国税を滞納すると差押えはいつから?督促状から取立てまでの流れ
国税を納期限までに払えなかったとき、督促状から差押え、取立てまでどう進むかを、国税通則法・国税徴収法と国税庁の案内で整理します。督促状から10日後に差押えが可能になる点、売掛金や預金の差押え方、差押えが禁止される財産、止める方法まで扱います。
税金を払えないとき国税を納期限までに払わないと、税務署から督促状が届き、督促状を発した日から10日を過ぎても完納しなければ、財産の差押えができる状態になります。督促は国税通則法37条、差押えの要件は国税徴収法47条に定められています。差押えの前には財産調査があり、差押えの対象には売掛金や預金も含まれます。
この記事は所得税・消費税・法人税などの国税の滞納処分を扱います。個人事業税や住民税など地方税の猶予は、個人事業税を払えないときの猶予制度で整理しています。
滞納から取立てまでの5段階
国税庁のリーフレットは、納付も相談もない場合の滞納処分を、次の順で示しています。
| 段階 | 内容(国税庁の案内) |
|---|---|
| 1. 督促状送付 | 納期限を過ぎても納付がない場合に送られる |
| 2. 財産調査 | 金融機関や取引先などに対して財産を調査する。事務所などの捜索を行う場合もある |
| 3. 財産差押え | 動産(貴金属等)、債権(売掛金・預金等)、不動産などを差し押さえる |
| 4. 取立て・公売 | 差し押さえた債権は取り立て、動産や不動産は入札等による公売を行う |
| 5. 滞納国税に充当 | 取り立てた金銭や公売の売却代金を滞納国税に充てる |
同じリーフレットは、差押えに進むのは「納付の相談がない、やむを得ない事情なく納付の約束が守られないなど、納付の意思が認められないような場合」としています。払えない事情があるなら、督促状が届いた時点で税務署(徴収担当)へ相談することが、流れの途中で止める入口になります。
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督促状はいつ届くか
国税通則法37条1項は、納税者が納期限までに国税を完納しない場合、税務署長は督促状で納付を督促しなければならないと定めています。同条2項は、督促状は納期限から50日以内に発するものとしています。延滞税や利子税があるときは、あわせて督促されます(同条3項)。
督促状が届く前から、延滞税は納期限の翌日から日数に応じて自動的にかかります(国税庁タックスアンサーNo.9206)。割合と計算例は延滞税の割合と計算例で整理しています。
督促状から10日で差押えが可能になる
差押えの要件は、国税徴収法47条1項に書かれています。徴収職員は、次のどちらかに当てはまるとき、滞納者の財産を差し押さえなければならないとされています。
- 督促を受け、督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないとき(1号)
- 通則法37条1項各号の国税(繰上請求などで督促を要しない国税)を、納期限までに完納しないとき(2号)
督促状を発した日から10日の間に、国税通則法38条1項の繰上請求の事由に当たる事実が生じたときは、10日を待たず直ちに差し押さえることもできます(同条2項)。
差押えの対象と、売掛金・預金の差押え方
差押えの対象は、国税庁のリーフレットでは動産・債権・不動産などです。個人事業主や法人の場合、とくに取引先への売掛金と預金が債権として対象になります。
| 財産 | 差押えの方法と効力(国税徴収法) |
|---|---|
| 動産・有価証券 | 徴収職員が占有して行い、占有した時に効力が生じる(56条1項・2項) |
| 債権(売掛金・預金など) | 第三債務者(取引先や銀行)への債権差押通知書の送達で行い、送達された時に効力が生じる(62条1項・3項) |
債権を差し押さえるとき、徴収職員は第三債務者に対して滞納者への支払いを、滞納者に対して債権の取立てなどの処分を禁じます(62条2項)。そのうえで、徴収職員は差し押さえた債権を取り立てることができ(67条1項)、金銭を取り立てると、その限度で国税を徴収したものとみなされます(同条3項)。
取引先に通知が届くため、売掛金の差押えは、取引先に滞納を知られる形で進みます。差押えの範囲は、国税の徴収に必要な財産に限られ、必要以上の差押えは禁止されています(48条1項)。
差押えが禁止される財産
国税徴収法75条は、一般の差押禁止財産を定めています。事業に関係するものは次のとおりです。
- 技術者、職人、労務者など、主として自己の知的または肉体的な労働により職業・営業に従事する人の、業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。5号)
- 主として自己の労力により農業を営む人の、農業に欠くことができない器具や肥料など(3号)
- 滞納者と生計を一にする親族の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具など(1号)、生活に必要な3か月間の食料と燃料(2号)
給与についても、同法76条が差押えのできない部分を定めています。給料・賃金などは、源泉所得税・特別徴収の住民税・社会保険料に相当する額と、生活保護の生活扶助の基準を勘案した政令の金額、残りの20%に相当する金額の合計までは差し押さえられません。
なお、75条の禁止財産は「商品を除く」とされ、売掛金や預金そのものは禁止財産として列挙されていません。事業用の預金や売掛金は、一般には差押えの対象になり得ます。
差押えを避ける・止める方法
国税庁のタックスアンサーNo.9206は、国税を一時に納付することが困難な理由がある場合、税務署への申請で換価の猶予や納税の猶予が認められることがあるとしています。猶予が認められると、財産の換価(売却)や差押えが猶予され、猶予期間中の延滞税も免除または軽減されます。
- 換価の猶予:事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがあるなどの要件に当てはまる場合に、原則1年以内の期間で認められる。納期限から6か月以内に申請書を出す必要がある
- 納税の猶予:災害、病気、休廃業、事業上の著しい損失などの理由で一時に納付できない場合に、原則1年以内の期間で認められる
要件と手続きの詳細は税金を払えないときの納税の猶予・換価の猶予で整理しています。完納するまでは、未納の税額がないことを証明する納税証明書「その3」が発行されない点にも注意が必要です(国税庁リーフレット)。納税証明書の取り方は納税証明書の種類と取得方法を参照してください。
次に知りたいこと
公式一次情報
- e-Gov法令検索「国税通則法」(37条 督促。2026-10-25確認)
- e-Gov法令検索「国税徴収法」(47条 差押えの要件、48条 超過差押えの禁止、56条・62条・67条 差押えと取立ての手続、75条・76条 差押禁止財産。2026-10-25確認)
- 国税庁「国税を納期限までに納付することができない場合には」(滞納処分の流れ、差押えの対象、猶予制度。令和7年7月。2026-10-25確認)
- 国税庁タックスアンサーNo.9206「国税を期限内に納付できないとき」(延滞税、猶予の効果、換価の猶予の要件。令和8年4月1日現在。2026-10-25確認)
- 国税庁「国税徴収法基本通達 第47条関係 差押えの要件」(6か月以上経過後の催告。2026-10-25確認)
よくある質問
- 国税を滞納すると、いつ差押えされますか?
- 督促状を発した日から10日を経過した日までに完納しないと、国税徴収法47条により差押えができる状態になります。実際に差押えに進むのは、納付の相談がない、約束が守られないなど納付の意思が認められない場合が中心と国税庁は案内しています。
- 督促状はいつまでに届きますか?
- 国税通則法37条2項は、督促状は納期限から50日以内に発するものとしています。
- 売掛金や預金も差押えの対象になりますか?
- なります。国税庁のリーフレットは、差押えの対象に債権(売掛金・預金等)を挙げています。取引先や銀行に債権差押通知書が送達された時に効力が生じ、徴収職員が取り立てます。
- 仕事で使う道具や機械は差し押さえられますか?
- 職人や技術者など、自分の労働で営業する人の業務に欠くことができない器具は、商品を除いて差押えが禁止されています(国税徴収法75条1項5号)。
- 差押えを止めるにはどうすればよいですか?
- 一時に納付できない事情があれば、税務署に換価の猶予または納税の猶予を申請します。認められると差押えや換価が猶予されます。換価の猶予は納期限から6か月以内の申請が必要です。

