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介護・障害福祉の指定は個人事業主で受けられるか

訪問介護・通所介護・福祉用具貸与・訪問看護・居宅介護支援・障害福祉サービスについて、指定を受ける申請者が法人でなければならないかを、自治体の条例と手引きの原文で整理します。個人でも申請できる例外と、法人化してから指定申請までの順番も説明します。

法人格の要件
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

介護や障害福祉の事業を個人事業主として始め、介護保険や障害福祉サービスの報酬を受けたいとき、最初に確認するのが「指定」を受ける申請者の資格です。事業所ごとに自治体から指定を受けないと、報酬を請求できません。

結論から言うと、介護保険の各事業は、法人格を有していることが指定の条件です。障害福祉サービスも、申請者が法人であることを審査されます。例外は、病院や診療所などが行う一部のサービスに限られます。

サービス種別ごとの早見表

下の表は、このページで原文を確認できた範囲です。自治体によって条例の書き方が異なるため、実際の申請先の条例・手引きで最終確認してください。

サービス申請者の要件確認した原文
訪問介護・通所介護・福祉用具貸与などの居宅サービス法人横浜市条例第4条、東京都ガイドブック
訪問看護ステーション法人(病院・診療所が行う訪問看護は例外)横浜市条例第4条、東京都ガイドブック
居宅療養管理指導(病院等が行う場合)法人でなくてよい横浜市条例第4条ただし書
病院・診療所が行う訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション・短期入所療養介護法人でなくてよい横浜市条例第4条ただし書
居宅介護支援(ケアマネジャーの事業所)法人福岡市条例第3条
障害福祉サービス(居宅介護などの訪問系)法人であることを審査愛知県の指定申請の手引き

介護保険の居宅サービスは法人が条件

東京都福祉局の「介護保険 事業者指定のガイドブック(居宅サービス・介護予防サービス)」は、申請時の注意点として、介護保険の各事業を申請するには、法人格を有する必要があると書いています。みなし事業(訪問リハビリテーション等)は異なる、という注記も付いています。

横浜市の条例(指定居宅サービスの事業の人員、設備、運営等の基準に関する条例)の第4条は、介護保険法第70条第2項第1号の条例で定める者を「法人とする」と定めています。営利法人か非営利法人かは条文では区別されていません。

つまり、個人事業主の名前のままでは、訪問介護や通所介護、福祉用具貸与といった居宅サービスの指定は申請できません。法人(株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人など)を先につくる必要があります。

法人でなくてよい例外

横浜市条例の第4条には、法人とするという原則のあとに、次のただし書があります。

  • 病院等により行われる居宅療養管理指導
  • 病院または診療所により行われる訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、短期入所療養介護

この場合の指定申請は、法人であることを求められません。ただし、暴力団等との関係がないことは、別に求められます。

東京都のガイドブックも、医療保険の指定を受けた病院・診療所・薬局は、訪問看護や訪問リハビリテーションなど一部のサービスについて、指定を受けたとみなされ、指定申請の手続きは不要としています(みなし指定)。

これらは病院や診療所が行うサービスの話です。東京都のガイドブックは、訪問看護ステーションを、法人格が必要な介護保険の事業と同じ申請窓口で受け付ける医療系サービスとして挙げています。

居宅介護支援も法人が申請者

ケアプランをつくる居宅介護支援事業所は、介護保険法第79条第2項第1号の条例で申請者の要件が決まります。福岡市の条例(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営の基準等を定める条例)の第3条は、この条例で定める者を法人とし、暴力団員を役員とする法人などを除くと定めています。

居宅サービスと同じく、個人事業主のままでは申請者になれません。ケアマネジャーとして独立する場合も、法人をつくってから指定申請をする流れになります。

障害福祉サービスの申請者要件

愛知県の「指定障害福祉サービス事業 指定申請の手引き 訪問系事業所編」(令和7年12月版)は、指定にあたって審査する項目として、①申請者が法人であること、②従業者の人員、設備及び運営の基準を満たすこと、③役員等が欠格事由に該当しないことを挙げています。

指定は事業所ごとに行い、有効期間は原則6年間で、更新が必要です。

個人事業主が法人化してから申請する順番

東京都のガイドブックによると、指定申請の際は、次の点に注意が必要です。

  1. 定款の事業目的:申請するサービスが、法人の行う事業として定款の「事業目的」に記載されている必要があります。
  2. 登記簿謄本:申請する事業目的が記載された登記事項証明書の原本(現在事項証明書または履歴事項証明書)が必要です。発行から3か月以内のものとされています。
  3. 事業所の準備:工事中や備品が納入されていない状態では、申請書は受理されません。
  4. 指定前研修:東京都の手順では、申請の前に指定前研修を受講します。

法人の設立が先で、指定申請はそのあとです。設立の費用は法人の設立費用と開業費、個人事業からの切り替えは法人化の手続き、事業目的の書き方は定款の事業目的で確認できます。

個人の診療所から法人化する場合の違いは、個人診療所と医療法人の違いで説明しています。個人事業と法人の税負担の比較は、個人事業と法人の違いが参考になります。

よくある質問

個人事業主のままで訪問介護の指定を受けられますか?

受けられません。東京都のガイドブックは介護保険の各事業の申請に法人格が必要としており、横浜市の条例も申請者を法人と定めています。

法人の種類は株式会社でないといけませんか?

横浜市条例は「法人」としか定めておらず、種類を限定していません。営利か非営利かも条文では区別されていません。実際に申請できる法人の種類は、申請先の自治体で確認してください。

病院や診療所が訪問看護を行う場合も法人が必要ですか?

横浜市条例第4条のただし書により、病院または診療所が行う訪問看護の指定申請は、法人であることを求められません。東京都では、医療保険の指定を受けた病院・診療所・薬局は、みなし指定で申請の手続きが不要です。

居宅介護支援だけなら個人でできますか?

できません。福岡市条例第3条は、居宅介護支援事業者の申請者を法人としています。

障害福祉サービスも法人が必要ですか?

愛知県の手引きは、指定の審査で申請者が法人であることを確認するとしています。

まとめ

  • 介護保険の居宅サービス・居宅介護支援・障害福祉サービスは、申請者が法人であることが指定の条件。
  • 法人でなくてよいのは、病院・診療所が行う居宅療養管理指導、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、短期入所療養介護など。
  • 指定申請には、定款の事業目的への記載と、事業目的入りの登記事項証明書(発行3か月以内)が必要。
  • 法人を設立し、事業所を整えてから指定申請をする順番になる。

公式一次情報

本記事について。介護保険の申請者要件は自治体の条例で定められるため、横浜市・福岡市・東京都・愛知県の資料にもとづく概説です。実際の申請は、事業所を置く自治体の条例と手引きで確認し、行政書士などの専門家にご相談ください。