公告方法の変更手続き(官報から電子公告へ・登記は2週間以内)
株式会社が公告方法を官報から電子公告などに変えるときの、定款変更・登記・電子公告の掲載期間を、会社法の条文と法務省の資料で整理します。
法人の運営公告方法とは、会社が法律で求められる公告をどの方法で行うかを、定款で定めたものです。会社法939条1項は官報・日刊新聞紙・電子公告の3つを挙げ、定款に定めがない会社は官報になります(同条4項)。設立のときに何も決めなかった株式会社は、官報が公告方法です。
官報の掲載料を毎年払う負担や、決算公告を自社サイトで済ませたい事情から、公告方法を電子公告へ変える会社があります。変更には、株主総会の決議、定款の書き換え、本店所在地での変更登記の3つが要ります。
決算公告そのものの義務と過料は決算公告の記事にまとめています。本記事は、公告方法を変えるときの手順と、変えたあとの掲載のきまりを扱います。官報で公告する場合の要旨の書き方は決算公告の貸借対照表の要旨にあります。
定款で選べる公告方法と、定めがないときの扱い
会社法939条1項が定める公告方法は、1号が官報に掲載する方法、2号が時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法、3号が電子公告です。
電子公告を選ぶ場合は、同条3項により「電子公告を公告方法とする」と定めれば足ります。事故などで電子公告ができない場合に備えて、予備の方法として官報か日刊新聞紙を定款に加えることもできます(同項後段)。
| 定款の状態 | 公告方法 | 根拠 |
|---|---|---|
| 定めがない | 官報 | 会社法939条4項 |
| 官報または日刊新聞紙と定めた | その方法 | 同条1項1号・2号 |
| 電子公告と定めた | 電子公告(予備の方法も併記できる) | 同条1項3号・3項 |
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定款変更には株主総会の特別決議が要る
株式会社の定款の変更は、会社法466条により株主総会の決議で行います。第6章から第8章までの規定で株主総会の決議を要する場合は、同法309条2項11号により特別決議になります。定款変更は第6章にあたるため、公告方法の変更も特別決議の対象です。
特別決議は、議決権を行使できる株主の議決権の過半数(定款で3分の1以上の割合も定められます)を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上(定款で上回る割合も定められます)の賛成で成立します。株主が代表者1人だけの会社でも、決議をした事実を株主総会議事録に残します。
議事録の作り方と電子署名の扱いは電子定款と印紙税や定時株主総会の開き方の記事を参照してください。
変更登記は2週間以内に本店所在地で行う
公告方法は登記事項です。株式会社の登記事項は、会社法911条3項の27号から29号に3つあります。
- 27号:公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め
- 28号:電子公告を定めたときは、電子公告のアドレスなど法務省令で定める事項
- 29号:定款の定めがないときは、官報に掲載する方法を公告方法とする旨
登記事項に変更が生じたときは、会社法915条1項により2週間以内に本店の所在地で変更登記をしなければなりません。法務局は申請書の様式として「株式会社変更登記申請書(公告方法の変更)」の記載例を公開しています。
- 電子公告に変えるときは、公告を掲載するウェブページのアドレスも登記する(911条3項28号)。
- 登録免許税は収入印紙で納める。額は登記の種類で決まるため、申請前に法務局の案内で確認する。
- 本店の移転や役員の変更と同じ時期にまとめて申請するかは、2週間の期限から逆算して決める(本店移転の登記)。
電子公告にしたときの掲載期間
電子公告は、公告を出して終わりではなく、一定の期間ウェブ上に置き続けます。会社法940条1項は、公告の区分ごとに期間を定めています。
| 公告の区分 | 掲載を続ける期間(940条1項) |
|---|---|
| 決算公告(440条1項) | 定時株主総会の終結の日後5年を経過する日まで |
| 異議を述べることができる旨の公告(債権者保護など) | 公告に定める異議の期間を経過する日まで |
| 特定の日の一定期間前に公告する場合 | その特定の日まで |
| 上記以外の公告 | 公告の開始後1か月を経過する日まで |
公告期間中に掲載が途切れた場合でも、同条3項は、次の3つをすべて満たせば公告の効力に影響しないとしています。
- 中断について、会社が善意でかつ重大な過失がない、または会社に正当な事由がある。
- 中断した時間の合計が、公告期間の10分の1を超えない。
- 中断を知ったあと速やかに、その旨・時間・内容を公告に付して公告した。
解散のときの債権者への公告は、官報に載せる方法が基本です。手順は解散時の債権公告で説明しています。
電子公告調査が要る公告と要らない決算公告
会社法941条は、電子公告で公告をしようとする会社に、公告期間中、情報が不特定多数の人に見られる状態にあるかどうかについて、法務大臣の登録を受けた調査機関の調査を受けることを求めています。ただし、440条1項の決算公告は、この調査の対象から除かれています。
このため、電子公告を公告方法にしても、決算公告だけなら調査機関への依頼は要りません。債権者保護手続の公告など、ほかの公告を電子公告で行う場面では、調査機関への依頼が必要になります。法務省は電子公告制度の説明で、電子公告を公告方法とする会社が決算公告をするときは要旨ではなく全文を公告するとしています。
合同会社の場合
合同会社は決算公告の義務がありません。それでも、解散時の債権者への公告などの場面では公告方法が関わるため、公告方法は登記事項になっています。会社法914条9号から11号が、株式会社の911条3項27号から29号とほぼ同じ形で定めています。
定款の変更に必要な決議の要件は、株式会社の特別決議とは仕組みが違います。合同会社で公告方法を変えるときは、定款の定めを確認したうえで、司法書士か法務局に相談してください。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「会社法第939条(会社の公告方法)」(2026-10-16確認)
- e-Gov法令検索「会社法第940条(電子公告の公告期間等)」・第941条(電子公告調査)(2026-10-16確認)
- e-Gov法令検索「会社法第911条(株式会社の設立の登記)」・第914条・第915条(変更の登記)(2026-10-16確認)
- e-Gov法令検索「会社法第466条(定款の変更)」・第309条(株主総会の決議)(2026-10-16確認)
- 法務局「商業・法人登記の申請書様式」(株式会社変更登記申請書〈公告方法の変更〉)(2026-10-16確認)
- 法務省「電子公告制度について」(2026-10-16確認)
まとめ
- 公告方法は官報・日刊新聞紙・電子公告の3つで、定款に定めがなければ官報(会社法939条)。
- 株式会社の公告方法の変更は、株主総会の特別決議による定款変更(466条・309条2項11号)。
- 変更登記は2週間以内に本店所在地で行い、電子公告ならアドレスも登記する(915条1項・911条3項)。
- 電子公告は区分ごとの期間掲載を続ける。決算公告は5年で、調査機関の調査は不要(940条・941条)。
次に知りたいことは、決算公告の義務と過料、他社の決算公告の探し方、解散時の債権公告、合同会社と株式会社の違い、特例有限会社の決算公告の記事で確認できます。
よくある質問
- 公告方法を定款で決めていないと、どうなりますか?
- 会社法939条4項により、公告方法は官報に掲載する方法になります。
- 公告方法を変えるには、何が必要ですか?
- 株主総会の特別決議による定款の変更と、本店所在地での変更登記が必要です。登記は変更から2週間以内です(会社法915条1項)。
- 電子公告にすると、決算公告も調査機関に頼むのですか?
- 頼みません。会社法941条は、440条1項の決算公告を電子公告調査の対象から除いています。
- 電子公告にした場合の決算公告は、いつまで載せますか?
- 定時株主総会の終結の日後5年を経過する日まで、継続して掲載します(会社法940条1項2号)。
- 合同会社も公告方法を登記しますか?
- 定款に公告方法の定めがあるときは、その定めが登記事項です(会社法914条)。定めがないときは、官報を公告方法とする旨が登記されます。

