個人事業と法人の社会保険・年金を比較|国保・国民年金と協会けんぽ・厚生年金の違い
個人事業主は国民健康保険と国民年金、法人にすると健康保険(協会けんぽなど)と厚生年金に入ります。対象・負担者・給付・手続き先の違いを1つの表にまとめ、詳しい解説へのリンクを付けました。
日本年金機構・e-Gov法令検索の記載にもとづく違いが大きいのは、保険料の負担者、扶養の有無、障害・遺族の給付の厚さ、手続き先の4点です。保険料の金額は報酬や所得、住む場所で変わるので、この表では仕組みだけを比べています。
このページは、個人事業と法人の社会保険・年金の「違いの一覧」です。金額の試算は「社会保険料シミュレーター」、有利・不利の判断は「法人成りシミュレーター」で確かめられます。
比較表:対象・負担者・給付・手続き先
| 項目 | 個人事業主(国保・国民年金) | 法人(健康保険・厚生年金) | 詳しい解説 |
|---|---|---|---|
| 加入の対象 | 自分が個人事業主なら、本人と家族それぞれが国保・国民年金に入る | 法人の事業所は、代表者1人だけの場合を含めて原則として強制適用。無報酬の役員しかいない場合は要件を満たさない | 1人社長の社会保険 |
| 保険料の負担者 | 全額が本人 | 会社と本人が半額ずつ(厚生年金保険法第82条) | 法人成りと社会保険 |
| 国民年金の保険料 | 月17,920円(令和8年度)の定額 | 厚生年金の保険料に基礎年金分が含まれ、別に国民年金保険料は払わない | 国民年金 |
| 健康保険の保険料 | 市区町村ごとに決まる | 協会けんぽは都道府県ごとの料率。報酬の額で決まる | 国保の保険料・協会けんぽの都道府県差 |
| 家族の扶養 | 被扶養者の制度がなく、家族も各自で国保に入る | 要件を満たす配偶者・親などは被扶養者にできる | 法人化後の扶養 |
| 病気で休んだときの手当 | 傷病手当金は市町村が条例で定めた場合に限る | 被保険者に傷病手当金の制度がある(健康保険法第99条) | 給付の違い |
| 障害年金 | 障害基礎年金は1級・2級のみ。3級は無支給 | 障害厚生年金は3級も対象 | 障害年金の違い |
| 遺族年金 | 遺族基礎年金は子のある配偶者・子が対象 | 遺族厚生年金が上乗せされる | 遺族年金の違い |
| 手続き先 | 市区町村の窓口 | 年金事務所(新規適用) | 全喪届と新規適用届 |
個人事業のままでも、従業員の半数以上の同意と厚生労働大臣の認可があれば社会保険に入れる場合があります。条件は「個人事業のまま社会保険に入れるか」にまとめています。
保険料の負担者と金額の決まり方
厚生年金保険法第82条は、被保険者と事業主がそれぞれ保険料の半額を負担すると定めています。法人の代表者が1人の場合は、会社の負担分も実質は自分の法人の支出です。
個人事業主は国民年金の保険料を全額自分で払います。日本年金機構によると、令和8年度の国民年金保険料は月17,920円です。
金額の決まり方は、国保が市区町村ごと、協会けんぽが都道府県ごとの料率に報酬の額を掛ける形です。同じ収入でも、住む場所と役員報酬の額で結果が変わります。個人事業の負担を抑える方法は「個人事業主の社会保険を安くする方法」、法人側で年金を厚くする仕組みは「1人社長の厚生年金の増額」で扱っています。
給付の違い:傷病手当金・障害・遺族
健康保険法第99条は、被保険者が療養のため働けないとき、一定の期間をおいて傷病手当金を支給すると定めています。一方、国民健康保険法第58条第2項は、傷病手当金などの給付を、市町村が条例で定めたうえで「行うことができる」としています。つまり国保では、お住まいの市区町村の条例に定めがあるかどうかで決まります。
年金の給付は、国民年金だけだと基礎年金(老齢・障害・遺族)が中心です。厚生年金に加入すると、障害厚生年金には3級があり、遺族厚生年金も受けられます。
個人事業のままなら、付加年金や国民年金基金などで上乗せできます。方法は「個人事業主の年金を増やす方法」で比べています。
手続き先と切り替えの流れ
個人事業から法人へ切り替えると、本人は国保・国民年金から外れ、法人の健康保険・厚生年金に入ります。国保・国民年金を抜ける手続きは市区町村、法人の新規適用は年金事務所です。
業界団体の国保組合に入っている人は、法人にしても組合の資格が残る場合があります。確認は「法人成りと国保組合の適用除外」を見てください。
国民健康保険法第6条は、健康保険法の被保険者や被扶養者を国保の被保険者としないと定めています。法人の健康保険に入った人が、国保とは二重に加入することはありません。
公式一次情報
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- e-Gov法令検索「厚生年金保険法」(第6条・第82条)
- e-Gov法令検索「健康保険法」(第99条)
- e-Gov法令検索「国民健康保険法」(第6条・第58条)
確認日は2026年10月9日です。
よくある質問
- 法人にすると、社会保険料は誰が負担しますか?
- 厚生年金保険法第82条により、被保険者と事業主が保険料の半額ずつを負担します。国民年金・国保の個人事業主は全額が本人です。
- 国民健康保険にも傷病手当金はありますか?
- 国民健康保険法第58条第2項により、市町村が条例で定めた場合に行うことができる給付です。住む市区町村の条例を確認してください。健康保険の被保険者には、健康保険法第99条の傷病手当金があります。
- 障害年金で個人事業と法人の違いは何ですか?
- 国民年金の障害基礎年金は1級・2級が対象で3級は無支給です。厚生年金に加入すると、障害厚生年金は3級も対象になります。