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労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の記載事項と保存期間(条文は5年・当面3年)|従業員を雇う法人の備え付け

従業員を雇う会社が備える労働者名簿・賃金台帳・出勤簿について、記載事項、保存期間とその数え始めの日、パソコンでの保存の要件、違反したときの罰則を、労働基準法と厚生労働省の資料で整理します。

労働基準法・同施行規則・厚生労働省の資料で確認
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

労働者名簿・賃金台帳・出勤簿は、従業員を1人でも雇う会社が備える書類です。「法定三帳簿」と呼ばれることがありますが、今回確認した労働基準法と同法施行規則にこの呼び名は出てきません。条文に名前があるのは名簿と台帳で、出勤簿は「その他労働関係に関する重要な書類」として扱われます。

保存期間は、条文の本則は5年、当面の間は3年です。数え始めの日は書類ごとに違い、名簿は退職の日、賃金台帳は最後に書き込んだ日です。表にまとめました。

3つの書類の位置づけと一覧表

労働基準法第107条が労働者名簿、第108条が賃金台帳、第109条がそれらを含む記録の保存を定めています。名簿と台帳は、どちらも事業場ごとに作ります。

書類根拠作る単位・タイミング保存期間の数え始め
労働者名簿労働基準法第107条、施行規則第53条事業場ごと・労働者ごと(日雇いの人を除く)労働者の死亡・退職・解雇の日
賃金台帳労働基準法第108条、施行規則第54条事業場ごと・賃金を支払うたびに遅滞なく記入最後の記入をした日
出勤簿・タイムカード等労働基準法第109条の「その他労働関係に関する重要な書類」(厚生労働省のガイドライン)始業・終業時刻などを記録書類ごとに最後の記載がされた日

雇い入れのときに交付する労働条件通知書の項目は労働条件通知書の明示事項一覧で整理しています。名簿と台帳の様式は、施行規則に様式第19号(労働者名簿)、第20号(常用の賃金台帳)、第21号(日雇いの賃金台帳)として定められています。厚生労働省のサイトに記入用の様式が載っています。

労働者名簿の記載事項

法第107条は、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入するよう定めています。省令の第53条が、次の事項を加えています。

  • 性別、住所
  • 従事する業務の種類
  • 雇入の年月日
  • 退職の年月日とその事由(解雇のときは、その理由を含む)
  • 死亡の年月日とその原因

常時30人未満の労働者を使う事業では、「従事する業務の種類」は記入しなくてよいとされています(施行規則第53条第2項)。記入した事項に変更があったときは、遅滞なく訂正します(法第107条第2項)。

賃金台帳の記載事項

賃金台帳には、施行規則第54条が定める次の事項を、労働者ごとに記入します。

  • 氏名、性別
  • 賃金計算期間、労働日数、労働時間数
  • 時間外労働・休日労働・深夜労働(午後10時から午前5時)をさせた場合の、その延長時間数・休日労働時間数・深夜労働時間数
  • 基本給、手当その他賃金の種類ごとの額
  • 賃金の一部を控除した場合の、その額

例外もあります。日々雇い入れる人(1か月を超えて引き続き使う人を除く)は、賃金計算期間の記入が要りません。管理監督者など労働基準法第41条に当たる人は、労働時間数と時間外などの時間数の記入が要りません(施行規則第54条第4項・第5項)。

賃金の一部を現物(通貨以外のもの)で払うときは、その評価総額を記入します。年次有給休暇管理簿、労働者名簿、賃金台帳は、あわせて1つの書類として作ってもよいとされています(施行規則第55条の2)。

出勤簿(労働時間の記録)の扱い

出勤簿という書類名は、確認した条文には出てきません。厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」は、出勤簿やタイムカード等の労働時間の記録に関する書類も、労働基準法第109条の「その他労働関係に関する重要な書類」に当たり、保存が必要だと案内しています。

具体的には、使用者が自ら始業・終業時刻を記録したもの、タイムカード等の記録、残業命令書とその報告書、労働者が自ら労働時間を記録した報告書などが該当します(同ガイドラインの解説リーフレット)。賃金台帳に労働日数・労働時間数などを記入していない場合や、虚偽の時間数を記入した場合は、労働基準法第120条により30万円以下の罰金に処されるとも明記されています。

保存期間と数え始めの日

労働基準法第109条は、労働者名簿、賃金台帳、雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存するよう定めています。ただし第143条が、当分の間、この「5年間」を「3年間」と読み替えると定めています。

厚生労働省のFAQやガイドラインの案内も3年としています。条文の本則は5年なので、将来この読み替えが終わると5年になります。

書類数え始めの日(施行規則第56条)
労働者名簿労働者の死亡、退職または解雇の日
賃金台帳最後の記入をした日
雇入れ・退職に関する書類労働者の退職または死亡の日
災害補償に関する書類災害補償を終わった日
賃金その他労働関係に関する重要な書類その完結の日

賃金台帳などで、記録に係る賃金の支払期日が上の日より遅いときは、その支払期日から数えます(施行規則第56条第2項)。出勤簿やタイムカードは、ガイドラインの解説で、書類ごとに最後の記載がされた日から数えると案内されています。

たとえば、2026年3月31日に退職した従業員の労働者名簿は、3年保存なら2029年3月31日ごろまでが目安になります(日付の数え方は所轄の労働基準監督署で確認してください)。退職後も、すぐには捨てられません。

パソコンで作って保存するときの要件

厚生労働省のFAQ「労務関係の書類をパソコンで作成して保存したいのですが、可能でしょうか。」は、次の要件を満たす必要があると回答しています。

  • 法令で定められた要件を満たし、画面に表示して印字できること
  • 労働基準監督官の臨検のときなど、直ちに必要事項を明らかにして提出できる仕組みであること
  • 誤って消去されないこと
  • 長期にわたって保存できること

給与計算ソフトやクラウドの勤怠管理を使う場合は、画面表示と印字ができること、書類を見せるよう求められたときにすぐ出せることを、導入前に確認してください。

違反したときの罰則

労働基準法第120条第1号は、第106条から第109条までの規定に違反した人を、30万円以下の罰金に処すると定めています。名簿・台帳を作っていない場合のほか、保存していない場合も、この条文の対象になります。

法人成りで使用者が変わるとき

個人事業主が会社を作って従業員を引き継ぐと、使用者が個人から法人に変わります。法人として名簿・台帳を備える必要がありますが、個人事業時代の名簿の記載を法人の名簿へどう引き継ぐか(生年月日や履歴の書き直しが要るか)について、厚生労働省や労働局が明文で案内するページは、今回の調査では確認できませんでした。

個人事業時代に作った名簿・台帳は、保存期間が終わるまで捨てずに保管してください。保存期間の数え方と引き継ぎの実務は、法人成りの労働保険の引継ぎと所轄の労働基準監督署で確認するのが安全です。就業規則と36協定については、「法人成りで36協定・就業規則はどうなるか」で整理しています。

就業規則に何を書くかは法人成りの就業規則の記載事項を参照してください。

まとめ

  • 労働者名簿と賃金台帳は、労働基準法第107条・第108条で事業場ごとに備える。出勤簿は「その他労働関係に関する重要な書類」として保存する。
  • 保存期間は、条文の本則は5年、当面の間は3年(第109条・第143条)。
  • 数え始めは、名簿が退職・死亡・解雇の日、賃金台帳が最後の記入日。出勤簿等は最後の記載日。
  • 常時30人未満なら、名簿の「従事する業務の種類」は省略できる。
  • パソコン保存は、表示と印字、すぐ出せること、消えないこと、長期保存の4点が要る。
  • 違反は30万円以下の罰金(第120条第1号)。

公式一次情報

よくある質問

労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の保存期間は何年ですか?
労働基準法第109条の本則は5年ですが、第143条により当分の間は3年です。厚生労働省のFAQやガイドラインも3年と案内しています。
保存期間はいつから数えますか?
労働者名簿は労働者の死亡・退職・解雇の日、賃金台帳は最後の記入をした日から数えます(労働基準法施行規則第56条)。出勤簿やタイムカード等は、書類ごとに最後の記載がされた日です。
従業員が1人でも労働者名簿は必要ですか?
必要です。法第107条は事業場ごとに、日雇いの人を除く各労働者について名簿を作るよう定めており、確認した条文に人数による免除は書かれていません。常時30人未満の事業で省略できると書かれているのは、「従事する業務の種類」の欄だけです。
賃金台帳は給与明細で代わりになりますか?
賃金台帳には、施行規則第54条が定める労働日数・労働時間数、時間外などの時間数、賃金の種類ごとの額、控除額を労働者ごとに記入します。給与明細にこれらがそろっているかを確認し、足りなければ給与計算ソフトの台帳出力などで補ってください。
パソコンで作った名簿・台帳を紙に印刷しなくてもよいですか?
厚生労働省のFAQは、画面表示と印字ができること、すぐ提出できること、誤って消えないこと、長期保存できることを条件に、パソコンでの作成・保存を認めています。
本記事について。税理士監修前の概説です。労働基準法・同施行規則・厚生労働省の資料で確認した内容を整理しています。個別の事案は、社会保険労務士や所轄の労働基準監督署にご確認ください。