社会保険の未加入|加入指導・立入検査・認定と罰則
法人は、社長1人だけの会社でも社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する義務があります。加入しないままでいると、年金事務所の加入指導、立入検査、職員の認定による加入手続きへ進むことがあります(日本年金機構、厚生年金保険法6条・100条・102条)。
厚生年金保険法6条・100条・102条法人にしたあと、社会保険の手続きをしていない。従業員はいないので、このままでもよいのではないか。そう考える人は少なくありません。
この記事は、加入義務がある事業所と、未加入のときに日本年金機構が取る対応の流れを整理します。法人成りで必要になる手続き自体は法人成りの社会保険手続きで説明しています。
加入義務がある事業所
日本年金機構によると、すべての法人事業所(事業主のみの場合を含む)と、常時5人以上の従業員を使用する個人事業所(農林水産業やサービス業等の業種を除く)は、厚生年金保険と健康保険の両方に加入する必要があります。
| 事業所の種類 | 加入義務 |
|---|---|
| 法人(社長1人だけの会社を含む) | ある |
| 常時5人以上の従業員がいる個人事業所(農林水産業・サービス業等を除く) | ある |
| 上記以外の個人事業所 | 強制ではない(任意適用の申請ができる) |
加入すると、事業主負担分と従業員負担分の保険料を、事業主がまとめて毎月納めます。個人事業の任意適用の考え方は個人事業所の任意適用で整理しています。
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未加入のときの流れ:加入指導から認定まで
日本年金機構は、保険料の納付を免れている事業所を把握し、加入指導などの取り組みを行っています。目的は、将来の無年金者・低年金者を防ぐことと、事業主の負担の公平を保つことだと説明されています。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1. 加入の勧奨 | 加入指導の前に、加入を勧奨する(機構の説明では「加入を勧奨しても自主的に加入しない事業所」に加入指導を行う) |
| 2. 加入指導 | 勧奨しても自主的に加入しない事業所のうち、従業員を使用する未適用事業所を中心に、年金事務所の職員が重点的に指導する |
| 3. 立入検査 | 加入指導でも手続きをしない事業所に、職員が立ち入って、被保険者の資格の有無の事実を確認する |
| 4. 認定 | 必要に応じて、職員の認定による加入手続きを行う |
日本年金機構は「保険制度の加入を免れることはできません」とし、加入要件に当てはまる場合は速やかに届出をするよう求めています。
立入検査・届出をしないときの罰則
立入検査の根拠は、厚生年金保険法100条です。厚生労働大臣は、被保険者の資格や保険料に関する決定に必要があると認めるときは、事業主に文書などの提出を命じたり、職員に事業所へ立ち入らせて質問や帳簿の検査をさせたりできます。
事業主には立入検査に対する受忍義務があり、検査を忌避したり質問に答えなかったりすることは許されないとされています。
| 違反の内容 | 罰則の根拠 | 罰則 |
|---|---|---|
| 届出をせず、または虚偽の届出をした(法27条違反) | 法102条1項1号 | 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 督促状に指定する期限までに保険料を納付しない | 法102条1項3号 | 同上 |
| 文書を提出せず、質問に答えず、検査を拒む・妨げる・忌避する(法100条1項違反) | 法102条2項 | 同上 |
いずれも、条文は「正当な理由がなくて」該当した場合を対象にしています。実際に罰則が科されるかどうかは個別の事情で決まります。
すでに加入している事業所への事業所調査
加入していれば調査を受けないわけではありません。日本年金機構は、適用事業所に対しても、従業員の適用漏れを防ぎ、届出を適正にするための事業所調査を行っています。
- 短時間労働者を多く使用している事業所、算定基礎届や賞与支払届が未提出の事業所、過去の調査で指摘が多い事業所には、訪問調査を行う
- それ以外の事業所には、呼出や郵送による調査を行う
- 被保険者の加入漏れ、賞与支払の届出漏れ、報酬月額の記載誤りがあれば指摘する
- 指摘しても適正な届出がされないときは、確認した事実に基づき、さかのぼって職員の認定による手続きを行う
事業所調査についても、厚生年金保険法100条・102条にもとづく受忍義務があると説明されています。
加入要件に当てはまるときの対応
日本年金機構は、加入手続きや相談は近くの年金事務所へ問い合わせるよう案内しています。法人を設立したあとの加入手続きの全体像は法人化の手続き、会社に入る負担の大きさは法人成りのデメリットで確認できます。
保険料の負担は、国民健康保険・国民年金のままの場合と比べて変わります。比較は個人事業と法人の社会保険・年金の比較にまとめています。
公式一次情報
よくある質問
- 社長1人だけの会社でも社会保険に加入しますか?
- 加入します。すべての法人事業所は、事業主のみの場合を含めて、厚生年金保険と健康保険の両方に加入する必要があります(日本年金機構)。
- 社会保険に未加入のままだと、どうなりますか?
- 加入の勧奨、年金事務所の職員による加入指導、立入検査を経て、必要に応じて職員の認定による加入手続きが行われます(日本年金機構)。
- 年金事務所の立入検査は断れますか?
- 事業主には受忍義務があり、検査の忌避や質問への答弁拒否は許されないとされています。正当な理由なく拒むと、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります(厚生年金保険法100条・102条2項)。
- 加入の届出をしないと罰則がありますか?
- 正当な理由なく届出をしない、または虚偽の届出をすると、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります(厚生年金保険法102条1項1号)。
- すでに加入していれば調査は受けませんか?
- 受けることがあります。適用事業所にも事業所調査があり、届出の漏れや誤りが直らないときは、さかのぼって職員の認定による手続きが行われます(日本年金機構)。
まとめ
- 法人は社長1人だけでも、厚生年金保険と健康保険の加入義務がある。
- 未加入のままだと、必要に応じて、加入指導、立入検査、職員の認定へと進む。
- 立入検査には受忍義務があり、届出をしない・検査を拒むと罰則の対象になる。
- 加入済みでも事業所調査があり、届出の漏れは認定でさかのぼって直される。
次に知りたいことは、法人成りの社会保険手続き、個人事業と法人の社会保険・年金の比較、法人化の手続きです。

