事業所税とは|免税点(1,000㎡・100人)と申告が必要な場合
事業所税がかかる都市と、免税点・税率・申告期限、法人成りで注意するみなし共同事業を整理します。
地方税の制度事業所税は、事業所の広さと従業員の給与に応じてかかる市町村税です。法人税や法人事業税とは別の税で、法人成りの手続き一覧にはあまり出てきません。
ただし、かかるのは人口30万人以上の都市などに事業所がある場合で、しかも一定の規模を超えたときだけです。この記事では、課税される都市、免税点、税率、申告期限と、法人成りで見落としやすいみなし共同事業を説明します。
事業所税のしくみ(早見表)
| 項目 | 資産割 | 従業者割 |
|---|---|---|
| 課税標準 | 事業所床面積 | 従業者給与総額 |
| 税率 | 1㎡あたり600円 | 給与総額の0.25% |
| 免税点 | 床面積の合計が1,000㎡以下 | 従業者数の合計が100人以下 |
申告納付は、法人が事業年度終了から2か月以内、個人が翌年3月15日までです(総務省「事業所税」)。目的税で、道路、都市高速鉄道、駐車場などの交通施設、上下水道といった都市環境の整備に充てられます。
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課税されるかの判定(免税点)
課税されるかどうかは、資産割と従業者割を別々に判定します。判定の基準日は、法人は事業年度の末日、個人は原則12月31日です。東京都の手引では、次の順で確認します(東京23区の場合)。
- 算定期間の末日に、課税団体の区域内に事業所があるか。ない場合は課税されません。
- 資産割:非課税の床面積を除いた区域内の合計床面積が、1,000㎡を超えるか。
- 従業者割:非課税の従業者を除いた区域内の合計従業者数が、100人を超えるか。
- 超えた方だけが課税され、超えなければ課税されません。
東京都の手引の設例では、床面積1,500㎡(非課税部分300㎡を含む)、従業者70人の会社は、資産割が1,500㎡−300㎡=1,200㎡で免税点を超え、従業者割は70人で免税点以下です。この場合、資産割のみが課税になります。
床面積は、事務所・店舗・工場・倉庫など事業所用家屋の延べ面積(共用部分の按分を含む)です。賃貸の事務所でも、借りて事業を行う側が納税義務者になり、貸主は貸付部分について納税義務者になりません。
事業年度の途中で事業所を新設・廃止した場合も、免税点の判定は末日の状況で行い、月割にはしません。資産割の課税標準だけは、月割計算をします。
従業者の数え方:パートや役員の扱い
免税点の判定で数える従業者と、従業者割の課税標準になる給与総額では、含める範囲が異なります。東京都の手引の取扱いは次のとおりです。
| 区分 | 免税点の判定(人数) | 給与総額 |
|---|---|---|
| パートタイマー(所定労働時間が同種の正規従業者の4分の3未満) | 含めない | 含める |
| 日々雇用などの臨時の従業員 | 含める | 含める |
| 役員(非常勤を含む) | 含める | 含める |
| 無給の役員 | 含めない | ― |
| 派遣労働者 | 派遣元の従業者に含める | 派遣元の給与総額に含める |
| 一度も課税区域内の事業所に出勤しない在宅勤務者 | 含めない | 含めない |
正規従業者の所定労働時間が1日8時間なら、6時間未満で雇われている人がパートタイマーです。呼び名ではなく勤務の実態で判定します。
このほか、高齢者と障害者(いずれも役員を除く)は、従業者割の免税点の人数からも給与総額からも除かれます。給与総額には、役員を含む従業者への給料、賃金、賞与が入ります。
免税点以下でも申告が必要な場合
免税点以下で課税されなくても、次のいずれかに当てはまるときは、免税点以下申告書の提出が必要です(東京都23区の場合)。
- 前の事業年度(個人は前年)に、事業所税の納税義務があった。
- 末日現在の合計床面積が800㎡を超える。免税点1,000㎡以下でも、800㎡を超えれば申告します。
- 末日現在の合計従業者数が80人を超える。
この申告の基準は条例で定められているため、東京23区以外の都市では、数字や取扱いが異なる場合があります。事業所のある市区町村の手引で確認してください。
法人成りで注意:みなし共同事業
親族などの特殊の関係のある個人や同族会社を持つ事業者が、その特殊関係者と同じ家屋(原則として同じ棟)で事業を行っているときは、特殊関係者の事業が共同事業とみなされます。免税点は、特殊関係者の事業を合算して判定します。
東京都の手引の例では、A法人が700㎡、同じ家屋のB法人(A法人の特殊関係者)が500㎡を使っています。A法人の免税点の判定は700㎡+500㎡=1,200㎡で、1,000㎡を超えます。課税標準はそれぞれ自分の分だけで、A法人は700㎡×600円=420,000円です。
これは、事業を分けて別法人で行っても、税負担に不均衡が生じないようにするための規定です。同族会社は、たとえば株主3人以下とその親族などで発行済株式の50%を超えて持つ会社です(法人税法の定義。議決権の数などで判定する場合もあります)。
- 法人を複数つくって同じビルに入れる場合は、合算で免税点を超えないか確認する。
- この制度が適用されると、特殊関係者の間で連帯して納税義務を負う。
- 意思の疎通がなく、かつ税負担を不当に減らさない場合は例外とされる。ただし、同族会社などが同じ家屋で事業を行う場合は、原則として意思を通じて行われていると考えられる。
1人で法人を1社だけつくる場合は、通常はこの制度を気にする場面はありません。複数法人や、親族の会社と同じ建物で事業をする場合に確認が必要です。
申告期限と課税団体
法人の申告納付期限は、事業年度終了後2か月以内です。法人税の確定申告で認められる期限の延長のような制度は、事業所税にはありません(東京都「事業所税の手引」)。
課税されるのは、次の都市などの区域内にある事業所です(総務省)。
- 東京都(特別区の存する区域)
- 地方自治法第252条の19第1項の市(政令指定都市)
- 既成市街地・既成都市区域を有する市
- 上記以外の人口30万人以上の市で、政令で指定するもの
東京23区では、市町村税の事業所税が都税として課税されます。自分の事業所がある市区町村が課税団体かどうかは、その自治体のホームページで確認できます。
まとめ
- 事業所税は人口30万人以上の都市などの事業所にかかる市町村税で、資産割(1㎡600円)と従業者割(給与総額の0.25%)がある。
- 免税点は床面積の合計1,000㎡以下、従業者数の合計100人以下。資産割と従業者割は別々に判定する。
- パートタイマー(正規従業者の所定労働時間の4分の3未満)は人数に数えないが、給与総額には含める。
- 東京23区では、免税点以下でも800㎡超・80人超などの場合は申告が必要。
- 同じ家屋で同族会社などが事業を行う場合は、合算して免税点を判定する(みなし共同事業)。
- 法人の申告納付は事業年度終了後2か月以内で、延長制度はない。
次に知りたいこと
- 法人成り後に出す地方税の届出は、法人成りの都道府県・市区町村への届出。
- 法人にかかる他の地方税は、法人事業税の所得割と法人住民税の均等割。
- 自宅を本店にする場合の固定資産税は、自宅を本店にしたときの固定資産税。
公式情報
- 総務省「事業所税」(課税団体、税率、免税点、申告期限)
- 東京都主税局「事業所税の手引」(免税点の判定、従業者の範囲、免税点以下申告、みなし共同事業。令和8年3月現在の法令等に基づく東京23区の取扱い)
よくある質問
- 事業所税はどこでもかかりますか?
- いいえ。人口30万人以上の都市などが課税団体で、その区域内に事業所がある場合にかかります。東京都は特別区の区域が対象です(出典:総務省)。
- 小さな事務所でも事業所税を払いますか?
- 事業所の床面積の合計が1,000㎡以下で、従業者数の合計も100人以下なら課税されません。ただし東京23区では、床面積が800㎡を超える場合などに免税点以下申告が必要です(出典:総務省、東京都主税局)。
- パートの人数も従業者に数えますか?
- 免税点の判定では、所定労働時間が同じ職種の正規従業者の4分の3未満のパートタイマーは数えません。ただし、その給与は従業者割の給与総額に含めます(出典:東京都主税局)。
- 事業所税の申告期限は延ばせますか?
- 延長制度はありません。法人は事業年度終了後2か月以内、個人は翌年3月15日までです(出典:総務省、東京都主税局)。
- 別の法人を同じビルでつくると、免税点は別々に判定されますか?
- 同族会社などの特殊関係者が同じ家屋で事業を行うときは、みなし共同事業として合算して免税点を判定します。該当するかどうかは、事業所のある自治体の事業所税担当にご確認ください(出典:東京都主税局)。

