法人の青色申告承認申請書|設立後の提出期限・設立日別の計算例・出し忘れの影響
設立した法人が青色申告を使うために出す「青色申告の承認申請書」を、提出期限、設立日ごとの期限の計算例、承認で受けられる欠損金の繰越し、承認が出ないままのときの扱いの順に整理します。
国税庁の手続案内・タックスアンサーで確認法人は、設立しただけでは自動的に青色申告になりません。個人事業の青色申告承認は引き継がれず、法人として改めて「青色申告の承認申請書」を税務署へ出す必要があります。青色申告とは、帳簿をつけることを条件に、赤字の繰越しなどの特典を受けられる申告方法です。
設立1期目の期限は、設立の日から3か月を経過した日と第1期の末日のうち、早いほうの前日です。法人設立届出書の2か月より1か月長いので、同じ時期に出すと取り違えやすい点に注意してください。
提出期限と提出先
国税庁の手続案内「C1-19 青色申告書の承認の申請」は、期限を次のように示しています。
| 場面 | 提出期限 |
|---|---|
| 原則 | 青色申告で申告しようとする事業年度の開始の日の前日まで |
| 設立の日の属する事業年度(設立1期目) | 設立の日以後3か月を経過した日と、その事業年度の終了の日のうち、いずれか早い日の前日まで |
| 設立から1期目の末日までが3か月に満たない場合の、次の事業年度 | 設立の日以後3か月を経過した日と、その翌事業年度の終了の日のうち、いずれか早い日の前日まで |
提出先は納税地の所轄税務署長です。e-Taxソフトで作成・提出するか、書面を1部持参または送付します。
国税庁は、令和8年10月1日以後に申請する場合、申請書の「承認を受けようとする事業年度終了の日」の欄などは記載不要としています。古い様式や解説と欄が違うことがあるため、国税庁の最新の様式で作成してください。
設立日別の期限の計算例
上の規定を、3月決算の法人に当てはめた例です。「3か月を経過した日」を設立日の3か月後の同じ日付と読んで計算した目安で、月末に設立したときなど日付の読み方に迷う場合は、税務署へ確認してください。
| 設立日 | 第1期の末日 | 3か月を経過した日 | 提出期限の目安 |
|---|---|---|---|
| 4月15日 | 翌年3月31日 | 7月15日 | 7月14日 |
| 7月15日 | 翌年3月31日 | 10月15日 | 10月14日 |
| 1月20日 | 3月31日(3か月未満) | 4月20日 | 1期目は3月30日。2期目から使うなら4月19日 |
1月20日設立のように、第1期が3か月に満たない場合は、1期目の期限が第1期の末日の前日になります。1期目に間に合わなくても、翌事業年度は設立の日から3か月を経過した日と翌事業年度の末日のうち早い日の前日が期限です。
土曜・日曜・祝日などで窓口が閉まる日が期限に当たるときの扱いは、国税庁のタックスアンサーNo.5100が、休日等明けの日が期限になると注記しています。
承認を受けると使える特典
国税庁が示す主な特典は、欠損金の扱いです。
- 欠損金の繰越控除:各事業年度の開始前10年以内に開始した事業年度で、青色申告書を提出した年度に生じた欠損金額(赤字)は、その後の所得から差し引けます。連続して確定申告書を出していることなどが条件です(タックスアンサーNo.5762)。
- 欠損金の繰戻し還付:青色申告書を提出する法人の欠損金を、前年度の法人税の還付に充てる制度です。令和7年4月1日現在の国税庁の案内では、対象は中小企業者等が中心で、それ以外の法人は清算中などの例外に限られます。前年度までの申告が連続して青色申告であることも要件です(No.5763)。最新の扱いは国税庁のページで確認してください。
白色の申告のままだと、通常の欠損金を翌年以降へ繰り越す特典の対象になりません(災害による損失など、白色でも使える例外はあります)。赤字が出やすい設立1期目こそ、期限内の提出が影響します。繰越控除の使い方は欠損金の繰戻し還付と赤字の繰越控除の記事も参考になります。
承認を受けた後は、帳簿書類を備え付けて記録・保存する必要があります。承認が取り消される場合などの扱いは、税務署や税理士へ確認してください。
期限を過ぎたとき・承認の通知が来ないとき
- 期限を過ぎたとき:今回確認した国税庁のページには、遅れた場合の扱いを直接述べた記載はありませんでした。承認は事業年度を指定して受ける仕組みのため、その事業年度の申告に間に合わない可能性があります。遅れたときは、早めに所轄の税務署へ相談してください。
- 通知が来ないとき:国税庁の記載要領は、申請を出したのに、青色申告で申告しようとする事業年度の終了の日(中間申告を出す法人は、その事業年度開始の日から6か月を経過する日)までに承認も却下もなかったときは、その日に承認があったものとみなされると案内しています。
設立後に出す順番
- 設立登記の後すぐ:法人設立届出書(設立の日から2か月以内)を出す。
- 同じ時期に:青色申告の承認申請書を出す。期限は3か月を経過した日の前日までなので、設立届と一緒に出すと忘れにくい。
- 設立1期目の確定申告まで:棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書は、設立1期目の確定申告書の提出期限までが期限(タックスアンサーNo.5100)。
届出書全体の一覧は法人成りで出す届出の一覧、設立の手順は法人化の手続きで確認できます。最初の決算の流れは法人の決算と申告を、決算日の決め方は設立日と決算日の決め方を参照してください。
まとめ
- 法人は設立後に、青色申告の承認申請書を改めて税務署へ出す必要がある。
- 設立1期目の期限は、設立の日から3か月を経過した日と第1期の末日のうち早いほうの前日。
- 承認を受けた事業年度に生じた欠損金は、10年以内の繰越控除などの対象になる。
- 承認も却下もないまま対象事業年度の終了日(中間申告のある法人は6か月経過日)が来たときは、その日に承認とみなされる。
公式一次情報
- 国税庁「C1-19 青色申告書の承認の申請」(提出時期、設立1期目の期限、提出先・提出方法)
- 国税庁 タックスアンサーNo.5100 新設法人の届出書類(設立時に出す届出書と期限、休日等明けの扱い)
- 国税庁 タックスアンサーNo.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除(10年以内の繰越控除)
- 国税庁 タックスアンサーNo.5763 欠損金の繰戻しによる還付(繰戻し還付の要件)
- 国税庁「青色申告の承認申請書の記載要領等」(提出期限、承認・却下がないときのみなし承認)
よくある質問
- 個人事業で青色申告をしていれば、法人でも自動で青色申告になりますか?
- なりません。法人は個人とは別の納税者なので、設立した法人として青色申告の承認申請書を税務署へ出します。
- 設立1期目の青色申告承認申請書は、いつまでに出しますか?
- 設立の日以後3か月を経過した日と、第1期の事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日までです(国税庁)。たとえば3月決算で4月15日に設立した場合の目安は、7月14日です。
- 法人設立届出書と同時に出さないといけませんか?
- 同時でなくても構いませんが、設立届の期限は2か月、青色申告の承認申請は3か月を経過した日の前日までと期限が違います。設立届と同じ時期にまとめて出すと忘れにくくなります。
- 申請したのに承認の通知が来ません。どうなりますか?
- 国税庁の記載要領では、対象の事業年度の終了の日(中間申告を出す法人は開始から6か月を経過する日)までに承認も却下もなければ、その日に承認されたものとみなされます。
- 青色申告にすると何が変わりますか?
- 国税庁が示す主な特典は、欠損金の10年以内の繰越控除と、中小企業者等の繰戻し還付です。そのかわり、帳簿書類の備付け・記録・保存が必要です。