一時代表取締役の職務を行うべき者の選任申立て|申立先・費用・登記
代表取締役が欠けたときに、裁判所へ一時代表取締役(仮代表取締役)の選任を申し立てる手続を、会社法の条文と裁判所の案内で整理します。申立てができる人、申立先、収入印紙、予納金、登記までの流れを扱います。
法人の運営結論:一時代表取締役の選任は、利害関係人が、本店の所在地を管轄する地方裁判所へ書面で申し立てます。根拠は会社法351条2項です。裁判所が必要があると認めたときに限り選任されます。
代表取締役が亡くなった、または辞めて後任がいない場合に、会社を代表する人を裁判所に決めてもらう手続です。他の取締役や株主総会で解決できる場合は、そもそも申立ての必要が認められにくいため、その見分け方も書きます。
代表取締役が亡くなった後の全体の流れは代表取締役が亡くなったときの会社の手続きに載せています。このページは、裁判所への申立ての部分に絞っています。
どんなときに選任できるか(会社法351条2項)
会社法351条2項は、代表取締役が欠けた場合に、裁判所は必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時代表取締役の職務を行うべき者を選任できると定めています。
同条1項は、任期満了や辞任で退任した代表取締役が、後任が就任するまで代表取締役としての権利義務を持つ形を定めています。死亡の場合は本人が職務を続けられないため、後任が決まらない間は、裁判所に選任を求める方法が現実的な選択肢になります。
取締役が欠けた場合の一時取締役は、会社法346条2項に同じ形の定めがあります。
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申立てが必要にならない場合
大阪地方裁判所の案内は、代表取締役が欠けても、取締役会の定足数を満たす取締役が残っていれば、選任の必要性を欠くとされることがあると説明しています。
取締役会をすぐには開けない場合でも、株主総会で後任の取締役を選任できる事情があるときは、同じく必要性を欠くとされることがあります。株主総会を開けるかどうかには条件があるため、個別の事情は弁護士や裁判所に確認してください。まず会社の中で後任を決められるかを確認し、決められない事情があるときに申立てを検討する順序です。
- 取締役が複数いて、取締役会で代表取締役を選定できる
- 株主総会を開いて、後任の取締役を選任できる事情がある
申立先・申立人・方式
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申立先 | 会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所(会社法868条1項) |
| 申立人 | 利害関係人(取締役、株主、監査役、従業員、債権者など。大阪地方裁判所の案内) |
| 方式 | 書面(会社非訟事件等手続規則1条) |
候補者の推薦は原則として受け付けておらず、裁判所が適任者を選ぶと、大阪地方裁判所の案内は説明しています。申立書の書式は、管轄の地方裁判所に確認してください。
費用:収入印紙・郵券・予納金
大阪地方裁判所の案内では、次の費用が示されています。金額や内訳は裁判所ごとに運用が異なる場合があるため、申し立てる裁判所の案内で確認してください。
| 費用 | 大阪地方裁判所の案内 |
|---|---|
| 申立手数料 | 収入印紙1,000円 |
| 登記嘱託の手数料 | 収入印紙3万円(選任の登記のため) |
| 予納郵券 | 4,650円分(内訳は案内ページに記載) |
| 予納金 | 必要な場合があり、金額は事案ごとに異なる |
予納金は、選任された人の報酬などを担保するためのものです。同じ案内は、次の代表者が選任される見込みがあるか、選任の取消しが見込めるかで、考え方が3つに分かれると説明しています。長く就任が続くと見込まれるほど、高い額が求められます。
申立てから事務終了までの流れ
- 申立書を提出し、裁判所が事件として受け付けます。
- 実務では、審問期日に申立人、候補者、会社から意見を聴くことがあります(大阪地方裁判所の案内)。
- 予納金が必要な場合は納付し、登記嘱託の収入印紙も納付します。
- 裁判所が選任の決定をします。報酬額をこの時点で定める場合もあります。
- 決定は申立人と選任された人に告知されます。
- 選任された人が職務を行い、後任の代表者が選任されたとき、または選任が取り消されたときに事務が終わります。
- 終了の報告をし、報酬が決まっていなければ報酬が決定されます。
選任の登記は裁判所書記官が嘱託する
一時代表取締役が選任されたときの登記は、会社法937条1項2号イにより、裁判所書記官が嘱託します。会社が自分で登記を申請する形ではありません。そのための手数料が、前の節の収入印紙3万円です。
後任の代表取締役が正式に選定されたあとは、通常の役員変更の登記が必要になります。期限と添付書類は役員変更登記の添付書類の違いで確認できます。
次に知りたいこと
公式一次情報
- 会社法(e-Gov法令検索)(346条2項、351条、868条1項、937条1項2号イ。2026-10-29確認)
- 大阪地方裁判所「一時取締役・監査役職務代行者(仮役員)選任申立ての方法等」(申立人、費用、手続の流れ、代表取締役の場合の必要性。2026-10-29確認)
よくある質問
- 一時代表取締役はどこの裁判所に申し立てますか?
- 会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所です(会社法868条1項)。
- 誰が申し立てられますか?
- 利害関係人です。大阪地方裁判所の案内は、取締役、株主、監査役、従業員、債権者などを挙げています。
- 申立てにいくらかかりますか?
- 大阪地方裁判所の案内では、申立手数料の収入印紙1,000円、登記嘱託の収入印紙3万円、予納郵券4,650円分が示されています。事案によって予納金も必要です。
- 他の取締役が残っていても申し立てられますか?
- 取締役会の定足数を満たす取締役が残っていれば、必要性を欠くとされることがあります。まず会社の中で後任を選べるかを確認します。
- 選任の登記は会社が申請しますか?
- 裁判所書記官が嘱託します(会社法937条1項2号イ)。

