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配当還元方式で評価できる株主の条件|同族株主の判定と議決権の割合(通達188)

非上場株式を相続や贈与で取得した人の株式が、配当還元方式で評価できるかどうかは、財産評価基本通達188の4つの型で決まります。同族株主の判定(議決権30%・50%超)、中心的な同族株主(25%)、中心的な株主(15%・10%)、取得後の議決権5%未満の基準を、原文の順に整理します。

法人化(法人成り)
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

法人成りした会社の株式を取得したときの評価は、会社の規模で決まる通常の方式のほかに、年配当金額を基にした配当還元方式があります。配当還元方式を使えるのは、通達188が定める「同族株主以外の株主等が取得した株式」にあたる場合に限られます(財産評価基本通達188、188-2)。

社長が1人で株を持つ会社の後継者のように、議決権の多くを家族で持つ場合は、この方式の対象になりません。通常の評価の計算は類似業種比準価額と純資産価額の計算、規模区分の入口は取引相場のない株式の評価で扱っています。

配当還元方式になる4つの型

通達188は、「同族株主以外の株主等が取得した株式」を、次の4つのいずれかにあたる株式と定めています。判定に使う議決権の割合は、課税時期(相続なら死亡の日、贈与なら贈与を受けた日)の数字です。

型会社の状況配当還元方式になる株主
(1)同族株主のいる会社同族株主以外の株主が取得した株式
(2)中心的な同族株主のいる会社中心的な同族株主以外の同族株主で、取得後の議決権が総数の5%未満の人(役員などを除く)
(3)同族株主のいない会社株主の1人とその同族関係者の議決権の合計が総数の15%未満の株主
(4)中心的な株主がいて、同族株主のいない会社議決権の合計が15%以上の株主で、取得後の議決権が総数の5%未満の人(役員などを除く)

どの型にあたるかは、まず会社に同族株主がいるかどうかで分かれます。いずれにもあたらない株式は、配当還元方式でなく、通達179の通常の評価になります。

型1:同族株主のいる会社で、同族株主以外が取得した株式

通達188(1)でいう同族株主は、課税時期における株主のうち、株主の1人とその同族関係者の議決権の合計が、会社の議決権総数の30%以上である場合のその株主と同族関係者です。

ただし、議決権の合計が最も多い株主グループの議決権が総数の50%を超える会社では、基準が50%超になります。同族関係者は、法人税法施行令第4条に規定する特殊の関係のある個人または法人です。

この会社の株主のうち、同族株主にあたらない人が取得した株式が、型1です。たとえば、社長の家族が議決権の過半数を持つ会社で、その家族グループに入らない従業員が少数の株を持っている場合が、これにあたります。

型2:中心的な同族株主のいる会社の、議決権5%未満の同族株主

同族株主であっても、一定の人は配当還元方式になります。通達188(2)は、中心的な同族株主のいる会社の株主のうち、中心的な同族株主以外の同族株主で、株式取得後の議決権が総数の5%未満の人の取得した株式を対象にしています。

中心的な同族株主は、課税時期において、同族株主の1人と、その配偶者、直系血族、兄弟姉妹、1親等の姻族の議決権の合計が、総数の25%以上である場合のその株主です。これらの人が議決権の25%以上を持つ会社(同族関係者である会社)の議決権も、合計に含めます。

議決権が5%未満かどうかは、株式を取得したあとの議決権の数で見ます。相続や贈与で株が増えるときは、増えたあとの数字で判定します。

型3・型4:同族株主のいない会社の株主

議決権が分散して同族株主がいない会社は、型3と型4で判定します。

  • 型3:株主の1人とその同族関係者の議決権の合計が総数の15%未満の株主の取得した株式。
  • 型4:中心的な株主がいる会社で、議決権の合計が15%以上の株主のうち、株式取得後の議決権が総数の5%未満の人(役員などを除く)の取得した株式。

中心的な株主は、株主の1人とその同族関係者の議決権の合計が15%以上である株主グループのうち、いずれかのグループに、単独で議決権総数の10%以上を持つ株主がいる場合のその株主です。

役員は5%未満でも対象外になる

型2と型4には、役員についての除外があります。課税時期において評価会社の役員である人と、課税時期の翌日から法定申告期限までの間に役員となる人は、議決権が5%未満でも、配当還元方式になりません。

ここでいう役員は、社長、理事長と、法人税法施行令第71条第1項第1号、第2号、第4号に掲げる者です。施行令第71条第1項の各号は、次のとおりです。

  • 第1号:代表取締役、代表執行役、代表理事、清算人
  • 第2号:副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
  • 第4号:取締役(指名委員会等設置会社の取締役と監査等委員である取締役に限る)、会計参与、監査役、監事

上の列挙に入らない役職(職制上の地位のない取締役など)にあたるかどうかは、会社の実態をふまえて税理士・税務署に確認してください。

課税時期の翌日から法定申告期限までの間に役員になる予定かどうかも、判定に影響します。後継者を取締役に就ける計画があるときは、評価の判定に関わります。

配当還元方式の評価額

通達188-2は、型1から型4にあたる株式を、年配当金額を基にした算式で評価すると定めています。年配当金額は、直前期末以前2年間の配当金額(特別配当や記念配当などで、毎期継続することが予想できない金額は除く)の合計の2分の1を、発行済株式数で割った1株当たりの金額(通達183(1))です。

その金額が2円50銭未満の場合と、無配の場合は、2円50銭とします。算式で計算した金額が、通常の方式(通達179)で計算した金額を超えるときは、通達179の金額で評価します。

評価額は配当の実績で決まるため、無配の会社でも2円50銭の下限が働きます。株式の名義や取得の手続きは相続した株式の名義書換え、売買での承認は株式譲渡承認の手続きで扱っています。議決権に差をつける種類株式は議決権や配当に差をつける種類株式で整理しています。

まとめ

  • 配当還元方式は、通達188の4つの型のどれかにあたる株式だけが使える。
  • 同族株主は、株主の1人とその同族関係者の議決権が30%以上(最大グループが50%超の会社は50%超)の株主グループ。
  • 同族株主のいる会社では、同族株主以外の株主の株式と、中心的な同族株主以外で取得後の議決権が5%未満の同族株主の株式が対象。
  • 同族株主のいない会社では、議決権の合計が15%未満の株主と、中心的な株主がいる会社で15%以上でも取得後の議決権が5%未満の株主の株式が対象。
  • 型2と型4では、役員と、法定申告期限までに役員になる人は対象外。
  • 具体的な判定は、株主名簿と議決権の数を整理して、税理士・税務署に確認する。

よくある質問

同族株主とは、議決権のどのくらいを持つ株主ですか?
株主の1人とその同族関係者の議決権の合計が、会社の議決権総数の30%以上である場合のその株主と同族関係者です。最も多いグループが50%超の会社では、50%超が基準になります(出典:財産評価基本通達188(1))。
同族株主でも配当還元方式になることはありますか?
あります。中心的な同族株主のいる会社で、中心的な同族株主以外の同族株主の取得後の議決権が総数の5%未満であれば対象です。ただし、役員などは除かれます(出典:財産評価基本通達188(2))。
中心的な同族株主とは誰のことですか?
同族株主の1人と、その配偶者、直系血族、兄弟姉妹、1親等の姻族の議決権の合計が総数の25%以上である場合の、その株主です(出典:財産評価基本通達188(2))。
同族株主のいない会社では、何%未満なら配当還元方式ですか?
株主の1人とその同族関係者の議決権の合計が15%未満なら対象です。15%以上でも、中心的な株主がいる会社で、取得後の議決権が5%未満なら対象です(出典:財産評価基本通達188(3)(4))。
取締役でも議決権が5%未満なら配当還元方式ですか?
型2と型4では、課税時期に役員である人と、課税時期の翌日から法定申告期限までに役員になる人は除かれます。役員の範囲は通達188(2)と法人税法施行令第71条第1項で確かめてください(出典:財産評価基本通達188(2))。

公式一次情報

本記事について。税理士監修前の概説です。制度・期限は改正される場合があります。個別の判断は税理士・税務署へご確認ください。