外形標準課税の対象法人|資本金1億円超・減資・100%子法人の要件
法人事業税の外形標準課税がかかる法人の判定を説明します。事業年度末日の資本金、令和7年4月以後の減資への対応、令和8年4月以後の100%子法人等への対応、判定の架空例を説明します。
法人化(法人成り)外形標準課税は、法人事業税のうち、所得だけでなく事業の規模にも税がかかる仕組みです。事業年度末日の資本金が1億円以下でも、減資への対応と100%子法人等への対応の要件に当たると対象になります。
法人成りで設立した一人会社の資本金は、多くが数百万円から数千万円です。この記事は、その会社が将来の増資で対象になる境目と、資本金を減らしても対象のままになる場合を整理します。通常の所得割の税率は法人事業税の税率の解説で扱っています。
外形標準課税の仕組み
外形標準課税の対象になる法人の法人事業税は、付加価値割・資本割・所得割の3つで計算します。付加価値割は報酬給与額・純支払利子・純支払賃借料などをもとにし、資本割は資本金等の額をもとにします(東京都主税局)。
地方税法72条の2は、外形標準課税の対象にならない法人を限定して並べています。そこに当たらない法人は、外形標準課税の対象になります(東京都主税局)。
東京都は、外形標準課税の対象法人に超過税率を適用しています(都税条例33条、同附則5条の2)。道府県ごとに税率が異なるため、税額は事務所のある都道府県の案内で確認してください。
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資本金1億円超は事業年度末日で判定
基本の対象は、事業年度末日において、資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人です(東京都主税局)。「超える」ため、ちょうど1億円は含まれません。
判定の日は事業年度の途中ではなく、事業年度末日です。増資をする月を決めるときは、その事業年度の末日の資本金がいくらになるかを見ます。
減資への対応(令和7年4月1日以後開始の事業年度)
資本金を1億円以下に減らしても、次の3つをすべて満たす法人は外形標準課税の対象です(法附則8条の3の3、東京都主税局)。
- 前事業年度が、外形標準課税の対象法人だった
- 事業年度末日の資本金が1億円以下
- 事業年度末日の払込資本の額が10億円超(払込資本の額は、会計上の資本金と資本剰余金の合計額)
資本金を減らしても、資本剰余金に振り替えれば払込資本の額は変わりません。そのため、資本金だけを見る判定では外れません。減資の手続き自体は減資の手続きの解説で扱っています。
令和7年4月1日以後に最初に開始する事業年度には、初年度の経過措置があります。公布日(令和6年3月30日)を含む事業年度の前事業年度から、最初の事業年度の前事業年度までのいずれかが対象法人であれば、前事業年度が対象でなくても要件に当たります(令和6年改正法附則7条2項)。ただし、最初の事業年度末日の資本金が1億円以下で払込資本が10億円超であることが前提です。
除外される場合もあるため、詳しくは東京都主税局の適用例で確認してください。
100%子法人等への対応(令和8年4月1日以後開始の事業年度)
資本金が1億円以下でも、次の要件をすべて満たす法人は対象です(東京都主税局)。
- 事業年度末日の資本金が1億円以下
- 特定法人との間に完全支配関係がある法人、または100%グループ内の複数の特定法人に発行済株式の全部を持たれている法人
- 事業年度末日の払込資本の額(資本金+資本剰余金)が2億円超
特定法人は、払込資本の額が50億円超の法人と、保険業法の相互会社(外国相互会社を含む)です(東京都主税局)。この要件は親会社が大きい子会社を対象にしているため、親が個人の一人会社は、特定法人には当たりません。
架空条件の判定例
次の表は、説明用の架空条件です。実際の判定は、決算書と登記の内容で行ってください。
| 架空の会社 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 資本金1,000万円の一人会社(前事業年度は対象外で、特定法人の子会社でもない) | 対象外 | 資本金が1億円以下で、減資への対応と100%子法人等の要件にも当たらない |
| 事業年度末日の資本金がちょうど1億円 | 基本の基準では対象外 | 1億円「超」ではない |
| 事業年度末日の資本金が1億5,000万円 | 対象 | 1億円を超える |
| 前事業年度が対象。資本金を1億円に減資し、資本剰余金を含む払込資本が12億円(令和7年4月1日以後開始の事業年度) | 対象 | 減資への対応の3要件を満たす |
| 前事業年度が対象。減資後の払込資本がちょうど10億円 | 対象外 | 10億円「超」ではない |
| 資本金3,000万円。払込資本の額が60億円の会社に発行済株式の全部を持たれ、自社の払込資本が2億5,000万円(令和8年4月1日以後開始の事業年度) | 対象 | 100%子法人等への対応の3要件を満たす |
法人成りで資本金を決めるときの考え方は資本金の決め方の解説、増資の登記は増資の手続きの解説で確認できます。
次に知りたいこと
法人事業税の税率|資本金1億円以下は所得割のみ(通常の所得割の税率表と計算例)
法人住民税の均等割は赤字でもかかるか(資本金等の額と従業者数で決まる定額部分)
法人の中間申告(中間申告が必要になる場合と手順)
まとめ
- 基本の対象は、事業年度末日の資本金が1億円を超える法人(東京都主税局)。
- 減資への対応は、前事業年度が対象で、資本金1億円以下、払込資本10億円超の法人(令和7年4月1日以後開始の事業年度)。
- 100%子法人等への対応は、特定法人と完全支配関係があり、資本金1億円以下で払込資本2億円超の法人(令和8年4月1日以後開始の事業年度)。
- 払込資本の額は、会計上の資本金と資本剰余金の合計額。
- 一人会社で資本金が数千万円以下なら、通常は対象になりません。増資や減資の前に、事業年度末日の資本金と払込資本の見込みを決算書で確認してください。
よくある質問
- 外形標準課税はどんな法人が対象ですか?
- 事業年度末日の資本金が1億円を超える法人が基本です。令和7年4月1日以後開始の事業年度からは減資への対応、令和8年4月1日以後開始の事業年度からは100%子法人等への対応の要件を満たす法人も対象です(出典:東京都主税局)。
- 資本金を1億円以下に減らせば対象から外れますか?
- 外れない場合があります。前事業年度が対象で、事業年度末日の払込資本の額(資本金と資本剰余金の合計額)が10億円を超えると、資本金が1億円以下でも対象です(出典:法附則8条の3の3、東京都主税局)。
- 資本金がちょうど1億円の会社は対象ですか?
- 基本の基準は1億円を「超える」法人です。ちょうど1億円は基本の基準では対象になりません。ほかの要件に当たるかは別に確認します(出典:東京都主税局)。
- 払込資本の額とは何ですか?
- 会計上の資本金と資本剰余金の合計額です。減資への対応と100%子法人等への対応では、事業年度末日の金額で判定します(出典:東京都主税局)。
- 法人成りで設立した一人会社も対象になりますか?
- 資本金が1億円以下で、100%子法人等の要件の特定法人(払込資本50億円超の法人や相互会社)の子会社でなければ、通常は対象になりません。実際の判定は都道府県の案内か税理士へ確認してください。
公式一次情報
- 東京都主税局 外形標準課税の対象法人の見直し及び中間申告義務判定に関する改正について(減資への対応、100%子法人等への対応、払込資本の額。2026-10-17確認)
- 東京都主税局 法人事業税に係る外形標準課税の概要(対象法人、付加価値割・資本割、東京都の超過税率。2026-10-17確認)

