公開会社と非公開会社の違い|株式譲渡制限の有無で変わる5つの決まり
会社法でいう「公開会社」の意味と、株式に譲渡制限をつけた非公開会社との違いを整理します。取締役会の設置義務、取締役の任期、株主総会の招集期間、新株発行の決め方、登記の扱いを条文で確認します。
会社法の制度会社法の「公開会社」は、株式を証券取引所に上場している会社という意味ではありません。株式の譲渡に会社の承認が要る旨を定款に定めていない株式が、1種類でもある会社のことです。小さな会社の多くは、設立のときに株式の譲渡制限を定款に入れた「公開会社でない株式会社」です。
このガイドは、その違いが取締役会・任期・総会の招集・新株発行・登記にどう表れるかを、会社法の条文で一つずつ確認します。
公開会社の定義
会社法2条5号は、公開会社を「その発行する全部又は一部の株式の内容として、譲渡による取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社」と定めています。
全部の株式に譲渡制限があれば、公開会社でない株式会社(このガイドでは非公開会社と呼びます)です。一部の種類にだけ制限がある会社は、制限のない種類があるので公開会社になります。上場しているかどうかとは別の話です。
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株式を譲るときの承認
株式の内容として譲渡の承認を要する旨は、定款で定めます(会社法107条1項1号・2項1号)。この定めがあると、株主は株式を他人に譲ろうとするとき、会社に承認するかどうかの決定を請求できます(会社法136条)。
会社が承認するかどうかを決めるのは、原則として株主総会です。取締役会を置く会社は取締役会が決めます。定款で別の定めをすることもできます(会社法139条1項)。
具体的な手続きは株式譲渡承認の手続きで解説しています。
取締役会を置く義務
公開会社は、取締役会を置かなければなりません(会社法327条1項1号)。非公開会社は、この理由では取締役会が義務になりません。
そのため、社長1人で取締役を務める小さな会社でも、株式に譲渡制限を入れておけば取締役会を置かずに運営できます。取締役の人数の決め方は別のガイドで整理しています。
取締役の任期
取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです(会社法332条1項)。非公開会社(監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社を除く)は、定款で定めれば任期を最長10年まで延ばせます(同条2項)。
公開会社にはこの延長が認められません。任期が満了すると、同じ人が続けるときも重任の登記が必要です。放置した場合の扱いは役員の任期と重任登記で確認できます。
株主総会の招集通知の期間
株主総会の招集通知は、総会の日の2週間前までに発します。非公開会社は1週間前までで足ります。取締役会を置かない非公開会社は、定款でこれより短い期間を定めることもできます(会社法299条1項)。
取締役会を置く会社の招集通知は書面(株主の承諾があれば電磁的方法)で行います(同条2項・3項)。総会の開き方は定時株主総会の開き方を参照してください。
新株を発行するときの決め方
新しく株式を発行して出資を受けるとき、募集事項(株数・払込金額・払込期日など)の決定は、原則として株主総会の決議によります(会社法199条2項)。この総会の決議は特別決議です(会社法309条2項5号)。
公開会社は特則があり、取締役会の決議で募集事項を決められます(会社法201条1項)。ただし、公開会社が取締役会で決めたときは、払込期日の2週間前までに株主へ募集事項を通知または公告します(同条3項・4項)。
増資の手続きと費用は法人の増資の手続きで確認できます。
登記の扱いと譲渡制限を外すとき
「発行する株式の内容」は登記事項です(会社法911条3項7号)。株式に譲渡制限がある会社は、その旨が登記簿に載ります。自社が非公開会社かどうかは、登記事項証明書の株式に関する欄と定款で確かめられます。
譲渡制限の定めを廃止する定款変更をすると、取締役の任期は、定款変更の効力が生じた時に満了します(会社法332条7項3号)。任期が満了するため、取締役の全員について改めて選任と登記を行う必要が出ます。
まとめ
- 公開会社は上場会社の意味ではなく、譲渡制限のない株式が1種類でもある株式会社のこと。
- 公開会社は取締役会を置く義務がある。非公開会社は、この理由では義務にならない。
- 取締役の任期は原則2年で、非公開会社は定款で最長10年まで延ばせる。
- 招集通知は公開会社が2週間前、非公開会社は1週間前まで。
- 新株の募集事項は、非公開会社は株主総会の特別決議、公開会社は取締役会で決められる。
- 譲渡制限を廃止すると、取締役の任期はその時に満了する。
関連記事:種類株式とは、合同会社と株式会社の違い。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「会社法」第2条5号(公開会社の定義)
- e-Gov法令検索「会社法」第107条・第136条・第139条(譲渡制限の定め、承認の請求、承認の決定機関)
- e-Gov法令検索「会社法」第327条・第332条・第299条(取締役会の設置義務、取締役の任期、招集通知の期間)
- e-Gov法令検索「会社法」第199条・第201条・第309条2項5号・第911条3項7号(募集事項の決定、公開会社の特則、特別決議、発行する株式の内容の登記)
よくある質問
- 公開会社とは上場している会社のことですか?
- 違います。譲渡による株式の取得について会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式が、1種類でもある株式会社を指します(出典:会社法2条5号)。
- 社長1人の会社に取締役会は必要ですか?
- 公開会社は取締役会を置かなければなりません(会社法327条1項1号)。株式の全部に譲渡制限を定めた非公開会社は、この理由では義務になりません。
- 取締役の任期を10年にできるのはどんな会社ですか?
- 公開会社でない株式会社が、定款で定めた場合です。監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社は除きます(出典:会社法332条2項)。
- 株式の譲渡制限を外すとどうなりますか?
- 定款変更の効力が生じた時に、取締役の任期が満了します(出典:会社法332条7項3号)。変更登記のほか、役員の選任と重任の手続きも必要です。
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