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監査役の任期と権限|4年・最長10年と、監査の範囲を会計に限る定め

法人成りで作った株式会社に監査役を置いている場合の、任期の数え方、権限、監査の範囲を会計に限る定款の定めを、会社法の条文で整理します。

会社法
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

設立時に「監査役 1名」と登記したものの、任期がいつ終わるのか、何をする役なのかが分からないままの会社は少なくありません。監査役の任期は、取締役とは別の条文で決まっています。

この記事では、監査役の任期は原則4年で、公開会社でない会社は定款で最長10年に伸ばせることを軸に、権限と、監査の範囲を会計に限る定めまでを確認できた範囲でまとめます。

監査役の任期と数え方

会社法第336条第1項は、監査役の任期を、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとしています。選任の日から4年ちょうどではなく、決算期に合わせて数える点に注意が必要です。

例として、3月決算の会社で2026年6月の定時株主総会で選任された場合を考えます。選任後4年以内に終了する事業年度は、2027年3月期から2030年3月期までです。最終のものは2030年3月期なので、任期は2030年6月ごろの定時株主総会の終結時までになります。

公開会社でない株式会社は、第336条第2項により、定款で任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで伸ばせます。上の例なら、2036年3月期の定時株主総会の終結時までです。

任期の途中で退任した監査役の補欠として選ばれた人の任期は、定款で前任者の残りの任期にそろえることができます(第336条第3項)。

次の定款の変更をした場合は、決算期にかかわらず、定款変更の効力が生じた時に監査役の任期が満了します(第336条第4項)。

  • 監査役を置く旨の定款の定めを廃止する
  • 監査等委員会または指名委員会等を置く旨の定款の定めを設ける
  • 監査の範囲を会計に関するものに限る旨の定款の定めを廃止する
  • 株式の譲渡に会社の承認を必要とする旨の定款の定めを廃止する(全部の株式についての定め)

取締役の任期や重任登記は、役員の任期と重任登記で確認できます。

監査役の権限

第381条第1項により、監査役は取締役(会計参与を置く会社は取締役と会計参与)の職務の執行を監査し、監査報告を作成します。会計だけでなく、業務の運営が法令や定款に沿っているかも対象になります。

第381条第2項により、監査役は、いつでも取締役、会計参与、支配人その他の使用人に事業の報告を求め、会社の業務と財産の状況を調査できます。

監査役を置くのは、取締役会を置く会社では原則として必要です(第327条第2項)。取締役会を置かない会社は、定款で定めた場合だけ置きます。取締役会を廃止する場合の扱いは、取締役会を廃止する手続きにまとめています。

監査の範囲を会計に限る定め

公開会社でない株式会社は、第389条第1項により、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定められます。ただし、監査役会設置会社と会計監査人設置会社は除かれます。

この定めがある会社の監査役は、業務の監査はしません。第389条第2項から第4項までにより、次の役割になります。

  • 監査報告を作成する
  • 取締役が株主総会に出す会計に関する議案や書類を調べ、結果を株主総会に報告する
  • 会計帳簿や関連資料を、いつでも閲覧・謄写し、会計について取締役などに報告を求める

第389条第7項により、第381条から第386条までの規定は、この定めがある会社には適用されません。たとえば、第381条第2項の事業の報告を求める権限は、通常の監査役と同じ形では持たないことになります。

登記にも関わります。会計に限定する定めがある会社は、その旨が登記事項になります(第911条第3項)。定めの有無は、登記事項証明書で確認してください。

兼任できない人

第335条第2項により、監査役は、その会社や子会社の取締役、支配人その他の使用人を兼ねられません。子会社の会計参与や執行役も同様です。

家族だけで運営する会社では、代表者の配偶者などを名目上の監査役にしている例があります。その人が会社の従業員として働いている場合は、使用人との兼任にあたるおそれがあるため、役割を整理しておく必要があります。

変更があったときの登記

監査役の氏名は登記事項です。就任、退任、任期満了後の重任など、登記事項に変更が生じたときは、第915条第1項により、2週間以内に本店の所在地で変更の登記をします。

任期が満了しても、後任を選ばなければ、実務上は欠員の状態になります。役員が欠けた場合の扱いは権利義務役員と仮役員で確認できます。

登録免許税の額は、登記の内容によって変わります。実際の申請は法務局か司法書士に確認してください。

公式一次情報

まとめ

監査役の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までです。公開会社でない会社は、定款で10年以内まで伸ばせます。監査の範囲を会計に限る定めがある会社の監査役は、業務の監査ではなく会計の監査を担います。

次に知りたいことは、役員の任期と重任登記、会計参与とは、法人成りの役員の人数の記事で確認できます。

よくある質問

監査役の任期は何年ですか?
原則として、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までです(会社法第336条第1項)。公開会社でない会社は、定款で10年以内まで伸ばせます(同条第2項)。
監査役の任期が途中で終わることはありますか?
あります。監査役を置く旨の定款の定めを廃止した場合や、会計に限る定めを廃止した場合などは、定款変更の効力が生じた時に任期が満了します(第336条第4項)。
監査の範囲を会計に限ると、監査役は何をしますか?
会計に関する監査報告を作り、会計の議案や書類を調べて株主総会に報告します。会計帳簿の閲覧・謄写や、会計についての報告の請求もできます(第389条第2項〜第4項)。
従業員は監査役を兼ねられますか?
兼ねられません。監査役は、会社や子会社の取締役、支配人その他の使用人を兼ねることができません(第335条第2項)。
本記事について。税理士・司法書士の監修前の概説です。定款の定めや登記の状況によって扱いが変わるため、実際の手続きは司法書士・弁護士に確認してください。