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士業の法人化の違い一覧|税理士・行政書士・社労士・司法書士・弁護士ほか8資格の比較

税理士・行政書士・社会保険労務士・司法書士・弁護士・弁理士・土地家屋調査士・公認会計士は、いずれも根拠法に法人の規定があります。一般の会社(株式会社・合同会社)とは別の「士業法人」で、社員になれる人・設立の人数・責任・届出先が資格ごとに違います。e-Govの条文で8資格を比べます。

士業法人の比較表
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

士業の人が個人事務所から法人にしたいとき、株式会社や合同会社を作る道とは別に、各士業法が定める専用の法人があります。社員(出資して業務を行う人)になれるのはその資格者だけで、設立の手続や届出先も資格ごとに決まっています。

一般の会社を設立する流れは「法人成りガイド」で整理しています。この記事は、士業が使う専用の法人制度に絞り、各根拠法の条文で確認できた点を一覧にします。

8資格の比較表

8資格とも、法人の社員は原則その資格者に限られ、設立登記で成立し、成立から2週間以内に届出が必要です。違いは、設立の人数・届出先・責任の形です。
資格(法人名)設立の根拠社員になれる人成立後2週間以内の届出先
税理士(税理士法人)税理士法48条の2税理士のみ(48条の4)本店所在地の税理士会を経由して日本税理士会連合会(48条の10)
行政書士(行政書士法人)行政書士法13条の3行政書士のみ(13条の5)主たる事務所所在地の行政書士会を経由して日本行政書士会連合会(13条の10)
社会保険労務士(社会保険労務士法人)社会保険労務士法25条の6社会保険労務士のみ(25条の8)主たる事務所所在地の社会保険労務士会を経由して連合会(25条の13)
司法書士(司法書士法人)司法書士法26条司法書士のみ(28条)司法書士会と日本司法書士会連合会の両方(34条)
弁護士(弁護士法人)弁護士法30条の2弁護士のみ(30条の4)所属弁護士会と日本弁護士連合会(30条の10)
弁理士(弁理士法人)弁理士法37条弁理士のみ(39条)経済産業大臣(45条)
土地家屋調査士(土地家屋調査士法人)土地家屋調査士法26条土地家屋調査士のみ(28条)調査士会と調査士会連合会の両方(33条)
公認会計士(監査法人)公認会計士法34条の2の2公認会計士など(34条の4)内閣総理大臣(34条の9の2)

上の表の条番号は、各法の条文(e-Gov法令検索)で確認したものです。届出先の細かな手続は、各士業会の案内で確認してください。

8資格に共通すること

  • 成立の時期:主たる事務所の所在地で設立登記をすることで成立します(例:税理士法48条の9)。
  • 定款:社員になろうとする資格者が定款を定めます。税理士法は「共同して定款を定める」と書き、他の法は「定款を定める」と書きます。
  • 他の資格者に業務を行わせない:例として税理士法48条の15は、税理士でない者に税理士業務を行わせてはならないと定めます。

一般の会社の設立(定款の認証・登記・税務署への届出)は「法人設立後の届出」と流れが重なる部分があります。士業法人でも、設立後の税務署・年金事務所などへの届出は、法人としてあらためて必要になります。

設立に必要な人数の違い

税理士法人は、社員が1人になって引き続き6か月間2人以上にならないと解散します(税理士法48条の18第2項)。1人だけの設立・存続は想定されていません。

行政書士法・社会保険労務士法・司法書士法・弁護士法・弁理士法・土地家屋調査士法は、解散事由を「社員の欠亡」(社員がいなくなること)としています。設立時の最少人数を条文で明記しておらず、1人の設立ができるかどうかは、この記事では断定しません。設立前に、各士業会または所管の窓口で確認してください。

公認会計士法の監査法人は、設立時に、社員になろうとする者のうち5人以上が公認会計士であることが必要です(34条の7第1項)。公認会計士の社員が4人以下になり、6か月間5人以上にならないと解散します(34条の18第2項)。

社員の責任の違い

税理士法人は、会社法580条1項(持分会社の社員が連帯して債務を弁済する責任)を準用しています(税理士法48条の21第1項)。条文は社員が連帯して弁済の責任を負うとする形で、一般に無限責任と呼ばれます。

行政書士法人も同じく会社法580条1項を準用します(13条の21第1項)。社会保険労務士・司法書士・弁護士・弁理士・土地家屋調査士の法人は、法人の財産で債務を完済できないとき、各社員が連帯して弁済の責任を負うと定めます。紛争解決手続代理や簡裁訴訟代理、指定事件などでは、特定社員・指定社員が責任を負う特則もあります(社会保険労務士法25条の15の3、司法書士法38条、弁護士法30条の15、弁理士法47条の4、土地家屋調査士法35条の3)。

公認会計士法の監査法人には、無限責任監査法人と有限責任監査法人があります。有限責任は出資額を限度とします(34条の10の6第7項)。有限責任監査法人は、内閣総理大臣の登録を受けなければ監査・証明業務を行えません(34条の24)。

株式会社や合同会社では、出資者が負う責任の形が違います。会社の形ごとの違いは「合同会社と株式会社の違い」で確認してください。

法人にしても制限が残る業務

  • 行政書士法人:特定業務(行政書士法1条の4第1項2号の業務)は、その業務を行える特定社員がいる法人だけが行えます(13条の6)。特定社員が常駐しない事務所では取り扱えません(13条の15)。
  • 社会保険労務士法人:紛争解決手続代理業務は、社員に特定社会保険労務士がいる法人だけが行えます(25条の9第2項)。
  • 司法書士法人:簡裁訴訟代理等関係業務は、社員に認定を受けた司法書士がいる法人だけが行えます(29条2項)。
  • 土地家屋調査士法人:民間紛争解決手続代理関係業務は、社員に該当の調査士がいて調査士会の会員である法人だけが行えます(29条2項)。
  • 監査法人:監査・証明業務は、公認会計士である社員だけが執行します(34条の10の2)。

税理士法人は、税理士業務のほか、定款で定めれば税理士が行える付随業務(財務書類の作成・会計帳簿の記帳代行など)を行えます(48条の5)。

医療法人は別の制度

医師・歯科医師の「医療法人」は、士業法人のような資格者の共同法人ではなく、病院や診療所を開設する社団または財団が法人になる制度です(医療法39条)。この記事の比較表の対象には入れていません。

小規模企業共済では、士業法人の業務執行社員は加入資格の対象になる一方、医療法人の役員は対象になりません。くわしくは「法人成りと小規模企業共済」を参照してください。

公式一次情報

まとめ

  • 8資格とも、根拠法に法人の規定がある。社員は原則その資格者に限られ、設立登記で成立し、2週間以内の届出が必要。
  • 税理士法人は社員が1人になって6か月間2人以上にならないと解散する。監査法人は設立時に公認会計士5人以上が必要。
  • 他の6資格は解散事由が「社員の欠亡」で、最少人数の明記がない。設立前に各士業会で確認する。
  • 法人にしても、特定業務・紛争解決代理などは、資格を持つ社員がいる法人だけが行える。
  • 医療法人は士業法人と別制度。

よくある質問

士業が株式会社や合同会社を作って業務をすることはできますか?
この記事は各士業法の法人規定を整理したもので、一般の会社で資格業務を行えるかは扱っていません。資格業務の可否は、各士業会や所管窓口で確認してください。
税理士法人は1人で設立できますか?
税理士法は、社員が1人になって6か月間2人以上にならないと解散すると定めています(出典:税理士法48条の18第2項)。1人での存続は想定されていません。
士業法人の社員は、有限責任ですか?
税理士法人・行政書士法人は会社法580条1項を準用し、他の士業法人も法人財産で債務を完済できないとき社員が連帯して責任を負うと定めます。有限責任の形があるのは監査法人です(出典:各根拠法、公認会計士法34条の10の6)。
士業法人が成立したあと、どこに届け出ますか?
成立から2週間以内に、登記事項証明書と定款の写しを添えて届け出ます。届出先は資格ごとに異なり、一覧は本文の比較表のとおりです(出典:各根拠法)。
医療法人は士業法人と同じですか?
違います。医療法人は病院・診療所を開設する社団または財団が法人になる制度です(出典:医療法39条)。
本記事について。税理士監修前の概説です。条文は改正される場合があります。法人化の可否や手続は、所属の士業会や所管の窓口、専門家へご確認ください。