法人成りの設立日と決算月の決め方(第1期の月数・特定期間・役員報酬の改定期限の早見表)
4月1日に設立した場合に、決算月を9月・10月・11月・3月にすると、第1期の月数・消費税の特定期間・申告期限・役員報酬の改定期限がどう変わるかを法人税法と国税庁の情報で整理します。
令和8年時点の制度法人の事業年度は、定款で決めた決算月で区切られます。設立日と決算月の組み合わせによって、第1期が何か月になるか、消費税の特定期間が生じるか、第1期の法人税の申告期限、第2期の役員報酬をいつまでに改定するかがまとめて決まります。この記事では、4月1日設立を例に、決算月別の違いを早見表にします。
決算後の総会が2か月以内に開けない場合の申告期限の延長は法人税・消費税の申告期限の延長の特例で扱っています。
事業年度と申告期限の基本
法人税法上の事業年度は、定款などに定めた会計期間です。会計期間が1年を超える場合は、開始の日から1年ごとに区切られます(法人税法第13条)。設立日から最初の決算日までが第1期になり、第1期は12か月より短くなることがあります。
決算月別の早見表(4月1日設立の例)
資本金1,000万円未満で設立し、インボイス(適格請求書発行事業者)の登録をせず、課税事業者選択届出書も出していない場合の例です。
| 決算月 | 第1期 | 第1期の特定期間 | 第1期の申告期限 | 第2期の役員報酬の改定期限 | 消費税の免税の最長期間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 9月 | 4/1〜9/30(6か月) | なし | 11月30日 | 12月31日 | 18か月 |
| 10月 | 4/1〜10/31(7か月) | なし | 12月31日 | 1月31日 | 19か月 |
| 11月 | 4/1〜11/30(8か月) | 4/1〜9/30 | 翌年1月31日 | 2月末日 | 20か月(第2期は特定期間の判定次第) |
| 3月 | 4/1〜翌3/31(12か月) | 4/1〜9/30 | 翌年度5月31日 | 6月30日 | 24か月(第2期は特定期間の判定次第) |
第1期の役員報酬の改定期限は、どの決算月でも設立日(4月1日)から3か月を経過する6月30日です。消費税の免税期間は、設立1期目と2期目を足した月数です。
第1期の月数と消費税の特定期間
新たに設立した法人の1期目と2期目は基準期間がないため、原則として消費税の納税義務が免除されます(出典:国税庁 No.6503)。ただし2期目は、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えると免除されません。特定期間は、法人は原則として前事業年度開始の日から6か月の期間で、1,000万円の判定は課税売上高に代えて給与等の支払額でも行えます(出典:国税庁 No.6501)。
早見表の9月・10月決算は第1期が7か月以下なので、2期目は特定期間による判定が不要です。11月・3月決算は免税期間の最長は長くなりますが、特定期間(4月1日〜9月30日)の課税売上高と給与等の支払額がどちらも1,000万円を超えると、2期目は課税事業者になります。
1期目が7か月を超え8か月未満になる場合(月の途中で設立し月末を決算日にする場合など)や、決算期を変更した場合は、特定期間の取り方が変わることがあります。免税の判定の全体は法人成りと消費税の免税期間で確認できます。
役員報酬の改定期限
毎月同額の役員報酬(定期同額給与)を損金にするには、報酬額の改定を、事業年度開始の日から3か月を経過する日(3月経過日等)までに行います(出典:国税庁 No.5211)。申告期限の延長の特例で指定を受けた法人は、指定された月数に2を加えた月数になります。
決算月を決めると、第2期以降の改定期限も毎年同じ時期に決まります。役員報酬の水準の考え方は役員報酬の決め方で整理しています。
注意点
- 設立1期目・2期目の期首の資本金が1,000万円以上の法人(新設法人)や、特定新規設立法人に当たる法人は、免税になりません(出典:国税庁 No.6503)。
- インボイス(適格請求書発行事業者)の登録を受けた法人は、基準期間の課税売上高にかかわらず納税義務が免除されません(出典:国税庁 No.6501)。
- 設立後に決算月を変えるときの手続きは決算期の変更、決算と申告の流れは法人の決算・申告を参照してください。
よくある質問
- 4月1日設立なら、決算月は何月にすると消費税の免税期間が長くなりますか?
- 3月決算なら第1期12か月・第2期12か月で最長24か月ですが、2期目は特定期間(4月1日〜9月30日)の課税売上高と給与等の支払額がどちらも1,000万円を超えると課税になります。10月決算なら第1期は7か月で特定期間が生じず、最長は19か月です。
- 第1期の法人税の申告期限はいつですか?
- 第1期の事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。4月1日設立・9月決算なら11月30日、3月決算なら翌年度の5月31日が期限です。
- 設立直後の役員報酬はいつまでに決めますか?
- 定期同額給与の改定は事業年度開始の日から3か月を経過する日までに行います。4月1日設立なら第1期は6月30日までです。
設立登記の日を数え始めとする税務署への届出は法人設立届出書(税務署)、青色申告の承認申請は法人の青色申告承認申請書で期限を確認できます。
公式情報
- e-Gov法令検索「法人税法」(第13条 事業年度の意義、第74条 確定申告)
- 国税庁 No.6503「基準期間がない法人の納税義務の免除の特例」
- 国税庁 No.6501「納税義務の免除」(特定期間、給与等支払額による判定)
- 国税庁 質疑応答事例「特定期間の判定」(設立1期目が8か月以上・7か月以下の例)
- 国税庁 No.5211「役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」(定期同額給与の改定時期)