消費税の修正申告と更正の請求|期限・加算税・延滞税
消費税の申告を出したあとで、納める額が足りなかった、または多すぎたと気づいたときの手続きを整理します。修正申告と更正の請求の使い分け、更正の請求の期限、過少申告加算税の割合と計算例、延滞税の割合を扱います。
消費税消費税の確定申告を出したあとに、売上げの計上漏れや税率の取り違えが見つかることがあります。逆に、仕入れの計上漏れで納めすぎていたと気づくこともあります。どちらも、申告のやり直しは国税通則法の手続きで行います。
この記事は、納める額が足りない場合の修正申告、納めすぎの場合の更正の請求、足りない場合にかかる加算税と延滞税を整理します。申告そのものを出していない場合は、消費税の期限後申告を確認してください。
修正申告と更正の請求の使い分け
国税庁のタックスアンサーNo.2026は、申告内容の間違いに気づいたとき、納める税金が少なすぎた場合は修正申告、多すぎた場合は更正の請求で訂正すると案内しています。案内は所得税のものですが、手続きの根拠は国税通則法で、消費税にも同じ条文が当てはまります。
| 気づいた内容 | 手続き | 根拠 |
|---|---|---|
| 納付額が不足、または還付額が過大 | 修正申告書を税務署長に提出する | 国税通則法19条1項 |
| 納付額が過大、または還付額が過少 | 更正請求書を税務署長に提出する | 国税通則法23条1項 |
修正申告は、税務署から更正を受けるまでは自分から出せます(通則法19条1項)。更正の請求は、請求しても税務署が調べて更正するかを決めるため、請求しただけで減額が確定するわけではありません。税務署長は、調べたうえで更正するか、更正すべき理由がない旨を通知します(同法23条4項)。
輸入品に係る消費税の更正の請求だけは、提出先が税務署長ではなく税関長です(同条6項)。国内取引の申告は、所轄の税務署長に出します。
国税庁の案内には、所得金額が増減しても最終的な税額に変わりがない場合は更正の請求ができない、とあります。消費税でも、売上げ側と仕入れ側の誤りが打ち消し合って納付額が変わらないときは、請求の対象になりません。
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更正の請求の期限と書くこと
更正の請求ができる期間は、法定申告期限から5年以内です(通則法23条1項)。起算するのは申告した日ではなく、その課税期間の法定申告期限です。消費税の期限は消費税の確定申告の期限で確認できます。
5年を過ぎたあとでも、判決で計算の基礎となった事実が変わったときなどは、その日の翌日から2か月以内に請求できる定めがあります(同条2項)。ただし、この規定は特別な場合に限られるため、通常は5年以内に動くのが前提です。
更正請求書には、次の事項を書きます(同条3項)。
- 請求に係る更正後の課税標準等または税額等
- 更正の請求をする理由
- 請求をするに至った事情の詳細
- 請求に係る更正前の納付すべき税額と還付金の額に相当する税額
更正の請求があっても、税務署長は納付すべき国税の徴収を猶予しません。相当の理由があると認めるときに限り、猶予できる扱いです(同条5項)。請求中でも、納期限までの納付は別に必要と考えておくのが安全です。
修正申告にかかる過少申告加算税
修正申告で新たに納める税金には、過少申告加算税がかかる場合があります。国税庁の案内(No.2026)では、割合は修正申告を出した時期で分かれます。
| 修正申告の時期 | 過少申告加算税 | 基準額を超える部分 |
|---|---|---|
| 調査の事前通知の前に自主的に出した | かからない | ― |
| 事前通知のあと、更正を予知する前に出した | 新たに納める税金の5% | 10% |
| 調査を受けたあとに出した、または更正を受けた | 新たに納める税金の10% | 15% |
表の「基準額」は、新たに納める税金が、当初の申告納税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分を指します。基準は当初の申告納税額と50万円の大きいほうで、条文では「期限内申告税額」と呼びます(通則法65条)。
消費税では、この期限内申告税額に、すでに納めた中間納付額が加わる扱いです(通則法65条3項2号ホ)。中間申告をしている事業者は、確定申告書の差引納付額だけでなく、中間納付額も合わせた額が基準になります。
計算の形を、仮の金額で示します。実際の額ではなく、割合の当てはめを見るための例です。
| 前提 | 自主的な修正申告 | 事前通知後・予知前 | 調査後 |
|---|---|---|---|
| 当初の申告納税額20万円、新たに20万円を納める | 0円 | 20万円×5%=1万円 | 20万円×10%=2万円 |
| 当初の申告納税額20万円、新たに80万円を納める | 0円 | 50万円×5%+30万円×10%=5.5万円 | 50万円×10%+30万円×15%=9.5万円 |
2行目は、基準額が「20万円と50万円の多いほう」の50万円になり、80万円のうち50万円を超える30万円に高い割合が適用される計算です。調査の事前通知を受ける前に直せば、この加算税はかかりません。
令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するものでは、調査で帳簿の提示や提出を求められたのに応じなかった場合などに、加算税が上乗せされる定めもあります(国税庁No.2026の注記)。当初の申告そのものが期限後申告だった場合は、無申告加算税がかかる場合があります。
延滞税と納付の期限
修正申告で新たに納める税金には、延滞税もかかります(通則法60条1項2号)。国税庁の案内では、新たに納める税金は修正申告書を提出する日が納期限で、その日までに納めます。延滞税は、納付の日までの分を合わせて納めます。
延滞税の割合は、納期限までの期間と、納期限の翌日から2か月を経過する日までは低く、それ以後は高く定められています。国税庁の割合表では、令和8年1月1日から12月31日までは次のとおりです。
| 期間 | 令和8年の割合(年) |
|---|---|
| 納期限までの期間、および納期限の翌日から2か月を経過する日まで | 2.8% |
| 納期限の翌日から2か月を経過する日の翌日以後 | 9.1% |
割合は年ごとに告示で決まります。過去の期間の延滞税を計算するときは、その年の割合を国税庁の表で確認してください。延滞税には、一定の期間を計算から除く特例などもあります。
申告後の訂正でよくある場面
消費税で訂正が必要になる場面を、記事内の既存ガイドとあわせて整理します。ここでの分類は、手続きの向き(修正か更正の請求か)の目安で、個別の事情で結論が変わることがあります。
| 気づいたこと | 向き | 参考にするガイド |
|---|---|---|
| 売上げの計上漏れ、税率の取り違え | 納付額が増える。修正申告 | 売上げを計上する時期 |
| 仕入れの計上漏れ、返品や値引きの処理漏れ | 納付額が減る。更正の請求 | 返品・値引き・貸倒れの処理 |
| 課税売上割合の計算違い | 仕入れ側の控除額が変わる。方向は計算しだい | 課税売上割合の計算 |
| 簡易課税の事業区分の取り違え | みなし仕入率が変わる。方向は計算しだい | 簡易課税の事業区分 |
仕入税額控除を受けるには、帳簿と請求書等を保存する必要があります(消費税法30条7項)。保存がない課税仕入れは、原則として控除の対象になりません。書類の保存の要件はインボイスの保存で確認してください。
まとめ
- 納める税金が足りなかった、還付が多すぎたときは修正申告(通則法19条1項)。
- 納めすぎ、還付が少なすぎたときは更正の請求(同法23条1項)。期限は法定申告期限から5年以内。
- 更正の請求をしても納付は猶予されない(同条5項)。
- 修正申告の過少申告加算税は、調査の事前通知の前なら0、通知後で予知前は5%(基準額超は10%)、調査後は10%(同15%)。
- 基準額は当初の申告納税額と50万円の多いほうで、消費税では中間納付額も含めて見る。
- 延滞税は修正申告で新たに納める分にかかる。令和8年の割合は年2.8%と9.1%。
よくある質問
- 消費税を多く納めすぎたときは、いつまで取り戻せますか?
- 更正の請求は、法定申告期限から5年以内にできます。請求を受けて税務署長が調べ、更正するかを決めます(出典:国税通則法23条1項・4項)。
- 消費税の修正申告をすると、必ず加算税がかかりますか?
- 調査の事前通知の前に自主的に出した修正申告には、過少申告加算税はかかりません。通知後は5%または10%の割合になります(出典:国税庁タックスアンサーNo.2026)。
- 更正の請求をすれば、納付は待ってもらえますか?
- 待てません。請求があっても徴収は猶予されず、税務署長が相当の理由があると認めたときだけ猶予できます(出典:国税通則法23条5項)。
- 過少申告加算税の50万円の基準は何ですか?
- 新たに納める税金が、当初の申告納税額と50万円のいずれか多い額を超えるとき、超える部分に高い割合がかかります。消費税では、当初の申告納税額に中間納付額が含まれます(出典:国税通則法65条2項・3項)。
- 修正申告で新たに納めるとき、延滞税もかかりますか?
- かかります。令和8年の割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、その翌日以後が年9.1%です(出典:国税通則法60条1項2号、国税庁「延滞税の割合」)。
次に知りたいこと
法人税の前期の計上誤りを今期で処理してよいかは、前期の計上漏れ・誤りに気づいたときで整理しています。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「国税通則法」(19条:修正申告、23条:更正の請求、60条:延滞税、65条:過少申告加算税。2026-10-15確認)
- e-Gov法令検索「消費税法」(30条:仕入れに係る消費税額の控除。2026-10-15確認)
- 国税庁タックスアンサーNo.2026「確定申告を間違えたとき」(修正申告と更正の請求の使い分け、過少申告加算税の割合。2026-10-15確認)
- 国税庁「延滞税の割合」(令和8年は2.8%と9.1%。2026-10-15確認)

