会社の清算結了後の帳簿資料の保存(10年間・保存する人と裁判所の選任)
会社を解散して清算結了の登記を済ませたあとも、帳簿などの資料は10年間保存しなければなりません。誰が保存するのか、何を保存するのか、裁判所が保存する人を選ぶ場合まで、会社法の条文で整理します。
2026年時点の制度会社が清算を終えて登記簿が閉鎖されても、帳簿と、事業および清算に関する重要な資料は、清算結了の登記の時から10年間保存する義務があります。株式会社は会社法508条、合同会社は672条が定めています。
解散から清算結了までの手続きに気を取られていると、最後のこの保存義務が抜けやすくなります。保存する人の決め方は、株式会社と合同会社で少し違います。
清算の開始時に作る財産目録と貸借対照表の保存の期間は清算開始時の財産目録と貸借対照表の作り方で確認できます。
株式会社と合同会社の条文の対応
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 保存義務の条文 | 会社法508条 | 会社法672条 |
| 保存の期間 | 清算結了の登記の時から10年間 | 清算結了の登記の時から10年間 |
| 原則の保存者 | 清算人 | 清算人 |
| 保存者を別に定める方法 | 裁判所が利害関係人の申立てで選任 | 定款または社員の過半数で定める、または裁判所が選任 |
清算結了の登記そのものの期限は、どちらも承認の日から2週間以内です(会社法929条)。登記の流れは解散後の債権者への公告と催告の末尾にまとめています。
保存の期間は清算結了の登記の時から10年
会社法508条1項は、清算人は本店の所在地における清算結了の登記の時から10年間、帳簿資料を保存しなければならないと定めています。数え始めるのは解散の日ではなく、清算結了の登記の時です。
保存の対象は、条文で「帳簿並びにその事業及び清算に関する重要な資料」とされています。会社法はこれらを「帳簿資料」と呼んでいます。何が重要な資料に当たるかは条文に列挙がなく、会社ごとの判断になります。
通常の事業年度中の帳簿書類の保存期間は、別に決まっています。一覧は法人の書類の保存期間一覧表で確認できます。
保存する人は誰か
会社の種類によって、保存する人の決まり方が違います。
- 株式会社:清算人が保存します。清算人会設置会社では、会社法489条7項各号に掲げる清算人、つまり清算人会設置会社の業務を執行する清算人です(508条1項)。
- 合同会社:原則は清算人です(672条1項)。定款で、または社員の過半数で保存する者を定めたときは、その者が保存します(同条2項)。
清算人が誰になるかは、清算人とはで整理しています。株式会社では、定款や株主総会の決議で別に定めない限り取締役が清算人になります(会社法478条1項)。その人が清算人の場合は、10年間、書類を手元に置く立場になります。
保存する人を裁判所が選ぶ場合
会社法508条2項は、利害関係人の申立てにより、裁判所が清算人に代わって帳簿資料を保存する者を選任できると定めています。合同会社でも、裁判所が保存者を選任できます(672条3項)。
選任された者も、清算結了の登記の時から10年間保存します(508条3項・672条4項)。この場合、清算人の保存義務の規定は適用されません。選任の手続にかかる費用は、会社の負担です(508条4項・672条5項)。
申立てができるのは利害関係人です。条文は、申立人の範囲を具体的には列挙していません。実際の申立ての方法は、裁判所または弁護士・司法書士へ確認してください。
登記の前に決めておくこと
清算結了の前に確認する事項は次のとおりです。
- 保存する人:清算人本人か、合同会社なら定款・社員の過半数で定めた人か
- 保存する場所:登記簿が閉鎖されたあとも、10年間は書類を取り出せる場所
- 保存する資料の範囲:総勘定元帳・決算書・議事録・契約書・清算事務の記録など、事業と清算に関する重要な資料
清算の終了時には、残余財産を受け取る株主の税金も合わせて確認してください。
電子データで帳簿を持っている場合の保存方法については、会社法の条文は形式を指定していません。電子帳簿の扱いは電子帳簿保存法のガイドで別に確認できます。
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公式一次情報
- e-Gov法令検索「会社法」(第478条・第489条・第508条・第672条・第929条)
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