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マイクロ法人に税理士は必要か|個人事業主との申告・記帳の分担と費用

マイクロ法人を作ると、個人事業主のときと比べて何が増え、どこから税理士に頼むとよいか。自分でやる範囲と税理士に任せる範囲の分け方、費用の考え方を説明します。

条文・国税庁で確認済み
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

結論から書くと、マイクロ法人でも税理士の関与は法律上の義務ではありません。ただし個人事業主のときと違い、法人側の申告・記帳・給与の事務が新たに加わり、個人側の確定申告も残るため、「どの作業を自分で行い、どこから依頼するか」を決める必要があります。この記事では、増える作業を一覧にし、依頼範囲ごとの費用の見積もり方を整理します。

税理士は法律上必要か

税理士法第2条は、税理士の業務(税務代理・税務書類の作成・税務相談)を「他人の求めに応じ」行うものと定めています。第52条は、税理士でない者が税理士業務を行うことを制限しています。

会社の申告書を代表者自身が作って提出することは、他人の求めに応じた業務ではなく、税理士に依頼しなければならない決まりはありません。一方、他人の申告書の作成や代理を報酬を受けて行えるのは、税理士(税理士法人)に限られます(出典:e-Gov法令検索「税理士法」第2条・第52条)。

ポイント:「必要か」は法律の問題ではなく、決算書と法人税の申告書を自分で作れるか、期限までに間に合うかの問題です。マイクロ法人は取引が少なく、自力で行う人もいます。

個人事業主のときから増える作業

個人事業主は所得税の確定申告が中心です。マイクロ法人を作ると、法人側の作業が加わり、個人側の申告もなくなりません。確認できた主な増加分は次のとおりです。

作業内容・期限根拠
法人税の確定申告事業年度終了の日の翌日から2か月以内。貸借対照表・損益計算書などを添付法人税法第74条
青色申告の承認申請設立日以後3か月を経過した日と最初の事業年度終了日のうち早い日の前日まで法人税法第122条
帳簿書類の備付け・保存青色申告の承認を受けた法人は、帳簿書類を備え付けて取引を記録し保存法人税法第126条
役員報酬の源泉徴収役員報酬は給与として源泉徴収。納期の特例を使うと7月10日と翌年1月20日にまとめて納付国税庁タックスアンサーNo.2505

確定申告書の提出期限は、定款などの定めで決算の定時総会が2か月以内に招集されない常況にある場合に、申請により延長できる特例があります(法人税法第75条の2)。個人側では、個人事業を続ける場合に事業所得の確定申告が残ります。法人から役員報酬を受ける場合の個人側の扱いは個人事業と法人の二刀流で整理しています。

自分で行う作業と依頼する作業の分け方

作業を「毎月・毎年・初回のみ」に分けると、依頼の範囲を決めやすくなります。次は、あくまで分け方の一例です。

タイプ自分で行う税理士に依頼向く場合
全部自分記帳・決算書・申告書・源泉徴収なし取引が少なく、会計ソフトで決算書まで作れる
決算申告だけ日々の記帳決算書と法人税・地方税の申告書記帳はできるが、申告書の作成に不安がある
スポット相談+決算申告記帳設立初年度の設計の相談、決算申告役員報酬や社会保険の設計を最初だけ確認したい
顧問契約領収書の整理記帳の確認、月次の相談、決算申告取引や論点が多い、相談の頻度が高い

初年度だけ依頼し、2年目から自分で行う選び方もあります。判断材料になる関連記事:役員報酬の決め方、マイクロ法人の社会保険料、税理士に依頼するメリット・タイミング。

費用の見積もり方(契約形態別)

税理士報酬は事務所ごとに自由に決められ、全国統一の金額はありません。金額の相場の代わりに、見積もりで比べる項目を挙げます。同じ「月額」でも、含まれる範囲が事務所により違うためです。

  • 顧問料(月額):記帳の確認や相談が含まれる範囲、訪問かオンラインか、相談回数の上限
  • 決算申告料:顧問料に含まれるのか別料金か。法人税・法人住民税・法人事業税・消費税のどこまでか
  • 記帳代行:領収書を渡して仕訳まで任せる場合の追加料金
  • 年末調整・給与の事務:役員報酬のみでも源泉徴収の事務が発生するため、含まれるか
  • 初年度の設計相談:役員報酬の設計、青色申告承認申請書、各種届出の確認が含まれるか

比べるときは、月額×12か月+決算申告料+追加料金の年額で並べ、同じ範囲に揃えて2〜3事務所に見積もりを取ります。マイクロ法人の利益が小さいほど、税理士費用が節税や社会保険料の差額を上回らないかを確認します。差額の考え方は個人事業と法人の違いで扱っています。

税理士報酬にも源泉徴収が必要

見落としやすい点です。国税庁によると、源泉所得税の納期の特例の対象には、給与・退職金の源泉徴収分のほか、税理士・弁護士・司法書士などの一定の報酬から源泉徴収した所得税も含まれます。

税理士に報酬を支払う側(法人側の報酬なら法人、個人側の報酬なら個人が源泉徴収義務者)には、報酬から源泉徴収して納める事務が生じます。給与の支給人員が常時10人未満であれば、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出して、半年分をまとめて納付できます(出典:国税庁タックスアンサーNo.2505、No.2792)。

請求書で報酬と消費税等が区分されていれば、報酬の額のみを源泉徴収の対象とする取扱いです。

税理士に頼むと「事務がすべてなくなる」わけではなく、源泉徴収の納付は支払う側の事務として残ります。顧問契約の範囲に納付書の作成が含まれるかも、見積もりで確認します。

よくある質問

マイクロ法人でも税理士に頼まなければなりませんか?
法律上の義務はありません。税理士法は、税理士でない者が他人の求めに応じて税理士業務を行うことを制限しており、会社の申告書を自分で作ることを禁じてはいません。自分で作れるか、期限に間に合うかで決めます。
法人税の申告期限はいつですか?
事業年度終了の日の翌日から2か月以内です(法人税法第74条)。決算の定時総会が2か月以内に招集されない常況にある場合は、申請により延長される特例があります。
個人事業の確定申告は、法人を作ると不要になりますか?
個人事業を続けるなら、事業所得の確定申告は残ります。法人側の申告が加わるため、個人と法人の二本立てになります。
税理士報酬の源泉徴収は必要ですか?
税理士などへの一定の報酬は源泉徴収の対象で、納期の特例の対象にも含まれます。個別の取扱いは請求書の内訳や契約内容によるため、税務署または税理士へ確認してください。

社会保険料と税の差額を確認する

税理士費用と比べる材料になる、社会保険料と税の差額は次のガイドで確認できます。

公式情報

本記事について。税理士監修前の一般的な整理です。税理士報酬の金額は事務所ごとに異なるため、個別の見積もりでご確認ください。