います。後任が決まらない場合、利害関係人は裁判所に一時役員の選任を申し立てられます(出典:e-Gov法令検索・会社法346条)。

合同会社で持分の譲渡により業務執行社員が入れ替わるときは、合同会社の持分を譲渡する手続きで確認できます。

本記事について。税理士・司法書士監修前の概説です。登記の添付書面は会社の形態や状況により異なるため、具体的な手続きは司法書士または法務局にご確認ください。

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