法人税・消費税の申告期限の延長の特例|申請書と届出書の提出期限、1か月延長と利子税
法人の確定申告は原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。定款の定めなどで決算の総会が2か月以内に開けない法人は、税務署に申請すると法人税の期限を延長でき、届出をすれば消費税の期限も1か月延ばせます。手続きの順序、提出期限、利子税を条文と国税庁の案内で整理します。
法人税・消費税の制度法人成りをした会社の申告期限は、法人税・消費税とも原則として2か月以内です。法人税は「確定申告書の提出期限の延長の特例」の申請が認められると、提出期限が原則1か月延び、消費税は「消費税申告期限延長届出書」を出すと、法人税の延長にあわせて1か月延びます。どちらも、延びた期間には利子税がかかります。
この記事では、法人税法第75条の2、消費税法第45条の2、国税庁タックスアンサーNo.6610にもとづいて、対象になる法人、書類を出す期限、延長される期間、利子税の計算の仕組みを整理します。決算・申告の全体の流れは法人の決算と申告の流れ、設立初年度の決算日の決め方は設立日と決算日の決め方で扱っています。
法人税の延長の特例(申請書)
法人税法第75条の2は、確定申告書を出す内国法人が、定款・寄附行為・規則・規約などの定めにより、または特別の事情により、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に決算の定時総会が招集されない常況にあると認められる場合に、納税地の所轄税務署長が法人の申請にもとづいて提出期限を1か月間延長できると定めています。
- 会計監査人を置いている法人:定款等の定めにより事業年度終了の日の翌日から3か月以内に総会が招集されない常況にあるときは、4か月を超えない範囲で税務署長が指定する月数だけ延長されます。
- 特別の事情があり3か月以内にも総会が招集されない場合:やむを得ない事情があると認められるときは、税務署長が指定する月数の期間が延長されます。
申請書は、延長を受けたい事業年度の終了の日までに出す必要があります。申請書には、定款等の定めや特別の事情の内容、受けようとする月数などを書き、理由が「定款等の定めにより2か月以内に総会が招集されない」ことであるときは、その定款等の写しを添付します。一度認められると、以後の各事業年度にも効力があります。
消費税の延長(届出書)
消費税法第45条の2は、法人税の延長の特例を受けている法人が、消費税の申告期限を延長する旨の届出書を納税地の所轄税務署長に出したときは、課税期間の末日の翌日から3か月以内に消費税の申告期限を延ばせると定めています。国税庁の案内では、「消費税申告期限延長届出書」を出せば、その提出日の属する事業年度以後の各事業年度終了の日の属する課税期間の申告期限が1か月延長されます。
- 前提:法人税の申告期限の延長の特例を受けていること。法人税の特例を受けていない場合は、消費税の期限も延長されません。
- 対象:法人の課税事業者です。
- 届出の期限:国税庁は、事業年度終了の日が日曜日などの休日に当たる場合でも、その日までに提出がなければこの規定を受けられないと案内しています。
消費税は、法人税と違って、申請ではなく届出です。ただし、延長が使えるのは法人税の特例を受けている法人に限られるため、法人税の申請と消費税の届出はセットで考えます。
法人税と消費税の違い
| 項目 | 法人税 | 消費税 |
|---|---|---|
| 根拠 | 法人税法第75条の2 | 消費税法第45条の2 |
| 提出する書類 | 申請書(定款等の定めによる場合は定款等の写しを添付) | 消費税申告期限延長届出書 |
| 出す期限 | 延長を受けたい事業年度の終了の日まで | 事業年度終了の日まで(休日に当たっても同じ) |
| 延長される期間 | 原則1か月。会計監査人設置などの場合は税務署長が指定する月数 | 課税期間の末日の翌日から3か月以内(1か月延長) |
| 前提 | 総会が2か月以内に招集されない常況など | 法人税の延長の特例を受けていること |
| 延びた期間の利子税 | かかる | かかる(消費税・地方消費税) |
延びた期間には利子税がかかる
法人税は、延長の特例を受ける法人が、事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日から延長後の提出期限までの日数に応じて、利子税を法人税とあわせて納付します。延びた期間の分は、2か月を過ぎた日からの日数に応じた利子税として払う仕組みです。消費税も、国税庁の案内では、延長された期間に係る利子税をあわせて納付する必要があります。
法人税法と消費税法の条文には、年7.3%の割合が書かれています。実際に納付する利子税の割合は、国税庁が公表している最新の割合で確認してください(この記事では、実際の割合は確認していません)。利子税の額は、税額に割合を掛け、2か月を経過した日から延長後の期限までの日数に応じて計算します。
やめるとき・変更するときの手続き
- 法人税の延長をやめる:やめようとする事業年度の終了の日までに、届出書を納税地の所轄税務署長に出します。届出書の提出があると、その事業年度以後は延長の効力がなくなります。
- 月数の変更・指定の取消し:指定された月数を変えたいときや、定款等の定めが変わったときは、申請にもとづいて税務署長が指定の変更や取消しを行います。税務署長は、事情が変わったと認めるときに、延長の処分を取り消し、指定を取り消し、または月数を変更できます。
- 消費税の延長をやめる:やめようとするとき、または事業を廃止したときは、その旨の届出書を所轄税務署長に出します。
まとめ
- 法人税の申告期限の延長は、決算の総会が2か月以内に招集されない常況の法人が、事業年度終了の日までに申請書を出して受ける。
- 会計監査人を置く法人などは、税務署長が指定する月数(原則の1か月を超える場合がある)が延長される。
- 消費税は、法人税の特例を受けている法人が、事業年度終了の日までに届出書を出せば、申告期限が1か月延長される。
- 延びた期間には、法人税・消費税とも利子税がかかる。
- やめるときも、事業年度終了の日までに届出書を出す。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「法人税法」第75条の2(確定申告書の提出期限の延長の特例)(対象、1か月延長、指定月数、申請の期限、添付書類、やめる届出、利子税の準用)
- e-Gov法令検索「消費税法」第45条の2(法人の確定申告書の提出期限の特例)(届出書、課税期間の末日の翌日から3か月以内、やめる届出)
- 国税庁タックスアンサー No.6610「法人に係る消費税の確定申告書の提出期限について」(消費税申告期限延長届出書、法人税の特例が前提、届出の期限、利子税)
よくある質問
- 法人税の申告期限を延ばすには、いつまでに何を出しますか?
- 延長を受けたい事業年度の終了の日までに、所轄税務署長へ申請書を出します。定款等の定めを理由にする場合は、その定款等の写しを添付します。
- 消費税の申告期限だけ延ばせますか?
- 延ばせません。消費税の延長は、法人税の申告期限の延長の特例を受けている法人が、消費税申告期限延長届出書を出したときに使えます。
- 期限を延ばすと費用はかかりますか?
- 延びた期間の分は、法人税・消費税とも利子税をあわせて納付します。
- 延長をやめたいときはどうしますか?
- 法人税は、やめようとする事業年度の終了の日までに届出書を出します。消費税は、やめようとするときに、その旨の届出書を出します。