みなし解散された会社の法人税申告|解散事業年度・清算事務年度・継続した場合の区切り方
休眠会社のみなし解散で会社が解散したとき、法人税の事業年度がどこで区切られ、確定申告がいつまでに何回必要になるかを、法人税法第14条と国税庁の通達にもとづき整理します。
法人税法14条・74条登記を長年放置した株式会社は、法務大臣の官報公告のあと、届出をしないと「解散したものとみなされ」ます(会社法第472条)。登記の手続きは会社を休眠させる方法で整理していますが、法人税では、解散の日で事業年度が区切られ、解散後は清算中の事業年度として申告が続きます。
このページでは、みなし解散で会社が解散した場合に、事業年度がどう分かれるか、確定申告の期限がいつか、3年以内に会社を継続した場合に事業年度がどう変わるかを、仮の日付を置いた例で示します。個別の会社の判断は、税理士にご確認ください。
法人税上の「解散の日」はいつか
法人税法第14条第1項第1号は、内国法人が事業年度の途中で解散(合併による解散を除く)をしたとき、その解散の日で事業年度が終了すると定めています。次の事業年度は、解散の日の翌日から始まります。
「解散の日」の考え方は、法人税基本通達1-2-4に示されています。解散事由の発生により解散した場合は、その事由が発生した日です(出典:国税庁)。
みなし解散では、会社法第472条が、官報公告から2か月の期間が満了した時に「解散したものとみなす」と定めています。そのため、解散の日は、この2か月の期間の満了の日と整理できます。登記簿に解散の登記が入った日ではなく、満了の日で数える点に注意してください。
事業年度は2つに分かれる(例:3月決算)
解散すると、清算中の株式会社の事業年度は、定款で決めた事業年度ではなく、会社法第494条第1項の「清算事務年度」になります。清算事務年度は、解散の日の翌日から始まる1年ごとの期間です(法人税基本通達1-2-9、会社法第494条第1項)。
したがって、解散した年度は、期首から解散の日までと、解散の日の翌日から1年間の2つに分かれます。次の表は、3月決算の会社で、解散の日が令和8年12月31日だった場合の仮の例です。
| 期間 | 呼び方 | 根拠 |
|---|---|---|
| 令和8年4月1日〜令和8年12月31日 | 解散事業年度(期首から解散の日まで) | 法人税法第14条第1項第1号 |
| 令和9年1月1日〜令和9年12月31日 | 清算中の最初の事業年度(清算事務年度) | 法人税基本通達1-2-9、会社法第494条 |
| 令和10年1月1日〜令和10年12月31日 | 清算が続く場合の次の清算事務年度 | 同上 |
日付は説明用に置いたもので、実際の解散の日は、法務省の公告と登記の内容から確認してください。
確定申告の期限と回数
法人税の確定申告書は、各事業年度の終了の日の翌日から2か月以内に提出します(法人税法第74条第1項)。事業年度が2つに分かれれば、申告書も事業年度ごとに必要です。前の例では、期限は次のようになります。
- 解散事業年度(令和8年4月1日〜12月31日):令和9年2月末まで
- 最初の清算事務年度(令和9年1月1日〜12月31日):令和10年2月末まで
清算が続く間は、清算事務年度ごとに、同じように申告の対象になります。会社を継続せず、財産の整理も進めないまま放置すると、清算事務年度が毎年積み重なります。
残余財産が確定した場合の最終の申告は、期限の扱いが別になります。詳しくは法人の解散・清算手続きと税務で整理しています。
3年以内に会社を継続した場合の事業年度
みなし解散で解散したとみなされた後、3年以内であれば、株主総会の決議で株式会社を継続できます(会社法第473条)。このとき、法人税では次のように区切られます。
法人税法第14条第1項第6号は、清算中の内国法人が事業年度の途中で継続したときは、継続の日の前日で事業年度が終了し、継続の日から新しい事業年度が始まると定めています。継続の日は、総会で日を定めたときはその日、定めなかったときは継続の決議の日です(法人税基本通達1-2-4)。
先ほどの例で、令和9年6月30日が継続の日だった場合の区切りは次のとおりです。
| 期間 | 区分 |
|---|---|
| 令和8年4月1日〜令和8年12月31日 | 解散事業年度 |
| 令和9年1月1日〜令和9年6月29日 | 清算中の事業年度(継続の日の前日まで) |
| 令和9年6月30日〜 | 継続後の事業年度(以後は法人税法第13条の定款に定める事業年度で区切る) |
継続しても、すでに終わった解散事業年度と清算中の事業年度の申告がなくなるわけではありません。継続の登記など会社法側の手続きは、会社を休眠させる方法で説明しています。
この記事で扱わない範囲
- 解散や継続の届出書の様式・提出先は、国税庁の「異動事項に関する届出」で示されています。解散・清算結了は異動届出書の対象に含まれます。
- 消費税、法人住民税・法人事業税の事業年度の扱いは、この記事では確認していません。所在地の税務署・都道府県・市区町村の案内を確認してください。
- 長期間にわたり申告をしていなかった場合の無申告加算税などは、個別の事情で変わります。税理士に相談してください。
よくある質問
- みなし解散されたら、法人税の事業年度はどうなりますか?
解散の日で事業年度が区切られ、期首から解散の日までと、解散の日の翌日から始まる清算事務年度の2つに分かれます(法人税法第14条第1項第1号、法人税基本通達1-2-9)。
- 確定申告はいつまでにしますか?
各事業年度の終了の日の翌日から2か月以内です(法人税法第74条第1項)。解散事業年度と清算事務年度ごとに、それぞれ期限があります。
- みなし解散のあとに会社を継続すると、事業年度はどうなりますか?
継続の日の前日で清算中の事業年度が終わり、継続の日から新しい事業年度が始まります(法人税法第14条第1項第6号)。継続は、解散したものとみなされてから3年以内に限られます(会社法第473条)。
- 解散の日は登記された日ですか?
登記の日ではなく、会社法第472条の2か月の期間が満了した日と整理できます。具体的な日付は、法務省の公告と登記事項証明書で確認してください。
まとめ
- みなし解散で会社が解散すると、法人税の事業年度は解散の日で区切られる。
- 解散後は、定款の事業年度ではなく、解散の日の翌日から1年ごとの清算事務年度になる。
- 確定申告は、事業年度の終了の日の翌日から2か月以内に、事業年度ごとに必要になる。
- 3年以内に継続した場合は、継続の日の前日で清算中の事業年度が終わり、継続の日から新しい事業年度が始まる。
登記の側の流れは会社を休眠させる方法を、会社をたたむときの税務全体は法人の解散・清算手続きと税務も参考にしてください。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「法人税法」(第13条 事業年度の意義、第14条 事業年度の特例〈第1項第1号 解散・第6号 継続〉、第74条 確定申告)
- e-Gov法令検索「会社法」(第472条 休眠会社のみなし解散、第473条 株式会社の継続、第494条 清算事務年度)
- 国税庁 法人税基本通達「第2節 事業年度」(1-2-4 解散・継続の日、1-2-9 清算中の事業年度が清算事務年度になること)
- 国税庁「法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」解説 1 事業年度(平成19年の通達追加時の解説。当時の通達番号で書かれています)
- 国税庁「C1-8 異動事項に関する届出」(解散・清算結了は異動届出書の対象)