不動産所得の収入計上時期|家賃・礼金・敷金はいつの収入か
貸している不動産の収入を、どの年の収入にするかを整理します。家賃と共益費、礼金・更新料、敷金・保証金、係争中の賃貸料の4つについて、国税庁のタックスアンサーと基本通達に沿って説明します。
確定申告・所得税不動産所得の収入は、お金を受け取った日ではなく、契約で決まった支払日などの基準で、どの年の収入にするかが決まります。年末と年始をまたぐ家賃や礼金、返還しない敷金は、基準を知らないと申告する年を取り違えます。
この記事は、貸主の側から見た収入計上の時期を扱います。借主の側の経理は事務所の敷金・礼金・更新料の経理処理で扱っています。
家賃・地代・共益費は支払日で決まる
国税庁のタックスアンサー(No.1376)は、地代・家賃・共益費の収入計上時期を、次の順に示しています。
- 契約や慣習で支払日が定められている場合は、その定められた支払日。
- 支払日が定められていない場合は、実際に支払を受けた日。ただし、請求があったときに支払うものと定められているものは、請求の日。
共益費などの名目で受け取る電気代・水道代・掃除代も、不動産所得の総収入金額に含まれます(No.1370)。
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礼金・権利金・更新料は引渡しか契約の日
家屋や土地を貸すことで一時に受け取る権利金や礼金は、次のとおり計上します(No.1376)。
| 契約の内容 | 収入に計上する日 |
|---|---|
| 貸す資産の引渡しが必要なもの | 引渡しのあった日 |
| 引渡しが必要でないもの | 契約の効力発生の日 |
名義書換料、承諾料、頭金などの名目で受け取るものも同様です。更新料や名義書換料などの名目で受け取るものは、不動産所得の総収入金額に含まれます(No.1370)。
敷金・保証金は返還しないと確定した日
敷金や保証金は本来、預り金です。受け取っても、その時点では収入になりません(No.1376)。
返還を要しないものは、返還を要しないことが確定した日に、その金額を収入に計上します。総収入金額には、敷金や保証金などのうち返還を要しないものが含まれます(No.1370)。
係争中の賃貸料は判決・和解の日
賃貸借契約があるかどうかをめぐる争いで、判決や和解によって、所有者が係争期間中の賃貸料相当額を受け取ることになった場合は、その判決や和解のあった日に収入を計上します。未払賃貸料の請求をめぐる争いは、この扱いに含まれません。
賃貸料の額をめぐる争いで、弁済のために供託された金額は、前の「家賃・地代・共益費」の基準(支払日、または実際に支払を受けた日)で計上します(No.1376)。
架空条件の計算例
次の表は、説明用の架空条件です。金額は税抜きや税込みの区別をせず、考え方だけを示しています。
| 架空の場面 | 計上する年 | 根拠の基準 |
|---|---|---|
| 契約で毎月25日払いと決まっている12月分の家賃を、借主が12月28日に払った | その年(12月25日) | 契約で定められた支払日 |
| 12月20日に契約し、礼金12万円を受け取ったが、物件の引渡しは翌年1月10日 | 翌年 | 引渡しが必要な契約は引渡しの日 |
| 敷金30万円を預かり、退去時に全額返す約束 | 収入にならない | 預り金のため |
| 預かった敷金のうち5万円は返還しないと、退去の年に確定した | 確定した年に5万円 | 返還を要しないことが確定した日 |
一つ目の例は、実際に払われた日ではなく、契約が決めた支払日で年を決める点がポイントです。契約書に支払日の定めがあるかを、申告の前に確認してください。
未収の家賃は事業的規模かどうかで扱いが変わる
家賃を回収できなくなったときの扱いは、不動産貸付けが事業として行われているかどうかで分かれます(No.1373)。
| 貸付けの規模 | 回収不能になった賃貸料の扱い |
|---|---|
| 事業として行われている | 回収不能となった年の必要経費にする |
| 事業として行われていない | 収入に計上した年分までさかのぼって、その分の所得がなかったものとして所得金額を計算し直す |
事業として行われているかどうかは、建物の貸付けなら、貸間・アパートで独立した室数がおおむね10室以上、独立家屋でおおむね5棟以上が、原則の基準です(No.1373)。
次に知りたいこと
不動産所得の赤字と損益通算(土地の借入金利子など、通算できない損失)
家賃・敷金・駐車場の消費税(住宅は非課税、事務所・店舗は課税)
不動産賃貸・駐車場の個人事業税(10室・10棟・10台の基準)
まとめ
- 家賃・地代・共益費は、契約や慣習で定めた支払日に計上する。定めがなければ実際に受け取った日。
- 礼金・権利金・更新料などは、引渡しが必要な契約は引渡しの日、不要な契約は契約の効力発生の日。
- 敷金・保証金は預り金で、返還を要しないと確定した部分だけを、確定した日に収入にする。
- 判決・和解で受け取る係争期間中の賃貸料相当額は、判決・和解のあった日。
- 回収できない家賃は、事業的規模かどうかで必要経費にするか、収入からさかのぼって除くかが分かれる。
よくある質問
- 12月分の家賃を翌月に受け取ったら、どの年の収入ですか?
- 契約や慣習で支払日が定められていれば、その支払日の年です。たとえば翌月5日払いと決まっていれば、受け取った翌年の収入になります(出典:国税庁タックスアンサー No.1376)。
- 礼金はいつの収入になりますか?
- 貸す資産の引渡しが必要な契約は引渡しのあった日、必要でない契約は契約の効力発生の日の収入です(出典:国税庁タックスアンサー No.1376)。
- 預かった敷金は収入になりますか?
- 敷金は本来預り金のため、受け取った時点では収入になりません。返還を要しないことが確定した部分を、その日に収入に計上します(出典:国税庁タックスアンサー No.1376)。
- 更新料は不動産所得に含まれますか?
- 含まれます。名義書換料、承諾料、更新料または頭金などの名目で受領するものは、総収入金額に入ります(出典:国税庁タックスアンサー No.1370)。
- 家賃を回収できなかったときは、必要経費にできますか?
- 不動産貸付けが事業として行われている場合は、回収不能となった年の必要経費にします。それ以外の場合は、収入に計上した年分までさかのぼって所得金額を計算し直します(出典:国税庁タックスアンサー No.1373)。
公式一次情報
- 国税庁 タックスアンサー No.1376 不動産所得の収入計上時期(家賃・礼金・敷金・係争。2026-10-22確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)(総収入金額に含まれるもの。2026-10-22確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分(貸倒損失の扱い。2026-10-22確認)
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