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法人が配当を出す手続き|決議・分配可能額・源泉徴収

一人社長の会社が株主へ剰余金の配当を出すには、決議、配当できる上限(分配可能額)、源泉所得税の納付期限、受け取る側の確定申告を押さえる必要があります。

会社法・国税庁
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

法人成りした会社で利益が残ったとき、役員報酬とは別に、株主へ配当を出す方法があります。ただし配当は、決議の手続きと金額の上限が会社法で決まっており、守らないと責任を問われます。

この記事では、配当を出す側の手続きと、受け取る側の税の流れを扱います。役員報酬と配当のどちらが有利かは、個別の事情で変わります。

配当を決めるときの決議

会社法第453条は、株式会社が株主に対して剰余金の配当をすることができると定めています。第454条第1項は、配当をするたびに、株主総会の決議で次の3点を決めることを求めています。

  • 配当財産の種類と、帳簿価額の総額
  • 株主に対する配当財産の割当てに関する事項
  • 配当の効力が生じる日

株主総会の決議は、定款に別段の定めがなければ、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数で決まります(第309条第1項)。

取締役会を置く会社は、定款に定めれば、1事業年度の途中に1回に限り、取締役会の決議で金銭による配当(中間配当)をすることができます(第454条第5項)。

決算後の定時株主総会で決算の承認とあわせて配当を決める流れは、定時株主総会と決算の承認で整理しています。

配当できる上限:分配可能額

第461条第1項第8号は、剰余金の配当で株主へ交付する金銭等の帳簿価額の総額が、その効力が生じる日の分配可能額を超えてはならないと定めています。

分配可能額は、第461条第2項により、剰余金の額などの合計から、自己株式の帳簿価額などを引いた額です。決算書の純資産に利益剰余金があっても、自己株式を持っていれば、その分は上限から引かれます。

第458条は、会社の純資産額が300万円を下回る場合、配当の根拠である第453条から第457条までの規定を適用しないと定めています。この場合は、剰余金があっても配当を出せません。

分配可能額を超えて配当した場合、第462条により、配当を受けた株主と業務執行者などは、会社に対して連帯して、交付された金銭等の帳簿価額に相当する金額を支払う義務を負います。業務執行者は、職務について注意を怠らなかったことを証明すれば義務を負わないとされています(同条第2項)。配当の前に、決算書で純資産額、剰余金の額、自己株式の有無を確認してください。

自己株式を持っている会社の扱いは、自己株式の取得とみなし配当で整理しています。

配当をするときは、配当で減る剰余金の10分の1を準備金として積み立てる義務もあります。積立ての計算は利益準備金とはで整理しています。

配当から引く源泉所得税と納付期限

国税庁のタックスアンサーNo.1330によると、配当を支払う会社は、支払の際に所得税等を源泉徴収します。上場株式等以外の配当等は、税率20.42%(所得税と復興特別所得税。地方税なし)で、非上場の中小企業の配当はこの区分です。

No.2505によると、源泉徴収した所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに国へ納めます。納期の特例(半年分をまとめて納める制度)の対象は、給与・退職金と、税理士などへの一定の報酬から引いた税に限られています。

同ページは配当について直接書いていませんが、対象が限られているため、配当から引いた税は納期の特例の対象外と読めます。給与の納期の特例を使っている会社でも、配当の源泉所得税は原則の期限で納める前提で、管轄の税務署に確認してください。

No.1330には、令和9年1月1日以後に生ずる所得から復興特別所得税の税率が下がり、防衛特別所得税が加わるとの注記があります。20.42%は現行の税率で、令和9年以後は変わります。

納期の特例の仕組みは、源泉所得税の納期の特例で整理しています。

受け取った株主の確定申告

受け取る側の計算例は配当金の確定申告で扱っています。ここでは、会社が株主へ説明するときに必要な要点だけを示します。

No.1330によると、配当所得は原則として総合課税の対象で、確定申告をします。上場株式等以外の配当等は、申告分離課税は選べません。

確定申告をしなくてよい少額配当の基準は、次の計算式で決まります。1回に支払を受ける配当等の額が、この金額以下なら申告は不要です。

項目内容
少額配当の基準10万円 × 配当計算期間の月数 ÷ 12
月数の数え方1年を超えるときは12月、1月に満たない端数は1月
申告不要を選んだとき源泉徴収された税額は、所得税額から差し引けない

総合課税にした配当所得には、配当控除があります。No.1250によると、課税総所得金額等が1,000万円以下の場合、剰余金の配当等に係る配当所得の金額に10%を掛けた額が控除されます。1,000万円を超える場合は、超える部分に別の率が適用されます。

申告不要とするか、総合課税にして源泉徴収税額と配当控除を使うかは、ほかの所得や社会保険料への影響で結果が変わります。個別の試算は税理士に確認してください。

公式一次情報

まとめ

配当は、そのたびに株主総会で決議し、効力が生じる日の分配可能額を超えない範囲で行います。非上場会社の配当には20.42%が源泉徴収され、納付は原則として翌月10日までです。受け取った株主は、総合課税で確定申告するか、少額配当なら申告を省くかを選びます。

次に知りたいことは、役員報酬の決め方、配当所得と確定申告、源泉所得税の納期の特例の記事で確認できます。

よくある質問

配当は、毎年同じ金額で出す必要がありますか?
会社法第454条は、配当をするたびに株主総会の決議で内容を決めると定めています。金額を毎年同じにする決まりは、確認できませんでした。
赤字の年でも配当を出せますか?
上限は当期の損益ではなく、効力が生じる日の分配可能額です(会社法第461条)。分配可能額があれば条文上は赤字の年でも禁止されていませんが、純資産額が300万円を下回る場合は配当できません(第458条)。
配当の源泉所得税は、半年分まとめて納められますか?
納期の特例の対象は、給与・退職金と、税理士などへの一定の報酬から引いた税に限られます。配当から引いた税は対象外で、原則として支払った月の翌月10日までに納めます。
受け取った配当が少額なら、確定申告は不要ですか?
1回に支払を受ける配当等の額が、10万円に配当計算期間の月数を掛けて12で割った金額以下なら、申告は不要です。申告不要を選んだ場合、源泉徴収された税額は所得税額から差し引けません。
本記事について。税理士監修前の概説です。配当の額や税の扱いは会社の決算内容や株主の所得により異なるため、実際に配当を行うときは税理士に確認してください。