ガイド

清算開始時の財産目録と貸借対照表の作り方

会社を解散すると、清算人は就任後すぐに、会社の財産を調べて財産目録と貸借対照表を作ります。いつの時点のものを作るか、誰の承認が要るか、どんな価額で載せるか、いつまで保存するかを、会社法と会社法施行規則の条文で整理します。株式会社と合同会社の違いも表にまとめました。

会社法492条・658条
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

解散した株式会社の清算人は、就任後遅滞なく、会社の財産の現況を調べ、財産目録と貸借対照表を作らなければなりません(会社法492条1項)。合同会社などの持分会社も、同じ書類を作って各社員に内容を通知します(会社法658条1項)。

この2つの書類は、清算の出発点になる数字です。ここで会社に残る財産の額が決まり、債権者への弁済や、株主・社員への分配の見通しが立ちます。清算全体の流れは法人解散から清算結了までの流れにあります。

作る書類と、基準にする日

作るのは、財産目録と貸借対照表の2つです。会社法はこの2つをまとめて「財産目録等」と呼んでいます。

基準にする日は、株式会社では、会社法475条各号の場合に当たることになった日です。475条1号は、解散した場合(合併による解散などを除く)を挙げています。解散の日の時点の財産の状態を示す書類になります。

作る人は清算人です。清算人になる人の決まり方は、清算人の解説を参照してください。

株式会社の承認と合同会社の通知

作ったあとの手続きは、会社の種類で変わります。

項目株式会社(492条)合同会社など持分会社(658条)
作成する人清算人(その就任後遅滞なく)清算人(その就任後遅滞なく)
作成後の手続き株主総会に提出し、承認を受ける(清算人会設置会社は、先に清算人会の承認)各社員にその内容を通知する
保存作成した時から清算結了の登記の時まで作成した時から清算結了の登記の時まで

株式会社では、清算人が書類を作るだけでは終わらず、株主総会の承認を受ける必要があります(492条3項)。合同会社には承認の定めはなく、各社員への通知です。

合同会社では、社員が請求したときに、毎月、清算の状況を報告することも定められています(658条3項)。

財産目録に付ける価額(処分価格)

株式会社の財産目録の作り方は、会社法施行規則144条が定めています。合同会社など持分会社の基準日は、会社法644条各号の場合に当たることになった日です(658条1項)。

  • 財産には、基準日(475条各号の場合に当たることになった日)における処分価格を付ける。処分価格を付けることが困難な場合は除く(同条2項)
  • 会計帳簿は、財産目録に付けた価格を取得価額とみなす(同条2項)
  • 資産・負債・正味資産の3つの部に区分して表示する(同条3項)

処分価格は、会社を続ける前提の帳簿価額ではなく、清算で財産を処分するときの価額です。そのため、決算書の数字と一致しないことがあります。

法人税の手続きでも、債務超過かどうかを実態貸借対照表で確かめる場面があります。会社法の財産目録とは根拠の法律が別の書類です。税務側の考え方は解散時の期限切れ欠損金の損金算入で説明しています。

貸借対照表と財産目録の関係

株式会社の清算開始時の貸借対照表は、会社法施行規則145条が定めています。

  • 財産目録に基づいて作る(同条2項)
  • 資産・負債・純資産の3つの部に区分して表示する(同条3項)
  • 処分価格を付けることが困難な資産があるときは、その資産の財産評価の方針を注記する(同条4項)

つまり、先に財産目録を固め、それを貸借対照表に移す順序です。財産目録は「正味資産」、貸借対照表は「純資産」と、最後の部の名前が違う点にも注意してください。

保存の期間と、清算中に続く書類

財産目録等は、作成した時から本店の所在地での清算結了の登記の時まで保存します(492条4項・658条2項)。清算結了後の帳簿資料は、別に10年間の保存義務があります。清算結了後の帳簿資料の保存で確認できます。

清算が始まってからは、次の書類も続きます。

書類株式会社の根拠内容
各清算事務年度の貸借対照表・事務報告・附属明細書494条1項清算事務年度ごとに作る。貸借対照表と附属明細書は清算結了の登記の時まで保存(同条3項)
決算報告507条1項清算事務が終わったときに遅滞なく作る。株主総会の承認を受ける(同条3項)

決算報告について株主総会の承認があると、任務を怠ったことによる清算人の損害賠償責任は免除されたものとみなされます。ただし、清算人の職務の執行に不正の行為があったときは別です(507条4項)。

次に読む

公式一次情報

本記事について。税理士監修前の概説です。財産目録の様式や、処分価格の付け方は、会社の資産の内容によって異なります。実際に解散するときは、司法書士・弁護士・税理士へ確認してください。