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減資(資本金の額の減少)の手続き|株主総会・債権者への公告・登記と登録免許税3万円

株式会社が資本金を減らす「減資」について、会社法が定める株主総会の決議、債権者が異議を述べられる期間、効力が生じる日、登記の期限と費用を説明します。

法人化(法人成り)
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

法人成りで会社を作るとき、資本金は自分で決めます。あとから「多く入れすぎた」「欠損が出たので整理したい」と考えて、資本金の額を減らしたくなる場面があります。これが減資(資本金の額の減少)です。

減資は、増資と違って株主総会の決議だけでは終わらず、会社に貸している債権者に異議を述べる機会を与える手続きが必要です。この記事は、株式会社の減資の流れと、登記に必要な書類・費用を整理します。外形標準課税の対象だった法人が減資するときの扱いは外形標準課税の対象法人で確認できます。

減資の流れ(4つの手順)

会社法447条は、株式会社は資本金の額を減少できるとしています。手順は次の4つです。

手順内容根拠
1. 株主総会の決議減少する額、準備金にするときはその額、効力が生じる日を決める会社法447条
2. 債権者保護の手続き官報に公告し、知れている債権者には各別に催告する。異議を述べる期間は1か月以上会社法449条
3. 効力の発生決議で定めた効力発生日(債権者保護の手続きが終わっていることが前提)会社法449条6項
4. 変更の登記変更が生じたときから2週間以内に本店の所在地で申請会社法915条1項

株主総会で決めること

減資の株主総会では、会社法447条1項が次の3つを決めるよう定めています。

  • 減少する資本金の額
  • 減少する額の全部または一部を準備金にするときは、その旨と準備金にする額
  • 資本金の額の減少が効力を生じる日

減少する額は、効力発生日の時点の資本金の額を超えられません(447条2項)。

決議の種類は、原則として特別決議です。会社法309条2項9号は、447条1項の株主総会を特別決議が必要な決議に挙げています。

ただし、定時株主総会で決め、かつ減少する額が定時株主総会の日の欠損の額を超えない場合は、特別決議にしなくて足ります。法務局の記載例も、この場合は普通決議で足りるとしています。

特別決議は、議決権を行使できる株主の議決権の過半数(定款で3分の1以上に下げられる)を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。議事録の作り方は株主総会議事録の作り方で扱っています。

債権者への公告と催告

資本金は会社の債権者にとっての担保の目安になるため、減らすときは債権者が異議を述べられます(会社法449条1項)。

会社は次の3つを官報に公告し、知れている債権者には各別に催告しなければなりません。異議を述べられる期間は、1か月を下ることができません。

  • 資本金の額の減少の内容
  • 計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの
  • 債権者が一定の期間内に異議を述べることができること

公告を官報のほか、定款で定めた電子公告または日刊新聞紙への掲載でも行う場合は、各別の催告は不要です(449条3項)。公告方法の決め方は決算公告の方法と義務でも触れ、変更の手順は公告方法の変更手続きにあります。

債権者の対応は次のように分かれます。

債権者の対応会社がすること
期間内に異議を述べなかった減資を承認したものとみなされる(449条4項)
期間内に異議を述べた弁済する、相当の担保を提供する、または弁済を受けさせるために信託会社等へ財産を信託する。減資しても債権者を害するおそれがないときは不要(449条5項)

債権者保護の手続きが終わっていなければ、決議で定めた効力発生日が来ても減資の効力は生じません(449条6項)。効力発生日は、その日の前であればいつでも変更できます(449条7項)。

登記の期限と必要書類

資本金の額は登記事項です。減少の効力が生じたら、2週間以内に本店の所在地で変更の登記を申請します(会社法915条1項)。法務局の「資本金の額の減少」の記載例では、登記すべき事項は変更後の資本金の額、原因年月日は株主総会で決議した効力発生日です。

項目記載例の内容
登録免許税3万円
株主総会議事録1通
株主リスト株主の氏名または名称、住所、議決権数等を証する書面1通
欠損の額を証する書面定時株主総会で決め、減少額が欠損の額を超えない場合に添付。代表者が作成した証明書でよい
公告・催告をしたことを証する書面官報の掲載など
異議を述べた債権者への対応を証する書面異議を述べた債権者がいない場合は、申請書に「異議を述べた債権者はない」と記載する
委任状代理人に申請を委任した場合のみ

記載例には、官報に載せる「資本減少公告」の文例もあります。「この決定に対し異議のある債権者は、本公告掲載の翌日から1箇月以内にお申出ください」という形で、1か月の期間が示されています。官報掲載に費用がかかるかどうか、掲載までの日数はこの記事では確認できていません。

税金との関係で確認すること

資本金の額は、税の区分の判定に使われる場合があります。たとえば国税庁の法人税の税率の案内では、資本金1億円以下の法人などが、所得のうち年800万円以下の部分の軽減税率の対象として整理されています。資本金の額が変わると、こうした区分に影響する場合があります。

減資をしても、設立時の消費税の「資本金1,000万円以上で免税にならない」という判定は、設立1期目と2期目の話で、後から変わるものではありません(法人成りと消費税の免税)。減資後の税額への影響は、この記事では確認できた範囲を超えるため、税理士や所轄の税務署・都道府県税事務所に確認してください。

配当時に積み立てる準備金(資本金の4分の1が上限)は利益準備金とは、設立時の資本金の決め方は資本金の決め方、資本金に関わる地方税(均等割)は赤字でも払う均等割で扱っています。

まとめ

  • 減資は株主総会で、減少額・準備金にする額・効力発生日を決める(会社法447条)。
  • 決議は原則特別決議。定時株主総会で決め、減少額が欠損の額を超えないときは普通決議で足りる(会社法309条2項9号)。
  • 官報に公告し、知れている債権者には各別に催告する。異議を述べられる期間は1か月以上(会社法449条)。
  • 債権者保護の手続きが終わらないと、効力発生日が来ても効力は生じない。
  • 効力が生じてから2週間以内に変更登記を申請する。登録免許税は記載例で3万円。

よくある質問

減資は株主総会の決議だけでできますか?
できません。決議のほかに、官報への公告と知れている債権者への各別の催告が必要です。異議を述べられる期間は1か月以上です(出典:会社法449条)。
減資の決議は特別決議が必要ですか?
原則は特別決議です。定時株主総会で決め、かつ減少する額が欠損の額を超えない場合は、特別決議にしなくて足ります(出典:会社法309条2項9号、法務局「株式会社変更登記申請書(資本金の額の減少)」)。
債権者が異議を述べたらどうなりますか?
会社は、その債権者に弁済するか、相当の担保を提供するか、信託会社等に財産を信託します。減資しても債権者を害するおそれがないときは不要です(出典:会社法449条5項)。
減資の登記はいつまでに申請しますか?
変更が生じたときから2週間以内に、本店の所在地で申請します(出典:会社法915条1項)。
減資の登録免許税はいくらですか?
法務局の「資本金の額の減少」の記載例では3万円です(出典:法務局「株式会社変更登記申請書(資本金の額の減少)」)。

商号や本店など、ほかの変更との期限・費用の比較は会社の変更手続き早見表にあります。

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次に知りたいこと

本記事について。税理士監修前の概説です。制度・期限は改正される場合があります。個別の判断は法務局または専門家へご確認ください。