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法人の青色申告の承認が取り消される4つの場合

法人税法127条が定める青色申告の承認の取消しについて、取消しになる4つの事由、国税庁の事務運営指針が示す具体的な基準(不正所得金額の50%と500万円、2事業年度連続の期限後申告)、取消し後の扱い、取りやめ届出書との違いを整理します。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

法人が青色申告の承認を受けたあとでも、税務署長はその承認を取り消せます。取消しの事由は法人税法127条1項の4つで、帳簿書類の不備、税務署長の指示に従わないこと、帳簿の仮装・隠蔽、確定申告書の期限内の未提出です。国税庁の事務運営指針は、このうち無申告については2事業年度連続して期限内に申告書を出さない場合に取り消すとしています。

この記事では、4つの事由と国税庁が運用で示している基準、取消しを受けた後の扱いを整理します。承認を受ける手続きは法人の青色申告承認申請書を見てください。

取消しになる4つの事由

法人税法127条1項は、青色申告の承認を受けた法人に次のいずれかの事実がある場合、納税地の税務署長がその承認を取り消せると定めています。

  • 1号:その事業年度の帳簿書類の備付け、記録または保存が、財務省令の定めどおりに行われていないこと。
  • 2号:帳簿書類について、税務署長の指示に従わなかったこと。
  • 3号:帳簿書類に取引の全部または一部を隠蔽・仮装して記載し、記載した事項全体の真実性を疑うに足りる相当の理由があること。
  • 4号:確定申告書を提出期限までに提出しなかったこと。

取消しは、それぞれの号が定める事業年度まで遡って行われることがあります。取り消す場合、税務署長は書面で通知し、その書面にはどの号に該当するかを付記します(同条2項)。

なお、法律の文言では4号は「提出期限までに提出しなかったこと」だけですが、実際に取り消すかどうかは次の節の運用基準で決まります。

国税庁が運用で示している基準

国税庁の事務運営指針「法人の青色申告の承認の取消しについて」は、事実とその程度、記帳状況、改善の見込みなどを総合して、真に青色申告書を提出するにふさわしくない場合に取り消すとしています。事由ごとの扱いは次のとおりです。

事由国税庁の取扱い
帳簿書類を提示しない(1号)税務調査で帳簿書類の提示を求められたのに法人が拒否した場合は、1号に該当するとされています。提示は帳簿書類の「備付け等」に含まれる扱いです。
税務署長の指示に従わない(2号)指示に係る事業年度以後の承認を取り消します。取り消す前に、取消事由に当たることを告げて指示に応じるよう説得に努めるとされています。
隠蔽・仮装、推計課税が必要な状態(3号)更正後の所得金額のうち隠蔽・仮装に基づく金額が50%を超え、かつ500万円以上のときなどが基準です。詳しくは下の説明を参照。
期限内に申告しない(4号)2事業年度連続して提出期限内に確定申告書を出していない場合に、2事業年度目以後の承認を取り消します。

3号の基準は、次のいずれかに当たる場合です(事務運営指針3(1))。

  • 更正または決定後の所得金額のうち、隠蔽・仮装に基づく所得金額(不正所得金額)が、その更正または決定後の所得金額の50%に相当する金額を超えるとき。ただし不正所得金額が500万円に満たない場合は除きます。
  • 欠損金額を減らす更正をした場合に、減少した部分のうち隠蔽・仮装に基づく金額(不正欠損金額)が、当初の申告の欠損金額の50%に相当する金額を超えるとき。ただし不正欠損金額が500万円に満たない場合は除きます。
  • 帳簿書類への記載が不十分で、推計によらなければ適正な所得金額を計算できない状況にあるとき。

ただし、事業年度開始の日前7年以内に取消処分を受けておらず、過去の調査での不正所得金額が500万円に満たず、今後適正に申告する旨の申出があるときは、取消しを見合わせるとされています(同3(5))。役員が知り得なかったなど特別な事情がある場合は、国税局長と協議して個別に扱うともされています(同5)。

電子帳簿保存法の要件に従っていない場合も、備付け・保存の程度や今後の改善の見込みを総合して判断するとされています(同6)。

取り消されたあとの扱い

取消しがあると、取消しの対象となった事業年度の開始日以後に提出した、その承認に係る青色申告書は、青色申告書以外の申告書とみなされます(法人税法127条1項)。取消しの対象は事由ごとに決まり、さかのぼる事業年度が1年とは限りません。

青色申告書を出していた事業年度の欠損金が繰越控除の対象になる扱いなど、青色の特典がどの範囲に影響するかは、特典の中身ごとに確認が必要です。特典の一覧は法人の青色申告承認申請書、赤字の使い方は法人の欠損金の繰越控除と欠損金の繰戻しによる還付で整理しています。

取消しのあとにもう一度承認を受けたい場合にも制限があります。税務署長は、取消しの通知を受けた日、または取りやめ届出書を出した日から1年以内に出された承認申請を却下できます(法人税法123条3号)。つまり、取り消されてすぐに申請し直しても、却下される可能性があります。

取消しの通知から再び青色申告にするまでの流れ

取消しを受けたあとに青色申告へ戻すまでの流れは、次のとおりです(法人税法、2026年10月20日にe-Gov法令検索で確認)。

  1. 書面で通知が届く。税務署長は、取消しの処分をするとき書面で通知し、その書面に取消しの基因となった事実が4つの号のどれに当たるかを付記します(127条2項)。
  2. さかのぼる事業年度を確認する。取消しの効力は、号ごとに定められた事業年度まで遡ります。1号〜3号はその事由に当たる事業年度、4号は期限内に提出しなかった申告書に係る事業年度です(127条1項)。通知書に付記された号から、どの事業年度が対象かを読み取ります。
  3. その事業年度以後の申告書が白色扱いになる。取消しの事業年度の開始日以後に提出した、その承認に係る青色申告書は、青色申告書以外の申告書とみなされます(同項)。
  4. 再び承認を受けたいときは、通知から1年の間は却下され得る。取消しの通知を受けた日以後1年以内に出した承認申請は、税務署長が却下できます(123条3号)。
  5. 1年が過ぎたら、あらためて承認申請をする。青色申告で提出したい事業年度の開始日の前日までに、申請書を納税地の税務署へ出します(122条1項)。

個人事業主の取りやめの手続きは青色申告の取りやめ届出書を見てください。

法人成りのとき、個人の承認と法人の承認はどう分かれるか

個人事業の青色申告から法人に変わると、「取消し」「取りやめ」「新しい承認」が別々の書類で動きます。混同しやすいので、順に並べます(国税庁・法人税法、2026年10月22日に確認)。

  1. 法人は新しく承認を受ける。個人事業の青色申告の承認は法人に引き継がれず、法人として青色申告の承認申請書を出す必要があります(法人税法122条)。設立1期目の期限は、設立の日以後3か月を経過した日と第1期の末日のうち早い日の前日です。計算例は法人の青色申告承認申請書にあります。
  2. 個人側は取りやめ届出書を出す。国税庁は、事業の廃止などで青色申告を取りやめる場合、取りやめようとする年分の確定申告期限までに「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を納税地の税務署長へ出すよう案内しています(タックスアンサーNo.2070)。手続きは青色申告の取りやめ届出書で扱っています。
  3. この記事の「取消し」は、法人になったあとの話。個人の取りやめ届出書は個人の所得税の手続きで、法人税法127条の取消しとは別の制度です。個人側で取りやめ届出書を出しても、法人の承認には影響しません。

取りやめ届出書との違い

青色申告をやめる方法には、税務署長が行う「取消し」のほかに、法人が自分で行う「取りやめ」があります。

項目取消し(127条)取りやめ(128条)
誰が決めるか税務署長(書面で通知)法人(届出書の提出)
きっかけ4つの事由に該当法人が青色をやめると決めたとき
提出・通知税務署長が書面で通知取りやめる事業年度の確定申告書の提出期限までに、納税地の税務署長へ届出書を提出
再申請の制限通知を受けた日から1年以内の申請は却下され得る届出書を出した日から1年以内の申請は却下され得る

どちらも、後からもう一度青色申告にするには、あらためて承認申請が必要です。

取消しを避けるために確認すること

取消しの事由に当たらないために、次の点を確認します。

  • 期限内に申告する。2事業年度連続の期限内未提出が基準です。期限が間に合わないときは申告期限の延長の特例を確認します。
  • 帳簿書類を備え付け、調査で求められたら提示する。保存期間は帳簿・書類の保存期間で整理しています。
  • 税務署長から帳簿書類について指示があったら従う。指示に応じない場合に限って2号の問題になります。
  • 決算の流れ全体は法人の決算・申告の流れで確認できます。

まとめ

  • 取消しの事由は法人税法127条1項の4つ(帳簿の不備・指示不従・仮装隠蔽・期限内未提出)。
  • 国税庁の運用では、無申告は2事業年度連続で期限内に出さない場合に、2事業年度目以後を取り消す。
  • 隠蔽・仮装は、不正所得金額が50%超かつ500万円以上などが基準。
  • 取消しの通知または取りやめ届出書の提出から1年以内の再申請は、却下され得る。

よくある質問

1回だけ確定申告が期限に遅れたら、青色申告は取り消されますか?
国税庁の事務運営指針では、期限内に申告書を出さなかったことを理由とする取消しは、2事業年度連続して提出期限内に出していない場合に行うとされています(出典:国税庁)。ただし個別の事情は国税局長との協議が必要な場合もあります。
取り消されたら、すぐに再申請できますか?
法人税法123条3号により、取消しの通知を受けた日から1年以内に出した申請は、税務署長が却下できると定められています。
取消しと取りやめは何が違いますか?
取消しは税務署長が書面で通知する処分で、取りやめは法人が届出書を出して自分でやめる手続きです。取りやめは、その事業年度の確定申告書の提出期限までに納税地の税務署長へ届出書を出します(法人税法128条)。
帳簿書類を税務調査で見せなかったらどうなりますか?
国税庁の事務運営指針は、提示の拒否を帳簿書類の備付け等が行われていない場合(1号)に当たるとしています。取消処分のあとに帳簿書類を示しても、処分の効力には影響しないと同指針にあります。

公式一次情報

次に知りたいこと

本記事について。税理士監修前の概説です。法人税法と国税庁の事務運営指針で確認できた範囲を整理したもので、個別の法人が取消しの対象になるかを保証するものではありません。判断が必要な場合は、所轄の税務署または税理士へご相談ください。

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