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取引相場のない株式の評価|会社の規模区分と評価方式

法人成りした会社の株式は上場しておらず、株主が亡くなったときや株を贈るときに、国税庁の財産評価基本通達で評価額を決めます。会社の規模区分(大会社・中会社・小会社)、類似業種比準価額と純資産価額、同族株主以外の配当還元方式の入口を、通達178・179・188・188-2の原文で整理します。

法人化(法人成り)
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

上場していない会社の株式には、市場の値段がありません。そのため相続や贈与では、財産評価基本通達が定める方法で、会社の規模区分と株主の立場に応じて評価額を計算します(通達178・179)。この記事は、計算に入る前に知っておく入口の整理です。

評価額そのものは、会社の決算の数字や業種ごとの株価など多くの資料が要り、この記事では算出しません。株を売ったときの所得税は非上場株式を譲渡したときの所得税、会社が株を譲る手続きは株式譲渡承認の手続き、株主が亡くなったあとの名義は相続した株式の名義書換えで扱っています。

会社の規模区分(大会社・中会社・小会社)

通達178は、取引相場のない株式の価額を、評価する株式の発行会社(評価会社)が大会社・中会社・小会社のどれにあたるかに応じて評価すると定めています。区分は、総資産価額(帳簿価額)と従業員数、または直前期末以前1年間の取引金額で決まります。

区分従業員数総資産価額・従業員数の基準取引金額の基準
大会社70人以上なら大会社卸売業20億円以上、小売・サービス業15億円以上、その他15億円以上(いずれも従業員35人以下を除く)卸売業30億円以上、小売・サービス業20億円以上、その他15億円以上
中会社70人未満卸売業7,000万円以上、小売・サービス業4,000万円以上、その他5,000万円以上(いずれも従業員5人以下を除く)卸売業2億円以上30億円未満、小売・サービス業6,000万円以上20億円未満、その他8,000万円以上15億円未満
小会社70人未満中会社の基準のいずれにも該当しない中会社の基準のいずれにも該当しない

大会社と中会社の基準は「右のいずれかに該当」で判定します。ただし、大会社の「総資産価額・従業員数」の基準には従業員35人以下を除くという条件があり、中会社の基準には従業員5人以下を除くという条件があります。表の読み方に迷うときは、通達の原文の表で確かめてください。

実際の区分は直前期末の数字で決まり、会社ごとに違います。

総資産・従業員数・取引金額の数え方

通達178は、区分に使う数字の数え方も定めています。

  • 総資産価額:直前期末における評価会社の各資産の帳簿価額の合計額(相続税評価額ではなく、帳簿価額)。
  • 従業員数:直前期末以前1年間に継続して勤務していた従業員(1週間当たりの労働時間が30時間未満の人を除く)の数に、それ以外の従業員の1年間の労働時間の合計を年間平均労働時間数1,800時間で割った数を足したもの。社長、理事長、使用人兼務役員とされない役員は含めません。
  • 取引金額:直前期末以前1年間の、会社の目的とする事業に係る収入金額。
  • 業種の判定:取引金額に基づき、2つ以上の業種が含まれるときは最も多い取引金額の業種で判定します。

パートやアルバイトは、労働時間の合計から人数に換算する扱いです。役員は、使用人兼務役員とされない役員にあたれば数に入りません。

規模区分ごとの評価方式

通達179は、区分ごとの評価の原則を次のように定めています。

  • 大会社:類似業種比準価額で評価します。納税義務者の選択により、1株当たりの純資産価額(相続税評価額で計算した金額)で評価することもできます。
  • 中会社:「類似業種比準価額×L+1株当たりの純資産価額×(1-L)」の算式で評価します。選択により、算式中の類似業種比準価額を純資産価額に置き換えることもできます。
  • 小会社:同じ項の(3)に別の定めがあります。

算式の「L」は、総資産価額・従業員数に応ずる割合と、取引金額に応ずる割合のうち、いずれか大きい方です。総資産価額・従業員数側の割合は、0.90、0.75、0.60のいずれかです。

たとえば「卸売業、小売・サービス業以外」の区分で総資産価額が5億円以上(従業員35人以下を除く)なら0.90、2億5,000万円以上(従業員20人以下を除く)なら0.75、5,000万円以上(従業員5人以下を除く)なら0.60です。複数の区分にあたるときは、上位の区分とします。

類似業種比準価額は、同じ業種の上場会社の株価・配当・利益・純資産の数字を使って計算する方式、純資産価額は、会社の資産を相続税評価額で評価し直して負債を引く方式です。それぞれの計算の詳細は通達180から185に定められており、この記事では扱いません。

同族株主以外が取得した株式と配当還元方式

通達178のただし書は、同族株主以外の株主等が取得した株式は、別に通達188の定めによって評価するとしています。通達188は、同族株主のいる会社の株式のうち、同族株主以外の株主が取得した株式などをその対象にしています。

ここでいう同族株主は、課税時期における株主のうち、株主の1人とその同族関係者の議決権の合計が会社の議決権総数の30%以上である場合の、その株主と同族関係者です。最も多い株主グループの議決権が50%を超える会社では、50%超になります。

通達188-2は、この株式を、年配当金額を基にした算式で評価すると定めています。年配当金額が2円50銭未満の場合や無配の場合は、2円50銭とします。ただし、通常の方法(通達179)で計算した金額を超えるときは、通達179の金額で評価します。

通達188は(1)のほかにも対象を定めています。自分の持ち株がどれにあたるかは、通達188の原文と税務署・税理士への確認が必要です。

どの場面で使うか

取引相場のない株式の評価が必要になるのは、おもに次のような場面です(相続税・贈与税の評価)。

  • 相続:亡くなった人が持っていた自社株を相続税の財産として評価するとき。
  • 贈与:社長が後継者に自社株を贈るとき。

この評価の方法は、相続税・贈与税のための評価の定めです。具体的な事案は、税理士に確認してください。

まとめ

  • 非上場株式は、財産評価基本通達178・179で、会社の規模区分に応じた方法で評価する。
  • 規模区分は、直前期末の総資産価額(帳簿価額)と従業員数、または直前期末以前1年間の取引金額で決まる。
  • 大会社は類似業種比準価額、中会社は類似業種比準価額と純資産価額を割合Lで併用する。
  • 通達188が定める「同族株主以外の株主等が取得した株式」は、188-2の配当還元方式で評価する(該当するかは188の(1)から(4)などの原文で確認する)。
  • この記事は入口の整理であり、評価額の算出や個別の判断は税理士・税務署に確認する。

よくある質問

取引相場のない株式は何を基準に評価しますか?
国税庁の財産評価基本通達178・179が定める方法です。会社が大会社・中会社・小会社のどれにあたるかで評価方式が決まります(出典:財産評価基本通達178、179)。
大会社の株式は純資産価額で評価できますか?
大会社は類似業種比準価額で評価するのが原則ですが、納税義務者の選択により、1株当たりの純資産価額で評価することもできます(出典:財産評価基本通達179(1))。
従業員数にパートやアルバイトは入りますか?
1週間当たりの労働時間が30時間未満のパートなどは、継続勤務従業員から除き、1年間の労働時間の合計を1,800時間で割った人数として加えます。社長などの一定の役員は含めません(出典:財産評価基本通達178)。
同族株主とはどのような株主ですか?
株主の1人とその同族関係者の議決権の合計が、会社の議決権総数の30%以上である場合のその株主と同族関係者です。最も多い株主グループが50%を超える会社では、50%超が基準になります(出典:財産評価基本通達188(1))。
配当還元方式の年配当金額に下限はありますか?
年配当金額が2円50銭未満の場合と無配の場合は、2円50銭とします(出典:財産評価基本通達188-2)。

公式一次情報

本記事について。税理士監修前の概説です。制度・期限は改正される場合があります。個別の判断は税理士・税務署へご確認ください。

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