法人税の修正申告・更正の請求|加算税と事業税・住民税の期限
法人税の申告を間違えた、出し忘れた、というときの3つの手続き(期限後申告・修正申告・更正の請求)を整理します。国税通則法で決まる加算税の割合と更正の請求の期限(原則5年、欠損金は10年)に加え、法人税を直したあとに事業税・住民税の修正申告をいつまでに出すかを、条文で確認します。
2026年時点の制度法人税の申告を直すときは、納めた税額が少なかったなら修正申告、多かったなら更正の請求と、向きで手続きが分かれます。法人税を直すと、事業税と法人住民税も直す必要が出る点が、見落としやすいところです。
この記事は法人の場合に絞っています。消費税の同じ手続きは消費税の修正申告と更正の請求、個人の所得税は更正の請求で扱っています。
3つの手続きの使い分け
どの手続きになるかは、申告書を出したかどうかと、税額が増えるか減るかで決まります。条文は国税通則法の18条(期限後申告)・19条(修正申告)・23条(更正の請求)です。
| 状況 | 手続き | 税額の向き |
|---|---|---|
| 申告期限までに申告書を出さなかった | 期限後申告 | 納める税額が出る |
| 出した申告書の税額が少なかった(または欠損金が大きすぎた) | 修正申告 | 追加で納める |
| 出した申告書の税額が多かった(または欠損金が小さすぎた) | 更正の請求 | 減額・還付を求める |
法人税の申告期限は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内です(法人税法74条1項)。定款の定めなどで期限を延長している法人は、その延長後の期限が基準になります(申告期限の延長の特例)。
修正申告は自分で出すもので、税務署が調査のうえ税額を直す手続きは「更正」といいます。更正の請求は、直してもらうよう税務署に頼む手続きで、請求しただけでは減額されません。
更正の請求の期限は5年、欠損金は10年
国税通則法23条1項は、更正の請求ができる期間を、申告書の法定申告期限から5年以内としています。法人税で、申告書に書いた欠損金額が少なすぎた場合(または欠損金額の記載がなかった場合)は、期間が10年になります。
| 間違いの内容 | 更正の請求ができる期間 |
|---|---|
| 納める税額が過大だった | 法定申告期限から5年以内 |
| 還付される税額が過少だった | 法定申告期限から5年以内 |
| 欠損金額が過少だった(法人税) | 法定申告期限から10年以内 |
欠損金は翌期以降に繰り越して使えるため、赤字の年の計算ミスが、黒字になった数年後に効いてきます。繰越しのしくみは期限切れ欠損金の記事でも触れています。
請求の手続きは、更正請求書に、請求後の税額・請求の理由・請求に至った事情の詳細などを書いて、税務署長に出します(同条3項)。税務署は調査し、更正するか、更正すべき理由がない旨を通知します(同条4項)。
請求しても、納めるべき税金の徴収は止まりません。ただし、税務署長が相当の理由があると認めるときは、徴収を猶予できるとされています(同条5項)。
裁判の判決で計算の基礎となった事実が変わったときは、判決が確定した日の翌日から2か月以内に請求できる例外もあります(同条2項)。
加算税の割合と計算例
修正申告や期限後申告のあとには、加算税がかかることがあります。割合は、税務署の調査が始まる前に自分で出したかで段階が分かれます。
| 提出の時期 | 過少申告加算税(修正申告) | 無申告加算税(期限後申告) |
|---|---|---|
| 調査の事前通知が来る前 | かからない | 5% |
| 調査通知のあと・更正の予知前 | 5% | 10% |
| 更正・決定を予知してから、または更正・決定を受けたとき | 10% | 15% |
根拠は通則法65条(過少申告加算税)と66条(無申告加算税)です。調査通知前の修正申告で過少申告加算税がかからないのは、65条6項です。
無申告加算税には、さらに軽くなる例外があります。期限後申告が法定申告期限から1か月以内に自主的に行われ、期限内に出す意思があったと認められる一定の場合(全額を納付している、過去5年に無申告加算税などを課されていない、など)は、かかりません(同法66条9項。要件は国税庁の説明による)。
納める税額が大きいと、割合が上がります。
- 過少申告加算税:増える税額のうち、期限内申告の税額と50万円のどちらか多い方を超える部分には、さらに5%が加わります(65条2項)。
- 無申告加算税:納付税額のうち50万円を超え300万円以下の部分は20%、300万円を超える部分は30%です。更正・決定を予知せずに出した期限後申告などは、それぞれ5ポイント低くなります(66条2項・3項)。調査通知の前に自主的に出した期限後申告は、税額によらず一律5%です(同条8項)。
数字で見ます。計算例は、条文の割合を当てはめた目安です。
| 例 | 加算税 |
|---|---|
| 調査通知のあと、更正を予知せずに修正申告。追加で納める法人税が120万円(期限内申告の税額は300万円) | 120万円×5%=6万円 |
| 上と同じ増額を、税務署が更正した場合 | 120万円×10%=12万円 |
| 調査通知の前に、自分で期限後申告。納付税額が100万円 | 100万円×5%=5万円 |
一つ目の例は、増える税額が「300万円と50万円の多い方」を超えないため、上乗せの5%はかかりません。故意に隠した場合などの重加算税は、この記事の対象外です。
延滞税の割合
追加で納める税額には、加算税とは別に延滞税がかかります。国税庁の割合表では、最初の2か月までと、それを過ぎたあとで割合が変わります。2か月の数え始めは申告の種類によって異なるため、国税庁の延滞税の案内で確認してください。
| 期間(令和8年1月1日〜12月31日) | 最初の2か月まで | 2か月を過ぎたあと |
|---|---|---|
| 年率 | 2.8% | 9.1% |
割合は、年7.3%または「延滞税特例基準割合+1%」の低い方(2か月経過後は14.6%または「同+7.3%」の低い方)で、毎年変わります。令和7年は2.4%と8.7%でした。納めるまでの日数に応じて日割りで増えるため、修正申告を出したら、税額を早く納めるほど延滞税は少なくなります。
事業税・住民税の修正申告の期限
法人税の修正は、地方税にも及びます。事業税と法人住民税(道府県民税の法人税割)は、法人税額や所得を基にして計算するためです。法人税で更正や決定を受けたら、通知の日から1か月以内に事業税の修正申告と納付が必要です。
| 場面 | 事業税の手続き | 根拠 |
|---|---|---|
| 自分で事業税の申告内容に不足がわかった(法人税の修正申告を出した場合を含む) | 遅滞なく修正申告書を出して納める | 地方税法72条の31第2項 |
| 法人税で税務署の更正・決定を受けた | 通知の日から1か月以内に修正申告書を出して納める | 地方税法72条の31第3項 |
| 事業税の申告期限後に初めて申告する | 事業税の決定の通知があるまでは申告して納付できる | 地方税法72条の31第1項 |
法人住民税のうち道府県民税も、申告内容を修正すべきときは遅滞なく修正申告書を出して納めます(地方税法53条34項)。法人税の修正申告や更正・決定で増えた法人税額については、その法人税を納付すべき日までに申告納付する決まりです(同条35項)。市町村民税については、お住まいの自治体の案内で確認してください。
地方税の更正の請求は、地方税法20条の9の3第1項で、法定納期限から5年以内とされています。国税の欠損金の10年のような別の期間は、この項には書かれていません。
実務では、法人税の修正を決めた時点で、地方税の窓口(都道府県税事務所、市町村)への連絡も同時に段取りしておくと漏れません。
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