事前確定届出給与の変更届出|期限と減額の条件
届け出た役員賞与の金額や支給日を後から変えたいとき、どの事由なら変更届出書で認められるか、期限はいつか、増額はできるかが問題になります。
国税庁の制度事前確定届出給与は、届け出た金額・時期と実際の支給が異なると、原則としてその支給額の全額が経費(損金)になりません。届出後に変更したいときは、「臨時改定事由」か「業績悪化改定事由」に当たる場合に限り、変更届出書を期限内に出す方法があります。ただし業績悪化を理由にできるのは減額だけで、増額はできません。
変更せず届出と違う額を払うとどうなるか
国税庁の通達は、届け出た支給額と実際の支給額が異なる場合は事前確定届出給与に当たらず、原則としてその支給額の全額が損金不算入になると示しています(法人税基本通達9-2-14)。届出額を超えた分だけでなく、支給額の全体が対象です。
業績が悪くなって賞与を減らしたい、役員の役割が変わって額を見直したい、といった場面では、払う前に変更届出書を出しておく必要があります。基本の届出は事前確定届出給与とはで整理しています。
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期限の特例が使える2つの事由
すでに届出をしている法人が定めの内容を変える場合で、届出期限の特例が使えるのは、次の2つの事由に基づくときです(法人税法施行令69条5項)。
| 事由 | 中身 | 変更の方向 |
|---|---|---|
| 臨時改定事由 | 役員の職制上の地位の変更、職務内容の重大な変更、その他これらに類するやむを得ない事情 | 増額も減額も可 |
| 業績悪化改定事由 | 経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由 | 減額(株式・新株予約権は数の減少)に限る |
業績悪化改定事由には、一時的な資金繰りの都合や、単に業績目標値に達しなかったことは含まれません(国税庁 No.5211の注)。賞与を減らしたい理由が「今月は現金が足りない」だけでは、この事由に当てはまりにくいと考えられます。
臨時改定事由の考え方は、毎月の役員報酬を途中で変える場合と共通です。詳しくは役員報酬を期中に変更できる場合の記事を見てください。
変更届出書の期限
届出期限は、事由によって起点が変わります。どちらも「1か月を経過する日」ですが、業績悪化改定事由には支給日が近いときの短縮ルールがあります。
| 事由 | 変更届出書の期限 |
|---|---|
| 臨時改定事由 | 臨時改定事由が生じた日から1か月を経過する日 |
| 業績悪化改定事由 | 変更を決めた株主総会等の決議の日から1か月を経過する日。ただし、変更前の定めに基づく支給日(決議の日後に最初に来るもの)がその日より前なら、その支給日の前日 |
期限の考え方の例
たとえば12月20日に支給する定めを届け出ていて、12月1日の株主総会等で業績悪化を理由に減額すると決めたとします。決議から1か月を経過する日は翌月に入りますが、変更前の定めの支給日(12月20日)のほうが先に来ます。
この場合の期限は、支給日の前日の12月19日です。決議から1か月の余裕があると思って支給日後に出すと、期限を過ぎてしまいます。実際の日付の数え方は、税務署または税理士に確認してください。
期限に遅れたとき
届出期限までに届出がなかった場合でも、届出がなかったことについてやむを得ない事情があると税務署長が認めるときは、期限内に届出があったものとして扱われます(法人税法施行令69条7項)。
ただし、これは税務署長の判断に委ねられる救済で、遅れても認められると見込むものではありません。変更の予定があるなら、期限から逆算して早めに動くのが安全です。
まとめ
- 届出と異なる額を払うと、原則その支給額の全額が損金不算入になる。
- 変更届出書が使えるのは、臨時改定事由か業績悪化改定事由に基づく変更。
- 業績悪化改定事由は減額に限る。資金繰りの都合や目標未達だけでは含まれない。
- 期限は、臨時改定事由なら事由発生から1か月、業績悪化なら決議から1か月(支給日が先なら支給日の前日)。
役員賞与は社会保険料の対象にもなります。標準賞与額の考え方は役員賞与にも社会保険料がかかる、役員報酬全体の決め方は役員報酬の決め方で解説しています。
公式情報
- 国税庁「No.5211 役員に対する給与」(定めを変更する場合の届出期限、業績悪化改定事由の注、変更届出書)
- 国税庁 法人税基本通達9-2-14「事前確定届出給与の意義」(届出額と実際の支給額が異なる場合は原則全額が損金不算入)
- e-Gov法令検索「法人税法施行令」第69条(第5項:定めの変更の届出期限、第7項:やむを得ない事情がある場合)
よくある質問
- 届け出た賞与の額を後から増やせますか?
- 役員の職制上の地位の変更など臨時改定事由に基づくなら、変更届出書で増額も減額もできます。業績悪化改定事由に基づく変更は、減額に限られます(出典:国税庁)。
- 資金繰りが厳しいので賞与を減らしたい場合、業績悪化改定事由になりますか?
- 法人の一時的な資金繰りの都合や、単に業績目標値に達しなかったことは含まれないとされています。経営の状況が著しく悪化したといえるかは、税務署または税理士に確認してください(出典:国税庁)。
- 変更届出書の期限はいつですか?
- 臨時改定事由なら、事由が生じた日から1か月を経過する日です。業績悪化改定事由なら、変更を決議した日から1か月を経過する日で、変更前の支給日が先に来るときはその前日です(出典:国税庁)。
- 届出期限に遅れたらもう認められませんか?
- やむを得ない事情があると税務署長が認めるときは、期限内に届出があったものとして扱われます。ただし認められるかは個別の判断です(出典:法人税法施行令69条7項)。

