法人のソフトウェアの耐用年数5年・3年と少額特例(40万円未満)
法人が買ったソフトウェアや自社で作ったソフトウェアを、いつ・いくらで・何年かけて経費にするかを整理します。耐用年数の区分、取得価額に入れる費用、10万円未満と中小企業者等の少額特例(令和8年4月1日以後は40万円未満)を国税庁の資料で確認します。
法人税パッケージソフトを買った、業務システムを作ってもらった、といった支出は、金額によってその年の経費にできる場合と、資産に計上して年数をかけて経費にする場合があります。法人税ではソフトウェアも減価償却資産で、耐用年数が使い道で決まります。
自社で使うソフトウェアの法定耐用年数は5年で、複写して販売するための原本と研究開発用は3年です。ただし金額が小さければ、一括で経費にできる特例があります。
耐用年数は使い道で5年か3年
国税庁のタックスアンサー No.5461は、ソフトウェアの耐用年数を次のように示しています。根拠は耐用年数省令の別表第三と別表第六です。
| 使い道 | 耐用年数 |
|---|---|
| 複写して販売するための原本、研究開発用 | 3年 |
| その他(自社で業務に使うものなど) | 5年 |
会社の経理や顧客管理に使うために買ったソフトウェアは、その他にあたり5年です。
この記事の内容を申告書に落とすときの本PR
記事で確かめた内容を、申告書の記入や帳簿の付け方まで一冊で追いたいとき向けです。
取得価額に入れる費用
購入したソフトウェアの取得価額は、購入の代価に、購入に要した費用と、事業の用に供するために直接要した費用を加えた額です(No.5461)。導入時の設定作業や、自社の仕様に合わせるための付随的な修正の費用も、取得価額に入れます(法人税基本通達7-3-15の2の注1)。
自社で作る場合は、材料費・労務費・経費と、事業の用に供するために直接要した費用の合計です。次の3つは、取得価額に入れないことができます(同7-3-15の3)。
- 作り直しなどで不要になったことが明らかな費用
- 研究開発費(自社利用のソフトウェアでは、将来の収益獲得や費用削減にならないことが明らかな場合に限る)
- 少額の間接費や付随費用(製作原価のおおむね3%以内)
金額が小さいときの特例
減価償却資産のうち、取得価額が10万円未満のものは、事業の用に供した事業年度に損金経理すれば全額を損金に入れられます(法人税法施行令133条)。貸付用は除きます。
中小企業者等は、さらに少額減価償却資産の特例があります(租税特別措置法67条の5、タックスアンサー No.5408)。ソフトウェアなどの無形の資産も対象です。
| 取得した日 | 1件の取得価額 | 年間の合計 |
|---|---|---|
| 令和8年3月31日まで | 30万円未満 | 300万円まで |
| 令和8年4月1日以後 | 40万円未満 | 300万円まで |
No.5408によると、この特例の適用期間は令和11年3月31日までです。従業員数の上限は令和8年4月1日以後は400人以下(改正前は500人以下)で、特定法人(資本金1億円超の法人など)は300人以下です。青色申告法人が対象で、確定申告書に別表十六(七)を添付します。
この特例は、特別償却や税額控除、圧縮記帳と重ねて使えません。一括償却資産とも併用できません。
金額の基準は取得した日で変わります。例えば、令和8年5月に38万円のソフトウェアを取得した中小企業者等は、40万円未満の基準に収まります。
少額の資産の判定や仕訳は、少額減価償却資産の特例と法人の少額減価償却資産と一括償却で整理しています。
保守・バージョンアップの費用
購入後に払う費用は、法人税基本通達7-8-6の2で分けて考えます。機能の障害を取り除く、現状の効用を維持するための費用は修繕費です。新しい機能の追加や機能の向上にあたる場合は資本的支出になり、資産に加えます。
保守契約の料金は、契約の中身が障害対応や現状維持なのか、機能の追加なのかで見分けます。
クラウドの月額利用料は
インターネット経由で使うサービスの月額・年額の利用料は、ソフトウェアを買い取る契約か、サービスを利用する契約かで扱いが分かれます。ソフトウェアを所有せず、使った期間の利用料を払う契約なら、ここまでの取得価額や耐用年数の話は当てはまらず、利用した期間の費用として考えるのが基本です。
年額をまとめて前払いする場合は、短期前払費用の通達(法人税基本通達2-2-14)が関わる場合があります。詳しくは短期前払費用の特例を参照してください。判断に迷う契約は、顧問の税理士に確認してください。
まとめ
- 自社利用のソフトウェアは耐用年数5年。複写して販売する原本と研究開発用は3年。
- 取得価額には、購入代価のほか、設定作業など事業の用に供するために直接要した費用が入る。
- 10万円未満は全額を損金にできる。中小企業者等は、年間300万円まで、1件30万円未満(令和8年4月1日以後は40万円未満)の特例がある。
- 機能追加や機能向上の費用は資本的支出、障害の除去や現状維持は修繕費。
公式一次情報
- 国税庁 タックスアンサー No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数(耐用年数5年・3年と取得価額。2026-10-13確認)
- 法人税基本通達 7-3-15の2・7-3-15の3(ソフトウエアの取得価額。2026-10-13確認)
- 法人税基本通達 7-8-6の2(ソフトウエアに係る修繕費と資本的支出の区分。2026-10-13確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(40万円未満・300万円・適用期間。2026-10-13確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示(10万円未満の判定。2026-10-13確認)
よくある質問
- 会社で使う会計ソフトの耐用年数は何年ですか?
- 自社で業務に使うソフトウェアは、複写して販売するための原本や研究開発用にあたらないため、5年です。
- ソフトウェアの購入費は、買った年に全額経費にできますか?
- 取得価額が10万円未満なら、損金経理で全額を損金にできます。中小企業者等は青色申告などの要件を満たせば、30万円未満(令和8年4月1日以後の取得は40万円未満)まで年間300万円を限度に同様に扱えます。
- 設定作業の費用も取得価額に入れますか?
- 導入時の設定作業や自社仕様に合わせる付随的な修正の費用は、取得価額に入れます。
- バージョンアップの費用は資産にしますか?
- 新しい機能の追加や機能の向上にあたるときは資本的支出です。障害の除去や現状の効用を維持するための費用は修繕費です。
- クラウドサービスの月額料金は減価償却しますか?
- ソフトウェアを買い取る契約なら減価償却の対象です。サービスの利用料を払う契約なら、利用した期間の費用として考えるのが基本です。契約の中身で変わるため、判断に迷うときは税理士に確認してください。
あわせて読む
補助金で買った資産の圧縮記帳:国庫補助金で買った設備の圧縮記帳|法人税法42条の要件と経理方法

