青色申告の取りやめ届出書|提出が必要な場面・期限・出さない場合
廃業や法人成りのとき、青色申告をやめたいときに出す「所得税の青色申告の取りやめ届出書」の提出期限と書き方の要点を説明します。
国税庁の制度青色申告の承認を受けている人が、事業をやめる、または青色での申告をやめるときに使う届出が「所得税の青色申告の取りやめ届出書」です。法人成りで個人の事業をたたむ場合も、この届出が関係します。
提出期限は、青色申告を取りやめようとする年分の所得税の確定申告期限までです(国税庁「A1-9 所得税の青色申告の取りやめ手続」)。提出先は納税地の所轄税務署長で、e-Taxでも書面(持参または送付)でも出せます。
届出書を出す場面
所得税法151条1項は、青色申告の承認を受けている人が、その年分以後の所得税で青色申告書の提出をやめようとするときは、届出書を税務署長に出すよう定めています。届出書には、申告をやめようとする年などを書きます。
| 場面 | 届出書 |
|---|---|
| 事業を廃止する(廃業・法人成りで個人の事業をやめる) | 国税庁は、事業の廃止などで青色申告を取りやめる場合に届出書の提出を案内しています |
| 事業は続けるが、青色申告をやめて白色申告にする | 取りやめ届出書を出します(所得税法151条1項) |
事業を廃止する人は、取りやめ届出書とは別に「個人事業の開業・廃業等届出書」も出します。消費税の課税事業者などは「事業廃止届出書」も必要になる場合があります(国税庁A1-9の備考)。廃業届の中身は開業届・廃業届の書き方と期限と個人事業主の廃業の手続きにまとめています。
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提出期限と提出方法
期限は、取りやめようとする年分の確定申告期限です。個人の所得税の確定申告期限は原則として翌年3月15日なので、たとえば2026年分から青色申告をやめるなら、2027年3月15日までに出します。期限が土曜・日曜・祝日などに当たる場合は、その翌日が期限になります(国税庁A1-9)。
- 提出先:納税地を所轄する税務署長
- 提出方法:e-Taxソフトで作成してe-Taxで提出するか、書面を作って持参または送付します
- 様式:国税庁の「A1-9 所得税の青色申告の取りやめ手続」のページに、届出書と記載要領のPDFがあります
法人成りのときの扱い
個人で営んでいた事業を法人に移して個人の事業をやめる法人成りは、青色申告の取りやめ届出書が関係する代表的な場面です。所得税法151条2項は、青色申告の承認を受けている人が、青色申告ができる業務(不動産所得・事業所得・山林所得を生ずべき業務。同法143条)の全部を譲渡または廃止した場合、その日の属する年の翌年分以後は承認が効力を失うと定めています。
そのうえで国税庁は、事業の廃止などで取りやめる場合に届出書を出すよう案内しています。条文と国税庁の案内の両方があるため、取りやめる年が決まったら、届出書を出す前提で準備するのが無難です。
法人側では、個人の承認は引き継がれず新しく承認申請が要ります。法人になったあとに承認が取り消される場合は法人の青色申告の承認の取消しで整理しています。
次の点は、本記事の編集部による条文の読み方です。個人事業をやめても、不動産の貸付けによる所得(不動産所得)を個人で続けるなら、青色申告ができる業務の全部を廃止したことにならない可能性があります。その場合に青色申告を続けるのか取りやめるのかは、税務署または税理士に確認してください。
法人側で青色申告をするための承認申請は、法人の青色申告の承認申請書で説明しています。
出さないとどうなるか
届出書を出さないときの扱いは次のとおりです。
- 事業を廃止した場合は、所得税法151条2項により、廃止した日の属する年の翌年分以後の承認は効力を失います。
- 事業を続けたまま青色申告をやめたいときは、同条1項が「届出書の提出があつたときに承認が効力を失う」と定めています。編集部の読みでは、届出書を出さない限り承認は続き、翌年以降も青色申告者としての扱い(帳簿の備付けなど)が前提になります。
届出を出さなかった場合に、罰則や加算税が直接課されるという規定は、確認した条文と国税庁の案内には見当たりませんでした。ただし、廃業後も承認が残っているかどうかを自分で判断するのは分かりにくいため、取りやめる年が決まったら、確定申告の時期に合わせて出しておくのが安全です。
廃業で事業をやめた場合の承認の扱いと、廃業届そのものの出し忘れは、廃業届を出し忘れたときで条文別に整理しています。
あとで青色に戻したいとき
取りやめたあとで再び青色申告をしたい場合は、あらためて「青色申告承認申請書」を出します。申請の期限は、青色申告をしようとする年の3月15日まで、その年の1月16日以後に新たに業務を始めたときは業務開始の日から2か月以内です(所得税法144条)。
申請書を出したのに、その年の12月31日(11月1日以後に新たに業務を始めた場合は翌年2月15日)までに承認も却下もなかったときは、承認があったものとみなされます(同法147条)。
まとめ
- 青色申告をやめるときは「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を、取りやめる年分の確定申告期限(原則翌年3月15日)までに出す。
- 提出先は納税地の所轄税務署長で、e-Taxまたは書面で出せる。
- 事業の廃止では、廃業届(個人事業の開業・廃業等届出書)や、課税事業者なら事業廃止届出書も別に必要になる。
- 事業を廃止すると、条文上は翌年分以後の承認が効力を失う。国税庁は届出書の提出も案内している。
- 再び青色にするには、承認申請書を期限までに出し直す。
公式一次情報
- 国税庁「A1-9 所得税の青色申告の取りやめ手続」(取りやめようとする年分の確定申告期限までに提出、提出先と提出方法、事業を廃止する場合は開廃業等届出書も提出。2026-10-14確認)
- 国税庁「No.2070 青色申告制度」(廃業等で青色申告を取りやめる場合は取りやめ届出書を確定申告期限までに提出、承認申請書の期限。2026-10-14確認)
- e-Gov法令検索「所得税法」(143条・144条・147条・151条。2026-10-14確認)
よくある質問
- 青色申告の取りやめ届出書はいつまでに出しますか。
- 取りやめようとする年分の所得税の確定申告期限までです。原則は翌年3月15日で、期限が土日祝日などに当たる場合は翌日になります(国税庁A1-9)。
- 法人成りで個人事業をやめたら、取りやめ届出書は必要ですか。
- 国税庁は、事業の廃止などで青色申告を取りやめる場合に届出書の提出を案内しています。所得税法151条2項では、青色申告ができる業務の全部を廃止した場合は翌年分以後の承認が効力を失うとされていますが、届出書も出しておくのが一般的な整理です。不動産所得など他の所得の業務を続ける場合は、個別に税務署へご確認ください。
- 廃業届を出せば、取りやめ届出書は不要ですか。
- 国税庁は、事業を廃止する人に「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出も案内しています。これは取りやめ届出書の代わりではなく、別の届出です。
- 取りやめ届出書を出さないとどうなりますか。
- 事業を続けたまま青色をやめたい場合、条文は届出書の提出があったときに承認が失効すると定めているため、出さない限り承認は続くと読めます。届出書の不提出に直接の罰則や加算税を定めた規定は、確認した範囲では見当たりませんでした。
- 取りやめたあと、また青色申告にできますか。
- 青色申告承認申請書をあらためて出します。期限は、青色にしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に業務を始めた場合は業務開始から2か月以内)です(所得税法144条)。
次に知りたいこと
個人事業主の廃業の手続き:廃業届のほか、消費税・給与支払事務所・社会保険の届出を一覧で確認する。
法人成りした年の個人の確定申告:取りやめ届出書と同じ時期に出す最後の確定申告の流れを確認する。
青色申告と白色申告の違い:取りやめる前に、控除や記帳の違いを比べる。
法人の青色申告の承認が取り消される4つの場合:自分で取りやめるのとは別に、税務署長が取り消す場合の基準を確認する。
あわせて読む
自分で取りやめるのとは別に、税務署長が承認を取り消す場合:個人の青色申告の承認が取り消される3つの場合(所得税法150条)

