消費税の還付申告|還付になる条件・売上がない期間の申告・還付加算金の起算日
課税事業者が、納める消費税より控除できる消費税のほうが大きいとき、差額が戻る仕組みを整理します。申告書の出し方、売上がない課税期間でも出せる理由、還付が受けられないケース、還付加算金の数え方まで、消費税法の条文で確認します。
消費税消費税は、預かった消費税(売上げ側)から支払った消費税(仕入れ・経費側)を引いて納めます。設備投資や大きな仕入れがある期間は、引ききれずに差額が残ることがあります。この差額は、申告をすれば還付されます。
この記事は、還付になる計算の形、申告書の提出期限、売上がない期間でも出せる場合、還付が受けられない場合、還付加算金の数え方を整理します。課税事業者を選ぶ届出の側からの説明は課税事業者選択届出書で扱っています。
還付になる計算の形
消費税法45条1項は、確定申告書に、課税標準額に対する消費税額(売上げ側)と、そこから控除する消費税額(仕入れ側)を書くよう定めています。売上げ側の消費税額から控除する額を引いてなお不足額があるときは、その不足額を申告書に書きます(同項5号)。
| 項目 | 内容 | 金額の例 |
|---|---|---|
| 売上げ側 | 課税標準額に対する消費税額(2号) | 100万円 |
| 仕入れ側 | 控除する消費税額の合計(3号。仕入れに係る消費税額など) | 150万円 |
| 控除不足額 | 3号が2号を上回った差額(5号) | 50万円 |
上の金額は計算の形を示すための例で、実際の額ではありません。不足額が出たときは、税務署長が申告書を提出した者に、その不足額に相当する消費税を還付します(消費税法52条1項)。
仕入れ側の控除は、課税仕入れを行った日の属する課税期間で受けます(消費税法30条1項)。設備を買った期だけ仕入れ側が大きくなり、その期に不足額が出る、という形が代表的です。
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申告書の提出期限と売上がない期間
事業者は課税期間ごとに、課税期間の末日の翌日から2か月以内に確定申告書を提出します(消費税法45条1項)。還付になる場合も、この申告書の控除不足額の欄が還付の根拠になります。個人事業者と法人の具体的な期限は、消費税の確定申告の期限にまとめています。
課税売上げがない期間は、申告の義務そのものがありません。同項ただし書は、免税でない課税資産の譲渡等と特定課税仕入れがなく、納付すべき消費税額(4号)もない課税期間については申告書を出さなくてよいと定めています。
ここで還付が受けられなくなるわけではありません。消費税法46条1項は、控除不足額があるときは、申告義務がない課税期間でも、還付を受けるための申告書を提出できると定めています。開業して売上げがまだなく、先に設備や在庫を仕入れた期間が、この場合に当たります。
| 場面 | 申告書 | 根拠 |
|---|---|---|
| 通常の確定申告(売上げがある期間) | 確定申告書(控除不足額の欄に記入) | 消費税法45条1項 |
| 売上げも納付額もない期間で、控除不足額だけがある | 還付を受けるための申告書 | 消費税法46条1項 |
46条の申告書には、その課税期間中の資産の譲渡等の対価の額と課税仕入れ等の税額の明細を記載した書類を添付します(同条3項)。個人事業者が課税期間の途中で亡くなった場合は、相続人が提出できる定めもあります(同条2項)。
還付が受けられない・小さくなるケース
還付にならない場合と、控除額が小さくなる場合は次のとおりです。
| ケース | どうなるか | 根拠 |
|---|---|---|
| 免税事業者 | 消費税を納める義務が免除される事業者は、45条・46条の申告の対象から外れ、還付は受けられない。受けたいときは課税事業者を選ぶ届出が先に要る | 消費税法9条1項・45条1項・46条1項 |
| 簡易課税制度を使っている | 仕入れ側は、売上げ側の消費税額にみなし仕入率(90%以下)を掛けて計算するため、売上げ側を超える控除不足額は出ない | 国税庁タックスアンサーNo.6505 |
| 課税売上高が5億円超、または課税売上割合が95%未満 | 課税仕入れ等の消費税額の全額は控除できず、課税売上げに対応する部分だけを控除する(個別対応方式または一括比例配分方式) | 国税庁タックスアンサーNo.6401 |
簡易課税の「控除不足額が出ない」は、みなし仕入率が100%未満であることから読み取れる点です。売上対価の返還等など特別な計算がある期間は、税務署または税理士に確認してください。
課税売上割合の仕組みと計算は課税売上割合の計算で扱っています。高額な設備を買って課税事業者のまま還付を受けたときは、そのあとの数年間、免税や簡易課税が使えなくなる制限があります(高額特定資産を取得した場合の制限)。
還付加算金はいつから数えるか
還付金には、還付加算金が付きます。消費税法52条2項は、加算金を数え始める日を、申告書の種類ごとに定めています。国税通則法58条1項が、還付加算金の根拠です。
| 申告書 | 数え始める日(この日の翌日から支払決定の日まで) |
|---|---|
| 確定申告書(提出期限内に提出) | 申告書の提出期限 |
| 確定申告書(期限後に提出) | 申告書を提出した日の属する月の末日 |
| 46条の還付申告書 | 提出した日の属する月の末日。課税期間の末日の翌日から2か月を経過する日前に提出したときは、その2か月を経過する日 |
表のとおり、期限内の確定申告なら提出期限、46条の申告書を早く出しても2か月を経過する日から数えます。早く出しても、加算金の数え方のうえで有利になるわけではありません。加算金の割合は年ごとに公表される基準で決まるため、この記事では扱いません。
未納の消費税への充当
還付金を、その申告書に係る課税期間の消費税で未納のものに充てる場合、充てる部分には還付加算金が付きません。充てられた部分の消費税については、延滞税と利子税が免除されます(消費税法52条3項)。
消費税に未納があるときは、還付金がまずその未納に充てられる場合があります。還付の手続きや充当の方法は政令で定められています(同条4項)。
まとめ
- 売上げ側の消費税額から控除する額を引いて不足額が出ると、その額が還付される(消費税法45条1項5号・52条1項)。
- 申告書は、課税期間の末日の翌日から2か月以内に出す(45条1項)。
- 売上げも納付額もない期間でも、控除不足額があれば46条の申告書で還付を受けられる。
- 免税事業者と簡易課税の事業者は、還付申告の対象にならない、または控除不足額が出ない。
- 課税売上高5億円超か課税売上割合95%未満だと、控除額は全額にならない。
- 還付加算金は、申告書の種類ごとに決まった日の翌日から支払決定日まで付く(52条2項)。
よくある質問
- 消費税が還付されるのはどんなときですか?
- 売上げ側の消費税額から控除する消費税額を引いて、なお不足額があるときです。その不足額に相当する消費税が還付されます(出典:消費税法45条1項5号・52条1項)。
- 売上げがない期間でも還付申告できますか?
- 控除不足額があれば、申告義務がない課税期間でも、還付を受けるための申告書を提出できます。課税期間中の資産の譲渡等の対価の額と課税仕入れ等の税額の明細を添付します(出典:消費税法46条1項・3項)。
- 免税事業者でも消費税の還付を受けられますか?
- 受けられません。消費税を納める義務が免除される事業者は、45条・46条の申告の対象から外れています(出典:消費税法9条1項・46条1項)。
- 簡易課税を選んでいると還付されますか?
- 簡易課税は売上げ側の消費税額にみなし仕入率(90%以下)を掛けて仕入れ側を計算するため、売上げ側を超える控除不足額は出ません(出典:国税庁タックスアンサーNo.6505)。
- 還付加算金はいつから付きますか?
- 期限内の確定申告書は提出期限の翌日から、46条の還付申告書は提出月の末日(課税期間の末日の翌日から2か月を経過する日前の提出なら、その2か月を経過する日)の翌日から、支払決定の日まで数えます(出典:消費税法52条2項)。
還付の額が申告後に違っていたとわかったときの訂正は、消費税の修正申告と更正の請求で扱っています。
判定から届出・申告・納付までの順番と期限は消費税のまとめで一覧にしています。
還付申告を早く行いたい事業者が検討する課税期間の短縮は、課税期間の短縮特例(3か月・1か月)で届出と注意点を確認できます。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「消費税法」(9条:納税義務の免除、30条:仕入れに係る消費税額の控除、37条:簡易課税、45条:確定申告、46条:還付を受けるための申告、52条:控除不足額の還付と還付加算金。2026-10-15確認)
- e-Gov法令検索「国税通則法」(58条:還付加算金。2026-10-15確認)
- 国税庁タックスアンサーNo.6401「仕入控除税額の計算方法」(課税売上高5億円超または課税売上割合95%未満の場合の控除。2026-10-15確認)
- 国税庁タックスアンサーNo.6505「簡易課税制度」(みなし仕入率による仕入れ側の計算。2026-10-15確認)

