相続した株式の名義書換|株主名簿の書換え請求と単独で請求できる場合
社長の株式を相続したら、会社の株主名簿に自分の名前を載せてもらう必要があります。会社法第133条の請求と、相続人が単独で請求できる法務省令の定めを条文で整理します。
会社法株式を売買や贈与で取得したときは、株主名簿の書換えを会社に請求します。相続の場合はどうなるのかを、条文で確認します。
結論から言うと、相続で株式を取得した人は、相続を証する書面などを添えて、単独で名義書換を請求できます。この記事では、請求の根拠、単独で請求できる理由、名簿を書き換えるとどうなるかをまとめます。
株主名簿には何が載っているか
会社は株主名簿を作る義務があります。会社法第121条は、次の事項を記載するよう定めています。
- 株主の氏名または名称と住所
- 株主が持つ株式の数(種類株式発行会社は種類ごとの数)
- 株主が株式を取得した日
- 株券発行会社では、株券の番号
会社法は、株式を取得した人の請求によって名簿に記載する仕組みを定めています。相続の場合も、相続人の側から会社に書換えを請求します。
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株式を取得した人は書換えを請求できる
会社法第133条第1項は、株式を、その株式を発行した会社以外の人から取得した人(株式取得者)は、会社に対し、株主名簿記載事項を名簿に記載するよう請求できるとしています。
相続人は、被相続人から株式を取得した人なので、この請求の主体になります。
相続人は単独で請求できる
原則として、この請求は、名簿に載っている株主か、その相続人などの一般承継人と共同でしなければなりません(第133条第2項)。売買なら、売主と買主が一緒に請求する形です。
ただし、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合は、取得した人だけで請求できます。会社法施行規則第22条第1項第4号は、その一つとして、株式取得者が一般承継により会社の株式を取得した場合に、一般承継を証する書面その他の資料を提供して請求したときを挙げています。
相続は一般承継です。相続人は、亡くなった株主の名義の側と共同で請求する必要がなく、自分一人で請求できます。
請求のときに示す資料
規則第22条第1項第4号が求めるのは、「一般承継を証する書面その他の資料」です。具体的にどの書類で足りるかは、条文には列挙されていません。
戸籍謄本や遺産分割協議書などが例として考えられますが、必要な書類は会社ごとに扱いが異なる場合があります。提出前に、会社の担当者や司法書士に確認してください。
株券発行会社は、規則第22条第2項に別の定めがあり、株券を提示して請求する場合などが挙げられています。株券を出している会社かどうかは、会社に確認してください。
相続人が複数いて遺産分割が済んでいないときは、株式は共有のままです。この場合の議決権の扱いは、相続で共有になった株式の議決権で整理しています。
名簿上の株主が総会で権利を使う
名義書換が必要な理由は、会社が株主総会などで、名簿に載っている株主を基準に権利を認めるためです。会社法第124条第1項は、会社が基準日を定め、基準日に名簿に記載・記録されている株主を、権利を行使できる者と定められるとしています。
基準日の効力は、会社が基準日を定めたときの話です。名簿が亡くなった社長の名前のままだと、相続人は基準日に名簿に載っている株主にはなりません。株主総会などを控えているときは、基準日より前に書換えを請求しておくかを検討してください。
名簿の作り方と保管は、株主名簿の作成と備置きで整理しています。譲渡制限のある株式の売買による取得は、株式の譲渡承認の手続きが別に必要です。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「会社法」第121条・第124条・第133条(2026-10-30確認)
- e-Gov法令検索「会社法施行規則」第22条(2026-10-30確認)
まとめ
相続で株式を取得した人は、会社法第133条第1項により、株主名簿の書換えを会社に請求できます。相続は一般承継なので、規則第22条第1項第4号により、相続を証する書面などを示せば単独で請求できます。
基準日の株主は名簿で決まるため、株主総会などの前に請求するかを検討してください。
次に知りたいことは、相続で共有になった株式の議決権、相続人等に対する株式の売渡請求、社長が亡くなった後の会社の記事で確認できます。
よくある質問
- 相続した株式の名義書換は、相続人が一人でできますか?
- できます。株式取得者が一般承継により取得した場合は、一般承継を証する書面その他の資料を提供して請求すれば、名簿上の株主側との共同請求は要りません(会社法第133条第2項、会社法施行規則第22条第1項第4号)。
- 相続人は、会社に株主名簿の書換えを請求する必要がありますか?
- 会社法第133条第1項は、株式を取得した人の請求により名簿に記載する仕組みを定めています。相続人の側から会社に請求します。
- 名義書換には、どんな書類を出せばよいですか?
- 規則は「一般承継を証する書面その他の資料」とだけ定めています。戸籍謄本や遺産分割協議書など、会社が求める書類は異なる場合があるため、会社や司法書士に確認してください。
- 株主総会の前に名義書換をしておく必要はありますか?
- 会社は基準日に名簿に載っている株主を、権利を行使できる者と定められます(会社法第124条第1項)。総会などを控えているときは、基準日より前に請求するかを検討してください。
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