定時株主総会の開き方|決算の承認・招集通知の期限・議事録の10年保存
株式会社が決算のあとに開く定時株主総会について、会社法の定めから、いつまでに誰へ知らせるか、何を承認してもらうか、議事録と計算書類をどれだけ保存するかを整理します。
法人の運営法人成りで株式会社を作った人は、決算のたびに定時株主総会を開いて、決算(計算書類)を承認してもらう必要があります。社長が1人で株主も1人の会社でも、この手続きは省略されません。
この記事は、定時株主総会の時期、招集通知の期限、承認する内容、議事録の記載事項と保存期間、決算公告・法人税の申告との前後関係を、会社法と法務省令の条文でたどります。合同会社には株主総会がないため、対象は株式会社です。
定時株主総会はいつ開くか
会社法296条1項は、定時株主総会を毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないと定めています。条文は「決算日から何日以内」とは書いていません。
時期に関係する定めが、基準日です。会社法124条2項は、基準日を定めるとき、基準日株主が行使できる権利は基準日から3か月以内に行使するものに限ると定めています。
決算日を基準日にしている会社は、この定めから、定時株主総会を決算日から3か月以内に開く形になります。基準日を定款で決めているかどうかは、自社の定款で確認してください。
| 確認すること | 根拠 |
|---|---|
| 毎事業年度の終了後、一定の時期に招集する | 会社法296条1項 |
| 基準日株主の権利は、基準日から3か月以内に行使するものに限る | 会社法124条2項 |
| 招集しなかったときは過料の対象になる | 会社法976条18号 |
決算月の決め方は決算期の変更や設立日と決算日の決め方で扱っています。決算日が決まれば、総会を開く時期もほぼ決まります。
この記事の内容を自分の場合に当てはめるときの本PR
設立や税金の流れを一冊で確かめながら、自分の場合の数字や手順を決めたいとき向けです。
招集通知は何日前までに、どう出すか
会社法299条1項は、株主総会を招集するとき、取締役は総会の日の2週間前までに株主へ通知を発しなければならないと定めています。公開会社でない株式会社は、1週間前までです。さらに、取締役会を置かない会社は、定款でこれより短い期間を定めることもできます。
| 会社の形 | 通知を発する期限 | 通知の方法 |
|---|---|---|
| 公開会社 | 総会の日の2週間前まで | 書面(取締役会設置会社のため) |
| 公開会社でない・取締役会を置く | 総会の日の1週間前まで | 書面(299条2項2号) |
| 公開会社でない・取締役会を置かない | 1週間前まで(定款でそれより短くできる) | 書面でなくてもよい |
取締役会を置くかどうかで、通知の方法や期限が変わります。取締役会を置かない形に変える手続きは、取締役会を廃止する手続きの記事で確認できます。
書面での通知が必須になるのは、取締役会設置会社の場合などです(299条2項)。取締役会を置かない会社では、株主の承諾を得て電磁的方法で通知することもできます(299条3項)。通知には、総会の日時・場所、議題などの298条1項に定める事項を書きます(299条4項)。
小さな会社の多くは、株式の譲渡に会社の承認が必要な「公開会社でない会社」です。自社が公開会社でないかどうかは、定款の株式の譲渡制限の定めや登記事項証明書で確認します。譲渡制限株式を相続した人に、会社が売渡しを請求できる定めを置く場合は、相続人等に対する株式の売渡請求を確認してください。
総会で承認するもの、報告するもの
会社法438条は、取締役が計算書類と事業報告を定時株主総会に提出または提供することを求めています。このうち計算書類は、定時株主総会の承認を受けなければならず(438条2項)、事業報告は内容を総会に報告します(同条3項)。
| 書類 | 総会での扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 計算書類(貸借対照表・損益計算書など) | 承認を受ける | 会社法438条2項 |
| 事業報告 | 内容を報告する | 会社法438条3項 |
提出する計算書類が何かは、会社の機関で決まります。取締役会を置く会社は取締役会の承認を受けた計算書類、監査役を置く会社は監査を受けた計算書類です。監査役も取締役会もない会社は、取締役が作成した計算書類を出します(438条1項)。
計算書類に含まれる個別注記表の項目は個別注記表に書く項目で確認できます。
計算書類と事業報告は、定時株主総会の日の1週間前(取締役会設置会社は2週間前)から5年間、本店に備え置きます。支店には写しを3年間備え置きます(会社法442条1項・2項)。株主と債権者は、営業時間内にいつでも閲覧を請求できます(同条3項)。
貸借対照表や損益計算書の読み方は、決算書の種類と見方で整理しています。
株主が全員同意しているときの省略
社長1人だけが株主の会社や、家族だけが株主の会社では、全員の同意があれば手続きを簡単にできます。省略の方法は2つあります。
| 方法 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 招集手続の省略 | 株主全員の同意があれば、招集の手続を経ずに総会を開ける。総会そのものは開く | 会社法300条 |
| 決議の省略(書面決議) | 議題の提案に株主全員が書面または電磁的記録で同意すれば、可決の決議があったものとみなす。総会を開かない | 会社法319条1項 |
書面決議の場合、同意の書面などを、決議があったものとみなされた日から10年間、本店に備え置きます(319条2項)。定時株主総会の議題のすべてについて提案を可決するとみなされた場合は、その時に定時株主総会が終結したものとみなされます(319条5項)。省略できるのは招集や開催の手続きで、計算書類の承認と議事録(または同意書面)の保存は残ります。
なお、300条の招集手続の省略は、書面や電磁的方法で議決権を行使させる定めをした場合には使えません(同条ただし書)。取締役会の決議を書面で行う仕組みは取締役会の書面決議で説明しています。
議事録に書く事項と保存期間
会社法318条1項は、株主総会の議事について議事録を作成するよう定めています。保存は、総会の日から10年間、議事録を本店に備え置くことです(318条2項)。
支店には、総会の日から5年間、議事録の写しを備え置きます(同条3項。電磁的記録で作成し、支店で閲覧請求に応じられる措置をとっているときは不要)。
議事録の記載事項は、会社法施行規則72条が定めています。書面または電磁的記録で作成し、通常の総会では次の事項を入れます。
| 記載事項 | 施行規則72条3項 |
|---|---|
| 日時と場所 | 1号 |
| 議事の経過の要領とその結果 | 2号 |
| 出席した取締役・監査役などの氏名 | 4号 |
| 議長がいるときは議長の氏名 | 5号 |
| 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名 | 6号 |
株主全員の書面同意で決議を省略した場合の議事録には、決議があったものとみなされた事項の内容、提案した人の氏名または名称、みなされた日、議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名を書きます(施行規則72条4項1号)。
議事録を作成しない、虚偽の記載をする、本店に備え置かないといった違反は、会社法976条の過料(100万円以下)の対象に挙げられています(同条7号・8号)。相続や名義変更の登記に添える議事録は株主総会議事録の作り方で扱っています。
総会のあとの流れ(決算公告・法人税の申告)
定時株主総会が終わると、次の手続きが続きます。順序を間違えやすいのは、総会の承認と法人税の申告期限が別々の時計で動くことです。
| 手続き | 期限・時期 | 根拠 |
|---|---|---|
| 決算公告(貸借対照表の公告) | 定時株主総会の終結後、遅滞なく | 会社法440条1項 |
| 法人税の確定申告 | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内。確定した決算に基づく | 法人税法74条1項 |
決算公告の方法と費用は決算公告のやり方と過料に書いています。法人税の申告期限は事業年度の終了後2か月以内で、総会を決算日から3か月以内に開く会社では、総会より申告期限のほうが先に来ます。総会の開催が間に合わないときに申告期限を延ばす特例は申告期限の延長の特例にまとめています。
役員の任期の満了と重任の登記も、定時株主総会の終結の時に区切りが来ます。任期の数え方は役員の任期と重任登記が詳しいです。
まとめ
- 定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集する(会社法296条1項)。
- 招集通知は、公開会社なら2週間前まで、公開会社でなければ1週間前まで(会社法299条1項)。
- 総会では計算書類の承認を受け、事業報告の内容を報告する(会社法438条2項・3項)。
- 株主全員の同意があれば、招集手続(300条)や決議そのもの(319条)を省略できる。
- 議事録は本店に10年間備え置く(会社法318条2項)。計算書類は本店に5年間(442条1項。備置きと閲覧請求)。
- 決算公告は総会の終結後遅滞なく(440条1項)。法人税の申告は決算日の翌日から2か月以内(法人税法74条1項)。
よくある質問
- 社長1人の株式会社でも定時株主総会は必要ですか?
- 必要です。株主が1人でも、計算書類は定時株主総会の承認を受けなければなりません。株主全員の同意があれば、招集手続の省略(会社法300条)や書面での決議の省略(319条)はできます(出典:会社法438条2項)。
- 招集通知は何日前までに出しますか?
- 総会の日の2週間前までが原則で、公開会社でない株式会社は1週間前までです。取締役会を置かない会社は、定款でより短い期間を定めることもできます(出典:会社法299条1項)。
- 総会を開かずに決算を承認できますか?
- 議題の提案に株主全員が書面または電磁的記録で同意すれば、可決の決議があったものとみなされます。同意の書面などは、みなされた日から10年間、本店に備え置きます(出典:会社法319条1項・2項)。
- 議事録はどれだけ保存しますか?
- 株主総会の日から10年間、本店に備え置きます。支店には5年間、写しを備え置きます(出典:会社法318条2項・3項)。
- 決算公告は総会の前後どちらですか?
- 定時株主総会の終結後、遅滞なく行います(出典:会社法440条1項)。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「会社法」(124条:基準日、296条:株主総会の招集、299条:招集通知、300条:招集手続の省略、318条:議事録、319条:決議の省略、438条:計算書類等の提出と承認、440条:計算書類の公告、442条:計算書類等の備置き、976条:過料。2026-10-15確認)
- e-Gov法令検索「会社法施行規則」(72条:株主総会の議事録の記載事項。2026-10-15確認)
- e-Gov法令検索「法人税法」(74条1項:確定申告は事業年度終了の日の翌日から2月以内。2026-10-15確認)


