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計算書類の備置き(本店5年・支店3年)と株主・債権者の閲覧請求

株式会社は、決算で作った計算書類と事業報告を、本店に5年間備え置かなければなりません。株主と債権者は、営業時間内にいつでも閲覧を請求できます(会社法442条)。保存義務の10年とは別の定めです。

会社法435条・442条・976条
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

決算書を作ったら、税務署に出して終わりと考えがちです。しかし株式会社には、決算書を本店に備え置き、請求があれば株主や取引先に見せる義務もあります。

この記事は、会社法442条が定める計算書類等の備置き期間と、閲覧を請求できる人、請求の内容を整理します。帳簿そのものの作成と閲覧は会社法の会計帳簿で説明しています。

備え置く「計算書類等」とは

会社法435条2項は、株式会社が事業年度ごとに作る書類を、計算書類、事業報告、これらの附属明細書と定めています。計算書類は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表です(会社法435条2項、会社計算規則59条1項)。

書類備置きの対象
計算書類(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表)対象
事業報告対象
計算書類と事業報告の附属明細書対象
監査報告・会計監査報告(監査を受ける会社)対象(442条1項1号のかっこ書き)
臨時計算書類対象(作成した場合)

決算書の種類の読み方は決算書の種類と見方、個別注記表の項目は個別注記表に書く項目で確認できます。

備置きの場所と期間

442条は、本店と支店で備え置く期間を分けています。起点は、定時株主総会の日の1週間前(取締役会設置会社は2週間前)の日です。

場所備え置くもの期間
本店計算書類等5年間(442条1項)
支店計算書類等の写し3年間(442条2項)
  • 臨時計算書類は、作成した日から本店で5年間、支店で3年間
  • 計算書類等が電磁的記録で作られ、支店での閲覧請求に応じられる措置を法務省令の定めで取っているときは、支店での備置きは要らない(442条2項ただし書き)
  • 計算書類を保存する期間は別に、作成した時から10年間と定められている(会社法435条4項)

一方、定時株主総会の流れの中で計算書類をいつ承認するかは定時株主総会と決算承認で整理しています。

閲覧を請求できる人と請求の内容

442条3項によると、株主と債権者は、株式会社の営業時間内、いつでも次の請求ができます。

請求費用
書面の計算書類等の閲覧(その写しの閲覧を含む)会社の定めた費用は不要
書面の謄本または抄本の交付会社の定めた費用を支払う
電磁的記録に記録された事項を、法務省令の方法で表示したものの閲覧会社の定めた費用は不要
電磁的記録の事項を、会社の定めた電磁的方法で提供する請求、またはその事項を記載した書面の交付会社の定めた費用を支払う

株主に持株割合の条件はなく、1株でも持っていれば請求できます。債権者も、取引先や貸し手として請求できる点が、後に説明する会計帳簿の閲覧請求との大きな違いです。

親会社の社員は、権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、同じ請求ができます(442条4項)。

会計帳簿の閲覧請求との違い

項目計算書類等(442条)会計帳簿(433条)
請求できる人株主と債権者議決権または発行済株式の3%以上(定款で下げられる)を持つ株主
請求の理由条文上は明示不要理由を明らかにする
会社が拒める場合条文に拒否事由の定めはない5つの場合に限り拒める
対象決算でまとめた書類仕訳帳・総勘定元帳などの記録

会計帳簿の閲覧請求と会社が拒める場合は、帳簿の記事で扱っています(末尾の「次に知りたいこと」から移れます)。

備え置かなかったときの過料

会社法976条8号は、442条1項・2項に違反して書類を備え置かなかったとき、取締役などに100万円以下の過料を科すと定めています。ただし、その行為について刑を科すべきときは、過料の対象になりません。

備置きと別に、貸借対照表(大会社は損益計算書も)を公にする義務もあります。広く一般に知らせる方法は決算公告で説明しています。

公式一次情報

よくある質問

計算書類は本店に何年備え置きますか?
5年間です。起点は、定時株主総会の日の1週間前(取締役会設置会社は2週間前)の日です(会社法442条1項)。
支店にも備え置く必要がありますか?
計算書類等の写しを3年間、支店に備え置きます。電磁的記録で作り、支店での請求に応じられる法務省令の措置を取っていれば不要です(会社法442条2項)。
債権者も決算書を見せてほしいと請求できますか?
できます。株主と債権者は、営業時間内にいつでも、計算書類等の閲覧を請求できます(会社法442条3項)。
謄本の交付を請求するとお金がかかりますか?
謄本・抄本の交付や電磁的方法での提供を求めるときは、会社の定めた費用を支払います。閲覧そのものには費用の定めはありません(会社法442条3項)。
備え置かないとどうなりますか?
取締役などが100万円以下の過料に処される場合があります(会社法976条8号)。

まとめ

  • 計算書類・事業報告・附属明細書は、本店に5年間、支店に写しを3年間備え置く。
  • 株主と債権者は、持株割合の条件なしに、営業時間内に閲覧を請求できる。
  • 備え置かなかったときは、100万円以下の過料の対象になる。

次に知りたいことは、決算公告、会社法の会計帳簿、定時株主総会と決算承認です。

本記事について。税理士監修前の概説です。個別の請求への対応や、監査を受ける会社の細かい扱いは含めていません。個別の判断は弁護士・税理士にご確認ください。