ガイド

スキャナ保存の要件|紙の領収書を処分できる条件

紙で受け取った領収書や請求書をスキャン・撮影して保存する制度の対象書類、入力期間(7営業日)、解像度(200dpi)、検索要件、原本を処分できる時期を整理します。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

取引先から紙で受け取った領収書や請求書は、スキャナで読み取って画像データで保存すれば、紙の原本の保存に代えられる制度があります。これが電子帳簿保存法のスキャナ保存です。

ただし、読み取り方や入力のタイミング、検索の仕組みなどに決まりがあります。この記事では、対象になる書類、満たす要件、紙の原本を処分できる時期を、国税庁の一問一答にもとづいて説明します。メールやネットで受け取ったデータの保存は別の制度で、電子取引データの検索要件で扱っています。

スキャナ保存の対象になる書類

スキャナ保存は、国税関係書類のうち、棚卸表・貸借対照表・損益計算書などの決算関係書類以外が対象です。契約書、請求書、領収書、納品書、見積書、注文書などが当たります。

売上伝票などの伝票類は、そもそも法人税や所得税の施行規則で保存が求められる書類に当たらないため、スキャナ保存の対象外です。

対象の書類は、重要書類と一般書類に分かれます。

区分考え方書類の例
重要書類資金や物の流れに直結・連動する書類契約書、領収書、請求書など
一般書類資金や物の流れに直結・連動しない書類(国税庁の告示で定めるもの)見積書、注文書、検収書、自分が作成した納品書の写しなど

区分によって、入力のタイミングや帳簿との関連づけの要件が変わります。

満たす要件の一覧

令和4年1月1日以後に保存する書類は、税務署への承認申請が不要になりました。要件を満たして保存すれば、届出なしで始められます。主な要件は次のとおりです。

要件内容
読み取りの品質解像度は25.4ミリメートル当たり200ドット以上、赤・緑・青それぞれ256階調以上(カラー)
入力期間受け取ってからおおむね7営業日以内(業務処理サイクル方式は最長で約2か月とおおむね7営業日以内)
改ざん防止タイムスタンプの付与、または訂正・削除の履歴が残る(訂正・削除ができない)システムでの保存
検索機能取引年月日などの日付・取引金額・取引先で検索できること
帳簿との関連性重要書類は、関連する帳簿の記録と相互に確認できるようにする
出力できる環境ディスプレイ等を備え付け、速やかに出力できること

200dpi以上の解像度と256階調以上のカラーは、国税庁の一問一答が電子帳簿保存法の読み取りの要件として示している数値です。一般書類は白黒(白色から黒色までの階調が256階調以上)で読み取ることもできます。

入力期間は7営業日が基本

入力とは、読み取った画像を保存し、システムに記録事項を入力する作業のことで、スキャニングを終えるだけでは足りません。国税庁の一問一答は、紙の段階での改ざんを防ぐため、受け取り後できるだけ早く電磁的記録にする趣旨だと説明しています。

期間の基本は、受け取ってからおおむね7営業日以内です。休日をまたぐ場合を考え、7営業日が合理的とされています。会社で業務処理サイクルの期間を決めている場合は、その期間を経過した後に速やかに入力する方法もあり、最長では受け取りから2か月とおおむね7営業日以内に入力すればよいことになります。

入力期間を過ぎてしまった場合は、データと合わせて紙の書類も保存します。

改ざん防止はタイムスタンプか履歴の残るシステム

保存した画像データが後から書き換えられていないことを示す措置が必要です。方法は2つあります。

  • 入力期間内にタイムスタンプを付与する。
  • 訂正・削除を行った事実と内容を確認できるシステム(訂正・削除ができないシステムを含む)に保存し、入力期間内に入力したことを確認できるようにする。

国税庁の一問一答は、後者について、入力期間内に入力したことを確認できる時刻証明機能があれば、タイムスタンプの付与に代えられると説明しています。ソフトやサービスを使う場合は、この仕組みに対応しているかを提供元に確認してください。

検索できる状態にする

保存した書類は、取引年月日などの日付、取引金額、取引先を条件に検索できる必要があります。さらに、日付や金額は範囲を指定して検索できること、2つ以上の項目を組み合わせて検索できることも求められます。

画像データを文字として読み取る機能がない場合でも、日付・金額・取引先を手入力して検索条件に設定できるようにすれば足ります。取引先ごとにフォルダを分けて保存し、日付と金額を手入力で管理する方法も、検索の要件を満たせる例として示されています。

税務職員による質問検査権にもとづくデータのダウンロードの求めに応じられるようにしている場合は、範囲指定と組合せの機能は不要です。ダウンロードの求めには、電子取引でも同じ考え方があり、電子取引データの検索要件で説明しています。

スマホで撮影してもよい

国税庁の一問一答は、スマートフォンやデジタルカメラも、書面を電磁的記録に変換する入力装置に該当すれば「スキャナ」に含まれるとしています。領収書をもらった場で撮影して取り込む運用も可能です。

撮影した画像でも、200dpi以上と256階調以上のカラーの要件は同じです。機器の設定や撮影の条件で満たせているかを、あらかじめ確認しておきます。

紙の原本を処分できる時期

令和4年1月1日以後に保存する書類は、スキャナで読み取り、最低限の同等確認を行った後であれば、紙の原本を即時に廃棄して差し支えありません。同等確認とは、電磁的記録の記録事項と書面の記載事項を比べ、同じであることを確認する作業です。折れ曲がりなどで読み取れていない部分がないかも見ます。

例外は、入力期間を過ぎてしまった場合です。このときは、データと合わせて紙の書類も保存する必要があります。

スキャナデータの保存期間は、書類ごとに法律で定められた期間と同じです。保存期間は法人の書類の保存期間の一覧と法人の帳簿の保存期間で確認できます。

次に知りたいこと

公式情報

まとめ

  • スキャナ保存は、紙で受け取った領収書・請求書などを画像データで保存し、紙の保存に代える制度で、令和4年1月以後は承認申請が不要。
  • 読み取りは200dpi以上・256階調以上のカラー。入力はおおむね7営業日以内で、最長でも約2か月とおおむね7営業日以内。
  • 改ざん防止は、タイムスタンプか、履歴の残る(または訂正削除できない)システムでの保存。
  • 日付・金額・取引先で検索できる状態にする。スマホで撮影してもよい。
  • 同等確認の後であれば紙の原本は即時に廃棄できるが、入力期間を過ぎた場合は紙も保存する。

よくある質問

スキャナ保存は必ずやらなければいけませんか?
任意です。紙のまま保存しても構いません。スキャナ保存に切り替える場合に、この記事の要件を満たす必要があります(出典:国税庁 一問一答)。
スキャナ保存を始めるのに、税務署への申請は必要ですか?
令和4年1月1日以後に保存する書類については、承認制度が廃止されたため、承認申請は不要です(出典:国税庁 一問一答)。
領収書をスマホで撮影して保存してもよいですか?
スマートフォンやデジタルカメラも入力装置に該当すれば「スキャナ」に含まれます。解像度は200dpi以上、カラーは256階調以上の要件を満たす必要があります(出典:国税庁 一問一答)。
スキャンしたら、紙の領収書はすぐ捨ててもよいですか?
令和4年1月1日以後に保存する書類は、スキャナで読み取り、記録事項と書面の記載事項が同じであることを確認した後であれば、即時に廃棄して差し支えありません。入力期間を過ぎた場合は、データと合わせて紙も保存します(出典:国税庁 一問一答)。
売上伝票もスキャナ保存の対象ですか?
対象外です。売上伝票などの伝票類は、保存が求められる書類に当たらないため、スキャナ保存の適用はありません(出典:国税庁 一問一答)。
本記事について。税理士監修前の概説です。要件の適用は事業の規模や取引の内容で変わるため、実際の対応は税務署または税理士に確認してください。